育成年代のメンタリティー教育
2012/03/19
サッカーやフットサルにおいて欧州や南米でよく耳にするのが、『日本人選手は少年時代は卓越しているが、ジュニア世代あたりから欧州や南米の選手に全く歯が立たなくなってしまう』という現象である。今回は16歳から18歳までのジュニア育成年代、そしてその時期におけるメンタリティー教育について考察してみる。
まず、このジュニア育成という課題は日本でも多くの指導者の方々が頭を悩まされている課題であろう。16歳から18歳までのジュニア育成年代は選手としても非常に重要な分岐点を迎えており、指導者としての責任も計り知れない。主にジュニア年代での育成が特別に重要視されている理由は2つ挙げられる。
1.選手育成の最終段階にあたり、選手、人間としての基盤が完成する年代であること。
2.ユースでありながらも年代の異なるカテゴリーでの練習や試合に参加することが可能であり、レベルの高い試合をこなす回数が非常に豊富であること。
その他にも様々な理由が存在するが、ジュニア年代の適切な育成が重要であることは明白であろう。ボールスポーツでは、国籍を問わずに多くの指導者がまずジュニア年代では『楽しませること』の重要性を共有している。
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『楽しめる、上手になりたい、勝ちたい』
スペインのハンドボール、バスケット、サッカー、フットサルなどの指導者にも多く見られるこの『楽しませる』という考え方は、『楽しめる、上手になりたい、勝ちたい』というポジティブな動機付けに繋がりやすいためである。一方でジュニア年代では動機を失ってしまい、選手としての可能性を閉じてしまうだけでなく、多くの優秀な選手が競技を離れてしまう非常にデリケートな年代でもある。日本でもスペインでも似たような問題が起こっており、高校生などで競技に疲れ果ててしまう有能な選手は少なくないだろう。そのため、選手育成にあたってのメンタリティー教育は、常に重要であり続けるべきであろう。
さて、今回は私が知り合うことのできた多くの欧州の指導者、またスペイン・フットサル界の知将ヘスス・ベラスコ氏の意見、著書を参考にしながらジュニア育成年代のメンタリティー教育の要点を考察してみたい。日本の指導者の方々にとって、少しでも参考となればと願っている。
*まず、16歳から18歳までのジュニア選手について各指導者が忘れてはならない重要事項は主に以下の4項目である。
1・ジュニア年代は育成の最終段階にあるが、育成は終了していないという事実。
2・フィジカル、メンタル、感情面でも選手は完成されていないという事実。
3.したがって結果、パフォーマンスだけが選手の評価となるべきではない事実。
4・チームプレーを理解、実践する選手として成長する義務があるという事実。
ジュニア年代において、選手は必要不可欠なメンタリティー、技術動作、戦術動作を各指導者の下で習得して『チームプレーを理解、実践できる選手』へと成長する。このジュニア年代の選手達はそれを可能とするだけの条件、キャパシティ、希望と意欲に満ちているからである。さて、この『チームプレーを理解、実践する選手』を育てるためにはどのような要素を指導者は考慮、研究しながら選手と向き合うべきであろうか?
私はこの場所をお借りして、ヘスス・ベラスコ氏の著書『フットサル育成年代におけるトレーニング』を参考にしながら、ジュニア年代の選手形成に必要不可欠な要素を体系化してみることにした。
まずは、体系図をご覧になっていただきたい。最も必要不可欠とされる要素、それが「モチベーション」である。これを原点に選手は個人能力、集団への適応、成長へと貢献することができる。ある若い選手が「チームプレーを理解、実践する選手」へと成長するためには何が必要なのだろうか。青少年育成の現場に関わる指導者の方々に、この体系図から何らかのヒントを得ていただければ、私にとってそれ以上望ましいことはないだろう。
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