ヨーロッパ・ニュース Vol.7
2007/10/16
● ラグビー: ワールドカップ イングランド vs 南アフリカ決勝
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ラグビーのワールドカップフランス大会は、10月13、14日に準決勝2試合が行われ、イングランドと南アフリカが勝ち、10月20日の決勝進出が決まった。13日のイングランド対フランスは、ともにオーストラリア、オールブラックスという優勝候補を倒して勢いに乗る欧州の宿敵同士、しかも地元フランスということもあり、満員のサン・デニスタジアムは 大いに盛り上がった。互いに堅いディフェンスで前半は6-5フランスリードで折り返し。後半も終了5分前までフランスが9-8のリードを守り勝利をほぼ手中におさめていたが、ここからイングランドSOウイルキンソンの足が勝負をひっくり返す。75分にPGで逆転すると、78分にはドロップゴールでダメ押し。そのままフランスの最後の猛攻をしのいで劇的な勝利を挙げた。ここまでフランス、アイルランド、スコットランドの欧州強豪を破り初の決勝進出が期待されたアルゼンチンだったが、自力に勝る南アフリカに37-13と完敗。19日に行われる3位決定戦でオープニングゲームの再現となるフランスと対戦する。
“ウイルキンソンの名前の影にマイケル・ジョーダンの勘違いが”
前回大会優勝の立役者で今大会も得点王を走るイングランド国民のスーパースター、ジョニー・ウイルキンソン。度重なる怪我で2003年W杯後は1000日にもわたりプレーができす一時は選手生命を危ぶまれていたが、頼りになる男が帰ってきた。
実は彼の本名はジョナサン・ピーター・ウイルキンソンというのだが、なぜか彼はジョニーと名乗っている。少年時代、大ファンだったシカゴ・ブルズのマイケル・ジョーダンにサインをもらう機会があったのだが、ジョーダンがウイルキンソンの名前を聞き間違い、“ジョニーへ”と書いてしまったことがきっかけだとか。それ以来、彼は自分をジョ二ー・ウイルキンソンと名乗ることになり、その名は世界中に知れ渡ることになった。スポーツのスーパースターが少年少女に与える影響はかくも大きいのだ。
“ブルースの名物男、セバスチャン・チャバル”、3位決定戦出場停止か。
地元での決勝を前に敗れたフランスチーム“ブルース”の面々は終了のホイッスルが鳴るとショックを隠せず肩を落としたが、その中でもひときわ目を引いたのが、“洞窟男”セバスチャン・チャバルが見せた涙であった。192cm、114kgという巨漢ロックは、その長髪、顔全体を覆う髭という独特でワイルドな風貌と外観どおりの強烈な突進力で、“薬きょう”、“洞窟男”、“麻酔医”、“山男”、ネアンデルタール人(原人)“、“ラスプーチン”などと様々なニックネームで呼ばれ、フランス国民の人気者だ。そのチャバルの準決勝イングランド戦での危険なタックルについて、今週はじめに ラグビーコミッショナーによる裁定、処分が下されるが、次戦出場停止のペナルティが課せられる可能性が高いと見られている。3位がかかる最後の試合でチャバルの姿を見られないのはフランス国民にとっても大きな失望だが、何より大事な一戦で貴重なFWを1枚失うラポルテ 監督にとっては頭が痛い問題となる。
● 男子ハンドボール: EHFチャンピオンズリーググループリーグ第三節結果
ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグ、グループリーグ第3戦が行われ、スペインのFCバルセロナ、シウダーレアル、ドイツのTHWキール、HSVハンブルグ、VfLグメルシュバッハ、ハンガリーのピック・セジェッドが3連勝で首位を守った。またポートランド・サン・アント二オ、BMアデマール・レオンのスペイン勢2チームも2勝1分けでグループ首位をキープ。今季もスペイン、ドイツ勢が上位を独占する気配だ。
“第3節サプライズ! CLデビューチームが昨季CL準優勝チームを破る”
スペイン、ドイツの強豪チームが順当に勝ち進む中、グループGで、昨シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)準優勝のドイツの強豪FGフレンスブルグ・ハンデビットが、今大会CL初出場のポ-ランドチャンピオン、インテルフェリエ・ザグレビー・ルビンに32-33で敗れる番狂わせがあった。インテルフェリエはこれが記念すべきCL初勝利となった。
● 男子バスケットボール: NBAヨーロッパツアー全日程終了
10月6日から欧州各地で行われていたNBAプレシーズン欧州ツアーの全日程が終了した。
今年のツアーでの欧州vsNBAの対戦成績は欧州勢2勝3敗であった。
