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2015-4-29

「女子サッカー」「男子フットサル」 「男子バスケ」「男子ハンド」「女子水球」

女子サッカー:欧州CL、決勝のカードはフランクフルト対PSG

 女子サッカーの欧州チャンピオンズリーグは準決勝のセカンドレグが行われ、なでしこジャパンのFW大儀見優季が所属するヴォルフスブルク(ドイツ)はアウェーでPSG(フランス)と対戦。2-1で勝利したものの、2試合の合計スコアで敗れ準決勝敗退が決まった。5月14日にベルリンで行われる決勝ではブロンビー(デンマーク)を大差で下したフランクフルト(ドイツ)対戦する。
<ヴォルフスブルクを下し、初の決勝進出をきめたPSG> ホームでのファーストレグを0-2で落とし背水の陣で臨んだヴォルフスブルクは、アウェーでのセカンドレグでも前半わずか6分でPSGに先制を許してしまう。この失点により決勝に進むためには4点が必要となったヴォルフスブルクは、終始の主導権を握るもののPSGの堅い守備に前に決定的なチャンスを作ることができない。後半17分にマリッツに代わりミュラーを投入したヴォルフスブルクは、そのミュラーが後半26分に待望のゴールを決めようやく1-1とすると、その3分後にも追加点をあげ1-2と逆転に成功する。しかし反撃もそこまで、2試合の合計スコアを3-2としたPSGが初の決勝に駒を進めた。ヴォルフスブルクの大儀見優季はスタメンで出場し、試合開始直後にシュートを放つも結局この1本だけで、後半38分にピッチを退いている。
 一方、ホームでのファーストレグでブロンビーに7-0と快勝していたフランクフルトは、アウェーでのセカンドレグでもサシッチとボケテのダブルハットトリックで6-0と圧勝。2試合の合計スコアを13-0とする歴史的大勝で決勝進出を決めた。フランクフルトの安藤梢は、この試合でフル出場をはたし、1アシストを記録している。

<欧州で活躍する日本人選手たち>
 今年6月にカナダで開催される第7回女子ワールドカップ開幕までいよいよあと50日を切った。そして24日、JFA(日本サッカー協会)は2連覇をかけて今大会に挑むなでしこジャパンの予備登録メンバー35人を発表した。リストには大儀見優季(ヴォルフスブルク)や安藤梢(フランクフルト)などヨーロッパで活躍する選手が6人代表入りを果たしている。今回は、女子サッカーにおいてヨーロッパのトップリーグで奮闘する選手たちをクローズアップしたい。

大儀見 優季(FW/27歳):ヴォルフスブルク(ドイツ)
 2010年にドイツのトゥルビネ・ポツダムに入団すると、12-13シーズンのブンデスリーガで18得点を記録。その年のリーグ優勝は逃したものの、得点王を置き土産に活躍の場をドイツからイングランドへと移す。チェルシーで1シーズン半過ごした後、2015年の冬にヴォルフスブルクへの移籍が発表され、再びブンデスリーガへ復帰を果たした。3連覇がかかる欧州CLでは準決勝でPSGに惜敗したものの、2節を残したブンデスリーガでは現在首位につけている。

安藤 梢(MF/32歳):フランクフルト(ドイツ)
 埼玉レッズレディースを経て2009年にドイツのデュイスブルグに移籍すると、10-11シーズンにドイツ杯優勝を経験する。2013年の冬に同リーグの強豪フランクフルトへと移籍し、13-14シーズンには国内リーグ戦22試合に出場。海外での自身最高となる9ゴールを記録した。今シーズンのブンデスリーガでは、現在ヴォルフスブルクに勝ち点2差の2位につけているものの、5月10日の最終節にはヴォルフスブルクとの直接対決が控えておりタイトルを取れる可能性は残されている。また欧州CLでも3年振りに決勝まで勝ち進んでおり4度目の欧州タイトルまであと一歩と迫っている。

永里 亜紗乃(FW/26歳):トゥルビネ・ポツダム(ドイツ)
 2013年の冬に姉である大儀見と入れ替わる形でトゥルビネ・ポツダム(ドイツ)に入団。当初はリザーブチームでのプレーが続いていたが2013-14の途中からトップチーム入りを果たす。今シーズンはここまで21試合に出場(ブンデスリーガ19試合、ドイツ杯2試合)し、6ゴールを記録している。現在ブンデスリーガで4位につけるトゥルビネ・ポツダムだが、ドイツ杯では準決勝で安藤梢の所属するフランクフルトを2-1で下し、ボルフスブルグとの決勝に進んでいる。

