「女子サッカーW杯カナダ大会:決勝T」 「女子バスケ」「男女ホッケー」「男子ハンド」「男子バレー」
●女子サッカー:決勝T、ドイツとフランスが準々決勝へ ブラジルが敗れる波乱
第7回女子サッカーW杯カナダ大会は、17日までにグループリーグの全試合を消化し、日本を始めドイツ、米国、フランス、ブラジル、イングランド、オーストリア、スウェーデンなど、前回大会のベスト8に残った面々、そして開催国のカナダに加え、カメルーン、オランダ、スイスのW杯初出場3ヶ国もベスト16への進出を決めた。
そして20日からスタートした決勝トーナメントは現時点ですでに5試合が終わり、まず中国が初出場のカメルーンに1-0で勝利。さらにスウェーデンを4-1で下したドイツ、韓国を3-0で下したフランスの上位常連国もそれぞれ準決勝に駒を進めた。その一方で、雨の降りしきる中オーストラリアと対戦したブラジルが、前後半通じて14本のシュートを放ちながらも終盤80分、サイモン許したゴールで0-1と敗れるサプライズが起こった。W杯においてブラジルが準決勝の前に敗れるのは、1勝2敗でグループリーグで敗退した1995年のスウェーデン大会以来となる。また開催国カナダもスイスを1-0で下しベスト8に進んでいる。
決勝Tその他の試合では、22日に米国とコロンビア、ノルウェーとイングランドが対戦。そして23日にはベスト16最後の試合が行われ、予想外の苦戦をしいられながらも3連勝でグループCを首位通過した日本が、グループAを1勝1敗1分の3位で終えたオランダと対戦する。
<予選敗退のスペイン、選手らが監督の解任を要求>
グループEを2敗1分で終えグループリーグ敗退を喫したスペイン。欧州予選を9勝1分、42得点2失点と同組のイタリアを上回る抜群の成績で本大会出場を勝ち取ったスペインには、初出場とは言え、今回のカナダW杯でダークホースになり得る存在として大会前から注目を集めていた。しかし、初戦のコスタリカ戦を1-1で引き分けると、第2節でブラジルに0-1で競り負け、背水の陣で臨んだ最終節の韓国にも1-2と逆転を許すなど、最後まで得意なパスサッカーは完全に鳴りを潜めたままだった。
韓国に敗れGL敗退が決定した翌日の18日、スペイン代表で主将を務め、フランクフルト(ドイツ)で今シーズンのCL優勝を果たすなど代表メンバーの中では最も国際経験の豊富なベロ・ボケーテは、低調なパフォーマンスに終始したのは選手側の力不足であったことを認めたうえで、「ここにいる全選手の代表として、明らかに協会のサポート不足で、W杯に向けた適切な準備はできる状況ではなかったことを知ってもらいたい。スペイン女子サッカーの今後の発展のためにも、何かを変える必要があると強く感じている。」と語り、スペインサッカー協会に対し早急な環境改善を訴えた。
その裏には、予定されていた米国での強化ツアーが急きょ中止となり、大会前の2ヶ月間でわずか数回の親善試合しか組まれなかったこと、協会の都合で練習場が度々変更されたことをはじめ、日本などが1週間前から現地で調整をする一方、スペインは初戦のわずか4日前にようやくカナダに到着するなど、欧州代表としてW杯に出場するには理想的とは言いがたい環境があったようだ。さらにボケーテは、「一向に結果がでていないのであれば、その責任を取るべきだ。これは今回の大会に参加した選手全員の意見としてスペインサッカー協会に伝えたい」とも述べ、27年間に渡って代表を率いるイグナシオ・ケレダ監督の解任を暗に要求した。今回の一連の発言がおおむね好意的に受け止められている一方で、いくつかの現地メディアは仮にボケーテの言い分が正しかったとしてもW杯敗退直後にすべき内容の発言ではなかったのではないかとも指摘している。
<男子女子サッカー、リオ五輪の会場が決定>