結果は下記のとおり。
エフェス・ピルセン・イスタンブール(トルコ)81vs84 ミネソタ・ティンバーウルブズ (トルコ、イスタンブール)
トロント・ラプターズ 85vs89 ボストン・セルティックス(イタリア、ローマ)
ロトマティカ・ビルトゥス・ロ-マ 87vs93 トロント・ラプターズ(イタリア、ローマ)
ウ二カハ・マラガ 102vs99 メンフィス・グリズリーズ(スペイン、マラガ)
ミネソタ・ティンバーウルブス 81vs92 ボストン・セルティックス( UK、ロンドン)
MMTエスツディアンテス 73vs98 メンフィス・グリズリーズ(スペイン、マドリード)
レアル・マドリード 104vs103 トロント・ラプターズ(スペイン、マドリード)
● 男子バスケット: 欧州チャンピオンとNBA チャンピオンが対決
NBAプレシーズンがはじまり、10月13日にNBAチャンピオンのサン・アントニオ・スパーズが 地元にユーロリーグチャンピオンのパナシナイコスを迎えてエキシビジョンマッチを行った。結果は欧州選手権で疲れの残るフランス代表トニー・パーカーを温存しながらもスパーズがダンカンの20得点などで119―91で余裕の勝利。2戦目にしてプレシーズン初勝利を挙げた。
● 野球: ベースボールがロンドンにやってくる可能性
今月、ロンドンのO2アリーナで、NHL、NBAのプロチームの欧州ツアー、フレンドリーマッチが 開催された。2週間後にはウエンブリースタジアムで、NFLニューヨーク・ジャイアンツvsマイアミ・ドルフィンズのゲームが行われる。UKの首都はにわかに欧州への進出をもくろむアメリカメジャーリーグの拠点となりつつある。
こうした動きに取り残されているメジャーリーグスポーツがベースボールである。世界規模での野球のプロモーション活動を行っているMLBは、数年前にメジャーリーグベースボールの公式戦をロンドンで行うプランを進めていたが実現しなかった。最大の障害は、ロンドンでメジャーベースボールの試合を行えるだけの十分なキャパシティのあるスタジアムがない、ということである。
欧州でのMLB公式戦開催候補地については、ロンドンだけでなくMLBのヨーロッパ・アカデミーのあるイタリアのローマも名乗りをあげている。イタリアでは、セミプロのベースボールリーグがある上、ロンドンと比べて天候面でもアドバンテージがある。現在MLBの試合を行えるほどの大きなスタジアムはないものの、将来的には建設するプランもあると言う。
2012年のオリンピック開催地であるロンドンは、2008年にIOCの投票でオリンピック公式種目から除外される野球、ソフトボールの復活に向けてイ二シアチブをとる役割が求められている。
こうした2012年に向けての動きもロンドンでのMLB開催の意義を高めると思われる。
● 男子バレーボール: 北京五輪 欧州予選組み合わせ
11月28日から12月2日まで、イタリア、ハンガリー、ドイツの3カ国で北京五輪欧州予選が行われる。各グループの勝者1チームがトルコのイズミールで行われる最終予選に進み、この大会で優勝した国が北京五輪出場権を獲得する。
イタリア
プールA イタリア クロアチア ルーマニア
プールB オランダ ギリシャ モンテネグロ
ハンガリー
プールA フィンランド エストニア ハンガリー
プールB ベルギー ポーランド デンマーク
ドイツ
プールA ドイツ チェコ ポルトガル
プールB フランス スロバキア スゥエーデン
● 男子バレー: W杯ワイルドカード出場はブルガリア
ロシアで行われた先の欧州選手権でブルガリアは8位に終わったが、11月18日から日本で行われるワールドカップにFIVBのワイルドカード枠で出場することになった。ブルガリアは現在FIVBの国際ランキング7位。欧州勢でワイルドカードを獲得する可能性が高いと思われていたFIVBランキング2位のポーランド、4位のイタリア、欧州選手権3位でFIVBランキング6位のセルビアよりもランクは低いが、イタリアのスポーツ紙によれば、ブルガリアのワイルドカードは欧州選手権前からすでに決まっていたとの情報もある。
● 男子バレー: スペイン優勝監督辞任
スペイン代表を欧州選手権初優勝に導いたイタリア人監督アンドレア・アナスタシ氏が10月8日、11月のW杯を前にスペイン代表監督を辞任することを発表した。欧州選手権後、スペインバレーボール協会(RFEVE)はアナスタシア氏の業績を評価、継続に向けて条件交渉を続けてきた。
アナスタシア氏は会見で、「スペイン協会からのオファーは完璧でした」と語り、辞任の原因は契約条件ではなく、家族の意向や個人的理由からと説明。「母国イタリアでのプロジェクトに関わりたい」、とも語りイタリア代表監督就任も噂されている。