岩淵 真奈(FW/22歳):バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
 2012年11月、日テレ・ベレーザからドイツのホッフェンハイムに入団。移籍初年度となった12-13シーズンはリザーブチームに所属するものの、13-14シーズンにトップチームに昇格すると21試合に出場し、6ゴールを記録する。今シーズンから所属するバイエルン・ミュンヘンでは、ここまで出場した11試合の内10試合で途中交代するなど、主力として活躍していたホッフェンハイム時代にくらべると半分以下の出場時間に留まっている。バイエルン・ミュンヘンは現在、2位のフランクフルトと勝ち点2差の3位につけている。

熊谷 紗希(DF/24歳):オリンピック・リヨン(フランス)
 2011年から2シーズンの間フランクフルトでプレー。2013年に安藤梢と入れ替わる形でフランクフルトからフランスの強豪リヨンへ移籍を果たす。新天地でもすぐに主力の仲間入りをすると13-14シーズンは19試合、14-15シーズンはここまで20試合に出場している。06-07シーズンから8年連続で国内リーグ王者に輝いているリヨンは今シーズンも強さを発揮し、ここまでリーグ戦21連勝と2位のPSGに勝ち点6差をつけて首位を独走している。国内で圧倒的な強さを見せるリヨンだが、今シーズンの欧州CLではベスト16でPSGに敗れ早々と姿を消している。

宇津木 瑠美(MF/26歳):モンペリエ(フランス)
 2011年からモンペリエに所属。コンスタントに出場機会を得ており、得に13-14シーズンは18試合に出場し、自己記録を大きく上回る10ゴールを記録した。今シーズンはここまで16試合に出場し、3ゴールをあげている。モンペリエは現在勝ち点54で5位につけているものの、4位のガンガンとの差は僅か1ポイントとなっている。

松林 美久(GK/30歳):フィレンツェ(イタリア)
 2013年に日テレ・ベレーザを退団し、同年夏にイタリアのフィレンツェに入団。当初から主力として活躍しており、今シーズンもここまで23試合に出場している。現在フィレンツェはイタリアのセリエA(トップリーグ)でタバニャッコを勝ち点1差で追う5位につけている。なお、今回発表されたなでしこジャパンの予備登録メンバー35人には入っていない。

大島 茉莉花(DF/23歳):ラージョ・バジェカーノ(スペイン)
 早稲田大学在籍中に受けたトライアウトを経て、今年1月にスペインのラージョ・バジェカーノへの移籍。2月22日のバレンシア戦に始めて招集メンバー入りしたものの出場機会は与えられず、続く3月9日のウエルバ戦で途中出場ながらようやくスペインでのデビューを果たしている。現在スーペルリーガ(スペイン女子サッカーのトップリーグ)で6位につけるラージョ・バジェカーノは、勝ち点8差で5位のレバンテを追ってる。大島茉莉花も松林美久同様に、今回の予備登録メンバーには入っていない。

男子フットサル:AFCカイラトが2度目のタイトルを獲得

 男子フットサルのUEFA(欧州サッカー連盟)フットサルカップはファイナル4がポルトガルのリスボンで行われ、AFCカイラト(カザフスタン)が決勝でバルセロナ(スペイン)を3-2で下し、2012-13シーズンに続き2度目の栄冠を手にした。
<10人のブラジル人選手を擁するAFCカイラトが2度目のタイトルを獲得> 準決勝でディナ・モスクワ(ロシア)と対戦したAFCカイラトは、1-1で迎えた35分と38分に追加点を奪い3-1とリードするものの、残り時間わずか1分で2点を返され3-3で延長戦に突入する。延長では開始直後に1点を奪ったAFCカイラトが、疲れの見えるディナ・モスクワを横目にその後も3点を追加。終盤に1点を返されたものの結局7-4で勝利し、決勝へ駒をすすめた。
 一方、2連覇を目指すバルセロナは、会場に集まった1万人の声援に後押しされる地元スポルティング(ポルトガル)と対戦。拮抗した展開の試合は、両チームが11分と15分にそれぞれ1点づつを取り合い1-1で後半へと突入する。後半に入ってもウィルデの連続ゴールでバルセロナが3-1とリードを広げれば、スポルティングも負けじと32分と36分にゴールを奪い返す。そして3-3で迎えた残り1分にバルセロナが2点を追加し、再びリードを2点に広げる。さすがのスポルティングも反撃する時間は残されておらず5-3でバルセロナの前に力尽きた。
 12-13シーズン(AFCカイラト)と13-14シーズン(バルセロナ)の王者同士の対決となった決勝は、まずはAFCカイラトが攻勢に出る。開始直後にバルセロナが惜しいチャンスを作るものの、AFCカイラトもGKながら高い足技を持つイギータの積極的な攻撃参加などで徐々にリズムを掴むと16分と18分のゴールで2-0とリードし前半を終了する。後半バルセロナは29分にサッドが1点を返し反撃ののろしをあげるも、その直後ロサノが退場処分となってしまう。すると31分にAFCカイラトのイゴールに追加点を許し3-1とリードを広げられてしまう。数的不利を強いられたバルセロナにとっては1点を返すのが精一杯で、3-2でAFCカイラトに敗れ2連覇の夢は途絶えた。なお、3位にはディナ・モスクワ(ロシア)を8-3で下したスポルティングが入っている。
 12-13シーズンに続き2度目のタイトルを手にしたAFCカイラトだが、登録メンバー14人の内で何と11人がブラジル国籍を保持するなど逆転現象が起きている。スタメンの5人はすべてブラジル人で構成されており、カザフスタンと言うよりもむしろブラジルのチームと言った方が相応しい。またAFCカイラトほどに極端ではないにしても、バルセロナにもブラジル人選手は多数在籍し、登録メンバーの内訳は、スペイン出身7人、ブラジル出身6人、そしてイタリア出身1人となっている。ちなみにバルセロナのスタメンはスペイン出身2人とブラジル出身3人の5人で構成されている。

