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2016-4-27

ハーフタイムや選手交代におけるマネージメント

ハーフタイムや選手交代におけるマネージメント

試合が始まってゲームが動き出したら、ハイレベルなゲーム展開中では指導者の介入が困難となる傾向にある。そこでも指導者のマネージメントが効果的となるタイミングは大きく2つある。『①ハーフタイムの時間』、『②選手交代のタイミング』、『アクシデントによる中断など』である。

 ハーフタイムにおける指導者のメンタル的なアプローチはいかなるものだろう?一般的なサポーター、メディア、外部の人々は、ハーフタイムにおいては指導者が選手達のモチベーションを高めることが、優先的なメンタルアプローチだと考えている。前半リードされているチームが、ガラッと表情を変えて後半に臨む姿を見れば、指導者によるメンタルアプローチ(説教など)があったと解釈するのも一般的だ。


 確かに説教や怒りを含んだ説教は時として必要なアプローチだ。モチベーションに欠けたり、刺激に欠けたり、チームが心理的に戦う準備ができていない場合には、厳しいアプローチは必須だ。選手達に緊張感を与え引き締めることができる。それでは説教や精神論以外でのメンタルアプローチとはどのような広義だろうか?それでは後半に向けてチームのパフォーマンスを改善させるためのメンタルアプローチについて考えてみよう。

①チームマネージメントを再定義する。戦術の約束事を繰り返して伝える。指導者は明確に、選手に対して約束事を伝達する。

②モチベーションを回復させたり高める。ゲーム前半のプロセスやモチベーションの具合を考慮し、後半に向けたモチベーションの高揚を狙う

③後半の目標を明確にする。前半の過去を振り返るだけでは不十分だ。前半のエラーや問題点を分析するのと同時に、後半の目標を設定する。

④後半の目標の意義を説得する。選手に十分理解させることが重要だ。後半の目標を設定するにあたり、その意義やポイントを理解させる。

メンタルアプローチにおいて注意すること

 重要な情報は繰り返し強調すること。ハーフタイム中の選手へのインストラクションやアプローチ(説教を含む)だが、コントロールのつかない長話にしない。解決方法を手短かに、説明を明確に、勇気づけるコメントを用いる。大切なポイントを繰り返し、戦術を再復習しながら順序よく説明する。秩序だった段取りと整理こそが、選手へのアプローチをより効果的なものにする。

 ゲーム心理学として、過去のエラーに対して叱責されても選手にとっては効果的ではない事実がある。後半が始まろうとしているハーフタイムでは、選手が必要とするのは目前の解決方法である。選手を批判するよりは、①具体的な指示、②論理的なアドバイス、③メンタルへのポジティブなアプローチを用意した状態で行なう。


 正しかったか間違っていたかという、過去に対する追求よりも、選手は直面する後半へのアプローチへの解決方法をモチベーションとして受け入れる傾向にある。そのためにもハーフタイムにおける批判については、論理的に行ない、細心の注意を払う必要がある。ハーフタイムに選手達のモチベーションを高める方法は様々だが、異なる状況ごとにアプローチ方法を考えなければならない。

選手交代や指示を出すタイミングについて

 選手の交代や選手に指示を出すタイミングについて考える。選手の心拍数が落ち着いているタイミングこそ、選手の交代を行なったり、指示を出すべきタイミングだ。そこでの選手への介入やアプローチだが、①試合で発生している状況の整理、②そして戦術的なアプローチを準備してから行なう。また可能であれば、選手個人ごとにしっかりとアプローチを準備することが理想的だ。

 基本的に指導者は、選手の休憩時間にアプローチをかけ、選手が落ち着いているタイミングを利用する。そこで指導者は情報を整理して、解決方法をコントロールした状態で、直接的かつシンプルに情報を伝達する。この選手の休憩時間だが、選手にとっては体力的にも精神的にも非常にストレスの強いタイミングと一致する場合が多い。選手は強い不安やストレスを抱えた状態にあるため、指導者にとっても感情をコントロールするスキルが問われる。

 タイムアウトになれば、グループ全体に対する戦術修正を加えることも可能となる。相手チームが必要性からとるタイムアウトと、自分たちがとるタイムアウトでは選手の精神的圧迫は全く異なる。このマネージメントは難易度の高い問題である。いずれにしろ全く同じ精神状態のタイムアウトや休憩時間は存在しない。毎回のハーフタイム、タイムアウト、選手交代などにおいて、チームや選手達が置かれる状況は大きく異なるのはごく当たり前だ。


ゲームの流れを引き寄せる選手たち

 ファールや怪我などによるタイミングでは、一瞬でもプレーが中断されることがある。そのようなタイミングに、指導者は選手達にアプローチすることが可能となる。また選手達も混乱を回避して、落ち着きを取り戻すことも可能となる。そのようなタイミングでは、ベテランプレーヤーによる経験も活かされる。例えばGKやキャプテンシーを持つ選手は、ゲームの悪い流れを断ち切る術を知っている。ベテランの選手達は、ファールを誘ったり、接触プレーによる中断などにタイムコントロールを理解している。またレベルの高い選手になれば、審判のミスを上手に利用したり、相手選手を挑発したり、観衆までも味方に引きつける術を知っている。指導者に必要とされるスキルを、ピッチ上から可能とする経験を持った選手がチームにもたらす効果は計り知れない。


メンタルそして体力の回復を優先する

 ゲーム中における指導者によるアプローチポイントは、プレー直後の高いテンションの選手達を落ち着かせることにある。心拍数の高い興奮状態では、概して指導者の意見は伝達されない。高いテンションの選手達は指導者のアプローチに対して集中することができず、優れた決断をとる余裕がない。そのためまずは選手達に呼吸を整えるような時間を与えるべきだろう。それが『タイミングの把握』である。タイミングの把握は、指導者と指導者のコミュニケーションのルーティンとして徹底することが望ましい。指導者として、異なる状況ごとのアプローチ方法を熟考しておく必要がある。

 タイムアウトにしても、交代休憩にしても、ハーフタイムにしても選手達がまず必要とするのが『メンタル状態の回復』である。ハーフタイム、交代休憩、またはタイムアウトになれば、まず選手は水分補給を行なう。そして衣服を整え、深呼吸をしてから指導者に呼ばれるまで待機する。深呼吸の代わりに、まずは椅子に腰掛けて、しっかりと精神的に落ち着くことも必要だ。そして指導者が選手達にアプローチをする場合、必ず発言するのは1人のみというルールを作る。落ち着いて、はっきりと、理解しやすいようにポイントを発信する。選手の発言も、1人ずつ行なうように心がける。


 ミスによる失点などの直後のタイムアウトでは、まず選手の意識をその問題(ミス)から引き離す努力をする。選手達のポジティブなプレーや決断などを強調することで、ポジティブなリセットが可能となるだろう。 ゲームピッチに再び入る時に備えて、各選手の優先行為をしっかりと示す。指導者はできる限りチームや各選手に、ピッチ上に入ったら何を求めるかを指定する。仮にタイムアウトなどの時間に、チームが問題なく機能している場合、ゲームプランを再確認または調整する。そしてチームに自信と確認を与える。チームが機能していない場合は、プランの変更をするか、個人的な修正を加えるか、セットプレーなどを準備するかなどの選択を迫られる。