FIFA(国際サッカー連盟)は16日、来年開催されるリオ五輪の男女サッカートーナメントの会場となる6都市を発表し、オリンピック・スタジアムとマラカナン・スタジアムのあるリオデジャネイロを始め、ミネイロン・スタジアム(ベロオリゾンテ)、ナシオナル・スタジアム(ブラジリア)、アレーナ・アマゾニア(マナウス)、フォンチ・ノバ(サルヴァドール)、アレーナ・デ・サンパウロ(サンパウロ)の7会場が正式に決定した。なおオリンピック・スタジアムを除く6会場は、2014年のブラジルW杯に続き2度目の試合会場となる。リオ五輪の男女サッカーは、2016年8月3日から20日の18日間で合計58試合が行われる。
●女子バスケ:ユーロが開幕、フランス、トルコなどが準々決勝へ
女子のユーロバスケ(欧州選手権)は17日から予選第2ラウンドがスタートした。
全試合を消化したグループEでは、前回大会の準優勝と3位のフランスとトルコが4勝1敗で同率首位、そして同様に2勝3敗で並んだベラルーシとモンテネグロが3位と4位に入り準々決勝に駒を進めた。
一方グループFは、まだ1試合を残しているものの、今大会で唯一予選第1ラウンドから全勝を続ける前回大会の覇者スペイン、そして3勝1敗で2位につけるロシアの2ヶ国は最終節を待たずして、一足先に準々決勝進出を決めている。現在残り2枠となる3位と4位にはいずれも2勝2敗のリトアニアとセルビアが入っており、それを1勝3敗のスロバキアが追う展開となっている。なお22日の最終節、スロバキアは最下位のクロアチアと、セルビアはリトアニアと対戦する。
また、ホスト国のルーマニアとハンガリーは、グループAとグループDでそれぞれ全敗し、予選第1ラウンドで姿を消している。
●男子ホッケー:ワールドリーグ、決勝Rの第2ブロックがスタート
男子ホッケーのワールドリーグは、優勝のドイツを筆頭にアルゼンチン、オランダ、カナダの4ヶ国が11月のファイナル8への進出を決めた決勝ラウンドの第1ブロックに続き、世界ランク首位のオーストラリアが登場する第2ブロックがベルギーのアントワープで20日から開幕した。
決勝ラウンドの第2ブロックに出場する10ヶ国の内、インド(世界ランク9位)、オーストラリア(同1位)、パキスタン(同10位)、ポーランド(同17位)、フランス(同18位)が入ったプールAでは、まずオーストラリアがフランスに10-0と圧勝。フランスはインドにも2-3で競り負け早くも2敗目を喫した。
一方、英国(同5位)、ベルギー(同4位)、マレーシア(同12位)、アイルランド(同14位)、中国(同31位)の入るプールBでは、いきなり世界ランク上位同士の英国とベルギーが激突し、2-2の引き分けに終わっている。次節、英国はアイルランド、ベルギーは中国と23日に対戦する。
●女子ホッケー:決勝ラウンド第1ブロックは英国が初優勝
女子ホッケーのワールドリーグは、スペインのバレンシアで行われていた決勝ラウンドの第1ブロックが21日に終了し、英国が中国を2-0で下した。
2016年のリオ五輪予選を兼ねている関係でイングランドに代わって統一チームとして参加した英国は、世界ランク3位のアルゼンチンを2-0で下しプールAを4戦全勝の首位で終えると、準々決勝で南アフリカ、準決勝でも強豪ドイツ(同6位)を下し決勝まで登りつめた。決勝でも、ここまでわずか2失点の堅い守備が機能し、中国を2-0で退け、同ブロックでのチャンピオンに輝いた。
なお準決勝に残った英国、中国、ドイツ、アルゼンチンの4ヶ国は今年12月にアルゼンチンのロサリオで行われるファイナル8に進出。さらに英国、中国、ドイツの上位3ヶ国には、来年のリオ五輪の出場権も与えられることとなる。
