キーワードは「人」
今季からJFLに舞台を移した福島ユナイテッドFC。本拠であるあづま陸上競技場は除染作業でいまだ使えず、サポーターも減ってしまうなど、震災の深刻な影響を受けながらも、3月10日の開幕から2連勝し、熱く燃えています。Part1に引き続き、広報の高橋美奈子さんにチーム、そしてご自身についても伺いました。
<チームの今、そしてこれから>
Q : チームは今季からJFLで戦うことになりました。発足からおよそ10年でここまで来た理由は何だと思いますか?
広報 高橋美奈子さん |
A: Jリーグに上がろうという気持ちを、選手もスタッフも一丸となって持ち続けて来たことが大きいですね。ぶれることなく突っ走って来た10年だったと思います。そして、そんな私たちを観て、共感してくれる方、支えてくれる方が増えていきました。
初めの情熱を持ち続けられた理由は、人と人のつながりの強さなのかなと思います。経営的なことや震災など存続の危機はありましたが、その度、いまこのチームがなくなったら福島には何もなくなる、風評被害などネガティブなことしか残らない、一番大事なのは人と人のつながりなんだ、という気持ちを持ってやってきました。悪いことも良いこともすべて本気で向き合って来たから成果が出たのだと思います。10年が早いかどうかはわかりませんが、うちのチームのペースで段階を踏んでやってきた10年ですので、時間よりも内容の方が大切だと思います。
チームも大切なのは内容、つまり「人」ですよね。ですから地域の方々にはこちらからどんどん働きかけて行きます。
Q : 不躾ながら、これまで福島はサッカー不毛の地というイメージがありましたが、今の福島県においてサッカーの立ち位置はどのようなものだと思いますか?
A:ありがたいことに、うちのチームが勝つたびにメディアに取り上げられています。露出の機会が多くなるにつれて、サッカーが着実に浸透して行っているような気がします。去年で言うと、リーグの優勝決定戦でこれまで最高の3400人の集客がありました。スクールも増えていますし、サッカーが少しずつ地域のスポーツになってきていると思います。特に子供たちにとっては、具体的な目標ができたと思います。焦ることなく、一つ一つ発信していくことが大切だと思っています。
Q : チームの今後の目標、そして一番アピールしたいことは何ですか?
第2節 横河武蔵野FC戦より |
A:今季の目標はトップ5に入ること。将来的にはJリーグ昇格です。アピールしたいことは「人」ですね。チームの一人一人を見てほしいと思います。うちは厳しい状況にある福島に来てくれた選手、残ってくれた選手とスタッフが集まっているチームです。一人一人の思い入れはそれぞれ異なりますが、その強い気持ちを見てもらえれば、このチームもサッカーも好きになってくれると思うんです。とにかくぜひ試合を観に来て欲しい!それが私たちにとって何よりのパワーになります。
<高橋美奈子さんの今、そしてこれから>
Q : 毎日お忙しいことと思います。お休みの日の過ごし方について教えて下さい。
A:実は仙台からここ飯坂温泉まで新幹線で通っているんですよ。仕事が忙しくなったので、本当は飯坂に住みたいんですけど、震災の影響(注:被災者の内陸への移転)で物件がないので、まだ実現できていません。
お休みの日はひたすら寝ます!(笑)寝だめしてパワーをつけて、甘いものが好きなので、自分にご褒美をあげて、またがんばる!という感じです。スイーツに特にこだわりはないですよ。コンビニの新発売のものとか、ネットで見たおすすめとか、何でもOKです。中学高校ではバスケットをやっていましたが、いまスポーツはしていないですね。時々、ウォーキングがてら散歩するぐらいです。
Q : 音楽は聴きますか?好きな曲などあったら教えて下さい。
A:音楽は好きです。特に沖縄のバンドHYが好きで、「AM11:00」という曲にはすごく癒されます。元気になれる曲はLeccaという女性レゲエシンガーの「For You」。Leccaの歌は、女性同士だからなのか、気持ちがすごく伝わって来るのがいいですね。
Q : 最後に、高橋さんご自身の今後の目標を教えて下さい。
A:社会人としても女性としても成長していきたいと思っていますが、まだ具体的なイメージはありません。今はただ目の前のことに一生懸命取り組むだけです。そこから見えてくることがきっとあると思うんです。とにかく今の生活はすごく充実しています。
ガラスのトロフィーは昨年の天皇杯で益子義浩選手が受賞したゴール賞「SURUGA I DREAM AWARD」のものです |
☆福島ユナイテッドフットボールクラブ 公式サイト