男子バスケ:ユーロリーグ、ファイナル4出場チームが決定 現王者マッカビ・エレクトラは敗退

 準々決勝の第3戦と第4戦が行われた男子バスケットのユーロリーグでは、オリンピアコス(ギリシャ)、レアル・マドリード(スペイン)、フェネルバフチェ(トルコ)、CSKAモスクワ(ロシア)がファイナル4への進出を決めた。その一方で昨シーズンの王者マッカビ・エレクトラ(イスラエル)やバルセロナ(スペイン)はベスト8で姿を消した。
<ブザービーターでバルセロナを下しファイナル4進出をきめたオリンピアコス> 第1戦と第2戦をホームで戦った4チームの内で唯一連勝を逃していたバルセロナは、アウェーでの勝利を目指しオリンピアコスのSEFスタジアムへと乗り込む。両チームにとって今後の展開を大きく左右する第3戦は73-71でオリンピアコスが勝利。ファイナル4まであと1勝と迫る。運命の第4戦、勝利が絶対条件となるバルセロナは序盤から果敢に攻め込み8ポイントのリードを奪ってハーフタイムを迎える。しかし第3クォーターでオリンピアコスに追いつかれると、それ以降は両者一歩も譲らぬ拮抗した展開が続き、勝負は劇的な幕切れとなる。第4Q、残り時間1秒でプリンテツィスの放った3Pシュートがブザービーターとなり、71-68でオリンピアコスが土壇場でバルセロナに勝利をを収めた。
 ホームで2連勝したレアル・マドリードも、トルコでの初戦となった第3戦では土壇場で3Pシュートを許しエフェス・ピルゼンに75-72で敗れてしまう。続く第4戦でも序盤は劣勢に立たされるものの、ハーフタイムにしっかりとディフェンスを修正したレアル・マドリードは、第3Qで逆転に成功すると、そのままリードを守りきり63-76でエフェス・ピルゼンを下し3年連続のファイナル4へ上りつめた。
 一方、昨シーズンの王者マッカビ・エレクトラを相手に強さを発揮したのは名将オブラドビッチ監督率いるフェネルバフチェ。ホームでの2試合で連勝すると、その勢いのままアウェーでの第3戦も74-75で競り勝ち、第4戦を待たずしてファイナル4入りを決めた。これまでファイナル4(パナシナイコスで3回、レアル・マドリードで1回、トレビゾで1回)に5回出場しているオブラドビッチ監督だが、まだ優勝は経験しておらず、初タイトルに向けて6度目のファイナル4に挑むこととなる。またCSKAモスクワもパナシナイコス(ギリシャ)を合計スコア3-1で下し勝ち抜きを決めている。
 欧州クラブのトップを決めるファイナル4は、5月15日から3日間にかけてスペインの首都マドリードで開催され、準決勝の組み合わせはレアル・マドリード対フェネルバフチェ、CSKAモスクワ対オリンピアコスとなっている。

