スポーツオノマトペ なぜ一流選手は「声」を出すのか


藤野良孝著/小学館

 「スポーツオノマトペ」。何かの呪文のような聞き慣れない言葉の意味が気になって本書を手に取った。本書によると、「オノマトペ」とはフランス語源で、「擬態語・擬音語」、そして「スポーツオノマトペ」とはスポーツで使われる擬態語・擬音」のことだという。「ハンマー投げ・室伏広治選手が投てき時に叫ぶ『ンガーッ!』」や「卓球の福原愛選手がポイントを取った後にいう『サー』」「テニスのマリア・シャラポア選手の『ンア〜』」などが「スポーツオノマトペ」と言われると知り、即座に「スポーツオノマトペ」の意味が理解できた。本書は、一流選手の「スポーツオノマトペ」を科学的に分析・解説しており、スポーツの新しい楽しみ方を提案してくれる良書である。
 著者は「スポーツオノマトペ」は①パワー、スピード②リズム、タイミング③リラックス④モチベーションの促進――などの効果があるとし、「メダルの色は『声』でわかる」とまで豪語する。事実、前述の室伏選手は調子のいいときだけ声が出ていることを指摘している。さらに、声は投てき後に発されていることに着目。ハンマー投げはハンマーが手を離れた後も足がサークルから出ればファウルで失格となってしまうため、投てき後も残っているパワーを絞り出すように「ンガー!」を発することで全身を緊張させてファウルを防ぐ、つまり運動の一連の流れの一部分として「スポーツオノマトペ」を発して効果を得ているのだという持論が楽しい。
 また、日本の女性選手が比較的「スポーツオノマトペ」を発さない現状に触れ、古き良き時代の「女性像」が女性に声を出させることを躊躇させていると推測する。「男女関係なくスポーツは『声』を出せ!」と結論づけている。