2009-9-1

トップリーグ連携機構 平成21年度 審判研修会 開催報告

2009/09/01


 日本トップリーグ連携機構(JTL)は8月22(土)、23(日)日の1泊2日、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)にて、平成21年度審判研修会を開催いたしました。

 審判研修会は今回で4回目の開催となり、JTLに所属する8競技9リーグから推薦された国際審判および国際審判員を目指す審判が参加し、審判技術の向上を目的に研修を行います。4回目を迎えた今回は、リーグで活躍する計37名の審判が参加し、他の競技の審判とともに講義や実習などに取り組みました。


 今回の研修会では開会式、市原則之(JTL専務理事)の挨拶に続き、まず対談形式によるパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションは「トップレフェリーであるために」と題し、国際バスケットボール連盟名誉国際審判員である橋本信雄氏と、サッカーから国際審判員でありかつプロフェッショナルレフェリーとしてJリーグなどの試合でも活躍されている吉田寿光氏をお迎えしお話いただきました。プロフィールの紹介からはじまり、吉田氏がプロの審判になった経緯、そして海外で数多くの試合を経験された両氏の体験談や失敗談などを中心に話が進められ、競技は違えど、同じ審判として活躍される両氏の話に参加者は熱心に耳を傾けていました。

 続いて、国立スポーツ科学センターから立谷泰久(たちや・やすひさ)氏を講師にお迎えし、「メンタルトレーニング実習」が行われました。トップレベルの試合で審判をおこなうにあたり、体力面(フィジカル)の強化はもちろんのこと、近年では冷静な判断を行うために精神面(メンタル)の強化も重要とされています。立谷氏の指導のもと、試合においていかにリラックスした状態をつくり出すかや、試合に臨むにあたっての準備などについての講義および簡単な実習が行われました。

 審判は試合を正しくコントロールするために、選手やコーチなどに自分の考えを論理的かつ的確に説明しなければなりません。「プレゼンテーション能力」では、専修大学准教授の齋藤実氏によって、相手に自分の考えを正しく伝える方法や、論理的な思考についての講義が行われました。伝える内容は簡単であるものの、日常生活においてあまり意識されないことであることから、講師から出されたテーマについて各々が知恵をしぼり最良の方法を見出していました。


 
一日目の研修はこれで終了し、引き続き会場をアスリートビレッジに移し夕食・情報交換会を兼ねた懇親会が行われました。懇親会では、班ごとにメンバーの自己紹介が行われ、和気あいあいの中、終えることができました。

 二日目の23日は、午前8時15分にナショナルトレーニングセンター内にあるハンドボール体育館に集合し、研修がスタートしました。まず、国立スポーツ科学センターの守田誠氏の指導のもと、「ウォーミングアップ実践」として準備体操を含めたコンディショニングが実施されました。これは、審判をおこなう際の試合前の準備運動にも通じる動作であり、参加者は昨日の疲れも見せることなく、朝早くから体を動かしながらウォーミングアップについて学んでいました。

 その後、参加者の体も温まってきたところで、審判実技実地研修が行われます。過去の審判研修会でも、異なる競技のレフェリングに挑戦し、実技の実地研修の種目としてドッジボールやフットサルが行われてきましたが、今回は初の試みとしてハンドボールが取り入れられました。日本体育大学ハンドボール部の協力のもと、実際に参加者もハンドボールの試合をプレーするとともに、審判実技にも挑戦しました。ほとんどの参加者が初めての競技ということで、当初は自分の競技とのルールの違いなどに戸惑いを見せたものの、時間の経過とともに審判もプレーヤーも徐々にハンドボールに慣れ、白熱したゲームが展開され、充実した審判実技研修となりました。すべての試合が終了したのち、今度は守田氏による「クールダウンの実践」が行われ、体育館での研修は終了しました。

 昼食の後は、再び会場を研修室に移し、前日に引き続いて齋藤氏による「プレゼンテーション実習」が行われました。ここでは昨日の講義内容を実践する形で、参加者はグループごとに出された課題に取り組みます。今回の課題は、抽選で割り当てられたテーマに対して、各人が即興で3分間のスピーチを考え、グループ内で発表するものであり、スピーチの内容によっては笑いが起きるグループもあり大変盛り上がりました。

 最後に、ハンドボールの国際審判員である家永昌樹氏(日本トップリーグ連携機構 事業推進委員)から閉会の挨拶、および実技実地研修の優秀審判・優秀チームの発表と表彰が行われ、二日間にわたる審判研修会は終了いたしました。

 日ごろ、あまり交流がない他の競技の審判と交流を深めつつ、審判技術の向上についてのさまざまな講義や実習を受けたことで、参加者にとって有意義な二日間になったのではないでしょうか。この研修に参加した審判の中から、一人でも多くの国際審判員が誕生し、活躍することを期待しています。

平成21年度 日本トップリーグ連携機構 審判研修会 開催概要

目的 日本トップリーグ連携機構各9リーグの国際的な活躍を目指す審判が一同に会し、その資質向上と各競技の枠を超えた審判の交流を図るため、標記研修会を開催する。
日程 平成21年8月22日(土)〜 23日(日) 1泊2日
場所 味の素ナショナルトレーニングセンター
主催 日本トップリーグ連携機構
後援 財団法人 日本体育協会
財団法人 日本オリンピック委員会