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2015-5-4

スポーツ選手にとっての理想の食生活について(後半) 理想の食事バランスやメニューの組み合わせについて

『バランスのとれた食事の意味とは?』

 スポーツ選手にとって、炭水化物、蛋白質、脂肪分のバランスがとれた食生活はとても重要だ。『バランスの取れた食事』、とはどのような意味なのか?食事の3大要素は①炭水化物、②蛋白質、③脂肪分、と分類できる。炭水化物はスポーツ選手にとってのガソリンに近いもので、一日の食生活の60%ほどを占めると計算される。また蛋白質は全体の25%ほどが理想だろう。最後に残る脂肪分は15%以下が適した数字とされている。

 食事の時間帯や、料理のバランスはどうだろう。一般的には、午後の19時以降は炭水化物などは控えめにコントロールしたい。肉料理についてだが、週に4~5回は肉料理をとることが許容範囲だ。また魚料理は肉料理よりも多くとるように心がけ、週に6回ほど魚料理を食べるように尽力したい。青魚に含まれるオメガ3、そして不飽和脂肪なども神経緩和、消化系統には有効な成分とされる。また心肺機能の向上にも有効とされており、適量ならば睡眠を助けたり、神経を落ち着かせる作用があるトリプトファン(必須アミノ酸の一種)も含んでいる。魚料理はその他にもスポーツ選手にとって、有益なポイントが多い。

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 毎日の生活では、食事バランスと同時に、体内の食物の消化プロセスは質の高い睡眠へのキーポイントとなる。消化に優しい食事を、正しい時間帯に選び、しっかりと食物を噛むことで、体に与える負担を最大限に軽減できる。例えば就寝の3時間前に、あっさりとした夕食をとれば、まず心地よい睡眠が可能となる。また香辛料(スパイス)などは、消化機能に刺激を与える理由から、体調や睡眠管理にはマイナス効果となる。夕食に辛くて、脂っこいものを食べて睡眠不足になった経験がある方も多いだろう。

『スポーツ選手にとって理想の朝食』

 眠りから醒めた空腹の朝、スポーツ選手の皆さんは何を食べるのか?ここで選手にとっての『理想の朝食』について考てみる。アメリカ式、日本式、英国式、スペイン式・・・どのような朝食が好ましいのか?忙しい現代生活の中で、われわれの朝食に対する知識や意識は疎かになっている。英国式やアメリカ式の朝食はべーコン、卵焼き、ジャム、チョコレート、バターやケチャップなど塩分・糖分が大量に含まれており最悪だ。空腹感が強くても、スポーツ選手は朝食はあっさりと食べる。また同じ朝食でも、数回(3回ほど)に分けて食べる方が望ましい。理想的な朝食の3回の分け方を以下にまとめてみる。

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『スポーツ選手にとって理想の昼食・夕食とは?』

 理想の朝食について書いてみたが、ここでスポーツ選手にとっての理想の昼食、夕食について考えてたい。なお昼食、夕食については、各自の文化背景にも左右されることには注意したい。まずは基礎知識として、①野菜、②フルーツ、③インテグラルシリアル、④蛋白質、⑤水分+油分、⑥サプリメントなどの適切なバランスが求められる。

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 『野菜』については、可能な限り生野菜を豊富にとる。野菜、果物は、火を通さずに生で食べることが好ましい。またポテトのように澱粉の多い食物は、野菜とは考慮しないように注意したい。

 『果物』の皮には、多くの栄養成分が含まれている。そのためリンゴなども水洗いしたら、皮ごと食べればペクチンなどの栄養素を摂取できる。なお同じ野菜・果物でも、緑黄色野菜など豊富な種類を食べ分けたい。

『インテグラルシリアル』、総合穀物類については、玄米、五穀米など、食物繊維を多く含んだものを優先したい。色で表現すれば、白より茶色、茶色よりも黒色を優先する。そして精製小麦粉でできた商品(白パン、パスタ、白クロワッサン)などは、可能な限り避けること。

 『蛋白質』は、魚料理を優先する。魚料理でなければ、大豆蛋白、ドライフルーツなどでも蛋白質の摂取が可能となる。日本には納豆、豆腐といった心強い味方がある。スポーツ競技によっては、食事からだけでは摂取量が間に合わないかも知れない。魚や大豆蛋白は、肉類から蛋白質を吸収するよりも、脂肪分などを考えれば有益だ。またチーズなども脂肪分が多いため、食べる量を制限したい。そして蛋白質を含んでいても、サラミ、ベーコン、ソーセージなど加工食品はスポーツ選手ならば避けたい。

 そして『水分』についてだが、糖分を含むジュースなどは一日一杯までとして、牛乳も脂肪分のため一日一杯までに制限したい。その他の水分は、水、お茶、コーヒーなどを時間帯などに分けて摂取したい。水とお茶は、熱量もゼロで体重管理にも心強い。『油分』については、できるだけ少量に抑えたい。例えばオリーブオイル、コマ油などを用いる。バター、マーガリンは絶対に避けるように意識する。

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『デザートやチョコレートについて』

 スポーツ選手にとって理想のデザートは、やはりフルーツ各種である。可能であれば緑黄色野菜などを、デザートとして食べることが好ましい。今回はフルーツ以外のデザートについて考えてみる。無糖のヨーグルトなどは、その脂肪分に注意したい。食後のデザートとして、チョコレートが好きなスポーツ選手も多くいる。その場合、ブラックチョコレート(カカオ成分の高いもの)を優先して、脂肪分の多いミルクチョコレートなどは控える。体重管理のためにも、チョコレートは一日15グラムを限度とする。デザートや甘いものは、チョコレートに限らず、何でも少量に制限する我慢が大切だ。

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