一方、日本や世界ランク1位のオランダが出場する決勝ラウンドの第2ブロックは20日からベルギーのアントワープで始まった。プールAではオランダがフランスを11-0、プールBではオーストラリア(同2位)とニュージーランド(同4位)がポーランドにそれぞれ9-0と12-0で大勝するなど、強豪国は順当に初戦を白星で飾っている。なお大会2日目の21日に登場したプールAの日本は、初戦でフランスを6-1で下し好スタートを切っている。
●男子ハンド:2016年の欧州選手権の組み合わせが決定
男子ハンドボールは、ユーロ(欧州選手権)2016に向けた組み合わせ抽選会が本大会のメイン会場となるポーランドのクラクフで19日に行われた。
開催国のポーランドと予選を勝ち抜いた15ヶ国が4グループに分かれて競われるグループステージでは、2連覇を目指すフランス、2012年大会準優勝のセルビア、ホスト国のポーランドがグループA、またここまで優勝経験はないものの2004年から6大会連続で4位以内に入賞を果たしているクロアチアはアイスランドと共にグループB、さらに前回大会3位のスペインが入ったグループCは、過去最多優勝回数を誇るスウェーデン、2年振りに本大会出場を決めた強豪ドイツが肩を並べる今大会で最も厳しい死の組となった。最後に、2年振り3度目の優勝を狙うデンマークは、ロシアと同じグループDに入っている。
今回で12回目となるユーロ2016は、来年1月17日から31日までポーランドの5都市で行われ、大会開催期間がこれまでの15日間から17日間に延長される。これはグループステージの上位12ヶ国が進出する決勝ラウンドにおいて、これまでの1日3試合、合計18試合を6日間で消化するペースから、1日約2試合、合計18試合を8日間かけて消化するペースに日程を変更したためである。
なおグループステージの組み合わせは以下の通り。
グループA(クラクフ) : フランス、ポーランド、マケドニア、セルビア
グループB(カトヴィツェ): クロアチア、アイスランド、ベラルーシ、ノルウェー
グループC(ヴロツワフ) : スペイン、スウェーデン、ドイツ、スロベニア
グループD(ソポト) : デンマーク、ハンガリー、ロシア、モンテネグロ
●男子バレー:イタリア代表でのリオ五輪出場を目指すキューバ出身のファントレナ
トレンティーノ・バレー(イタリア)に所属する元キューバ代表のオスマニ・ファントレナは17日、来年のリオ五輪に向け代表復帰の意思があることを強調しつつも、「協会は僕にイタリアを去るように要求してきた。しかしそれを受け入れることはできない。しかがってイタリア代表としてリオ五輪を目指すつもりだ」と語り、キューバのバレーボール協会から提示された代表復帰の条件が受け入れがたいものであったことに落胆の色を示した。2003年から2006年までの4年間にキューバ代表として活躍したファントレナは3年間のブランクの後、2009年にイタリアへ亡命し、その翌年には同国の市民権を獲得。それ以来、故郷の代表からは遠ざかっている。
またファントレナは、「何かを変える必要がある。でも誰もその一歩を踏み出そうとしない。海外のリーグで成功しているキューバ選手はたくさんいるんだ」と述べ、同じようにキューバ代表復帰に前向きな姿勢を示しているロバートランディ・シモンやマイケル・サンチェスの存在を仄めかした。
2013年にスポーツ選手の国外プロ活動を認め、54年振りとなる門戸開放を発表したキューバだが、その一方で同国代表チームへの参加については依然として閉鎖的な厳しい現実が存在しているようだ。
トレンティーノ・バレーで欧州チャンピオンズリーグ3連覇(08-09、09-10、10-11)、2013年より2シーズン過ごしたトルコのハルク・バンクでも準優勝(13-14)、さらに個人タイトルでは同大会で2度(2010、2011)のMVPに選ばれるなどトップレベルで輝かしい経歴を持つファントレナだけに、自国の代表の発展に貢献したいと思う気持ちも人一倍強いのかもしれない。