<クラブ会長が審判に吐いた暴言によりパナシナイコスに罰金処分>
 準々決勝でCSKAモスクワと対戦したパナシナイコスは、アウェーでの第1戦(93-66)と第2戦(100-80)を大差で落としたもののホームでの初戦となった第3戦では86-85で競り勝ち、逆転に望みをつなげた。
 しかし勝利という最高の結果を得たにもかかわらず、この日のジャッジに激怒したパナシナイコスのディミトリス・ジャンナコポルス会長は試合直後、審判団の控え室に乗り込むと、トルコ出身のアンカラリ主審にローソクを投げつけ「お前を必ず殺してやる。今夜ギリシャから生きて帰れると思うなよ。お前だけじゃない、お前の家族も巻き添えだ。」と、脅迫まがいの暴言を幾度となく繰り返した。この暴挙を重く受け止めたユーロリーグ規律委員会は試合の翌日、パナシナイコスに15万ユーロ(約2千万円)の罰金を科すことを正式に発表した。そして迎えた第4戦、終始劣勢に立たされたパナシナイコスは再び55-74の大差でCSKAモスクワに敗れ、今シーズンのユーロリーグから姿を消した。
 更にユーロリーグ規律委員会はこの他にも、試合中にサポーターが発炎筒を焚いた理由で1万ユーロ(約130万円)、観客席から選手に向けてレーザー照射が行われた理由で1万2000ユーロ(約150万円)、更にコートに物が投げ込まれた理由で8000ユーロ(約100万円)と、合計3万ユーロ(約390万円)の罰金をパナシナイコスに科すことも決定している。

男子ハンド:欧州CL ファイナル4の組み合わせが決定

 男子ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグはファイナル4の組み合わせ抽選が21日に行われ、準決勝のカードは、バルセロナ(スペイン)対キェルツェ(ポーランド)、THWキール(ドイツ)対ヴェスプレム(ハンガリー)に決定した。
europe278_04 準決勝の第1試合、バルセロナ対キェルツェは2012-13シーズンの再現となる。その年、クラブ史上初のファイナル4進出を決めたキェルツェは準決勝でバルセロナと対決し、欧州を代表する強豪の前に28-23で敗れている。奇しくもその時の会場は今回のファイナル4と同じケルンのランクセス・アレーナであった。更に、現在のキェルツェを率いるタラント・ドゥイシェバエフ監督は、旧ソ連出身ながら1992年のバルセロナ五輪後にスペイン国籍を獲得し同国代表としてもプレーした他、引退後は同国の2クラブで監督を務めるなどバルセロナのハンドボールを良く知る人物でもある。昨シーズンのCLではベスト16でライン=ネッカー(ドイツ)に惜敗したものの、ここ数年で着実に力を付けてきているキェルツェの戦い振りに注目したい。
 そして第2試合、THWキールとヴェスプレムも2013-14シーズンの再現となる。その時は29-26でTHWキールが勝利したものの、当時のヴェスプレムは国内リーグの試合がなくコンディションが万全ではなかったという事情も試合内容に多少の影響を与えたと指摘されている。今シーズンは、ベスト8のセカンドレグからファイナル4の間に代表ウィークが入っていることもあり、昨シーズンとはまた違った展開になる可能性は十分にある。

女子水球:ユーロリーグ、オリンピアコスがサバデルを下し初優勝

 女子水球の欧州クラブ最強を決めるユーロリーグのファイナル4がアテネで行われ、3連覇を狙うサバデル(スペイン)を10-9で下した地元のオリンピアコス(ギリシャ)が初優勝を飾った。
<サバデルを土壇場で下し、初優勝を飾ったオリンピアコス> 2014-15シーズンのユーロリーグでは、同大会で唯一3連覇を達成し、これにまで合計8度のタイトルを獲得しているイタリアの強豪オリツォンテ・カタニアの不在をはじめ、直近5シーズンでファイナル4進出を決めているブリアグメニ(ギリシャ)がベスト8で敗退したことで、昨シーズンに続いてファイナル4へ進んだチームはサバデルのみとなった。そしてそのサバデルは準決勝で初のファイナル4入りを果たしたウイペスト(ハンガリー)を11-6で下し、3連覇へ後1勝と迫った。
 準決勝のもう一試合では、ベスト8でブリアグメニを退け波に乗るニエフ・キリシ(ロシア)が、オリンピアコスと対戦。両者一歩も譲らぬまま7-7で迎えた第4クォーターにオリンピアコスが3点を追加し10-8でニエフ・キリシを退けた。
 25日に行われた決勝では、序盤サバデルが試合の主導権を握り4-3とリードしてハーフタイムを迎える。しかし第3Qに入ると状況が一変。アシュレイ・サザンに3ゴールを決められ7-8と逆転を許してしまう。第4Qでは、ジェニフェル・パレハの2ゴールでサバデルが再び9-8とリードを奪い返すものの、地元の大声援に後押しされるオリンピアコスはマノリオダキが2ゴールを決め残り33秒で試合をひっくり返してしまう。すでにサバデルに反撃する力は残されておらず9-10でオリンピアコスの前に力尽き、今シーズン続けてきた連勝記録も96でストップした。なおウイペスト対ニエフ・キリシの3位決定戦は、14-12でニエフ・キリシが勝利している。