ヨーロッパ・ニュース Vol.15
2007/12/11
● ハンドボール女子: 世界選手権2007
フランス大会メインラウンド、ベスト8をかけて最後の激突
|
||||
ハンドボール女子の世界選手権は、予選ラウンドを勝ち抜いた16チームによるメインラウンドが行われているが、メインラウンドも残すところあと1試合となった。
グループM1は最終戦を待たずに準々決勝進出の4チームが確定しているが、M2はグループ4位の座をめぐってスペインと韓国が勝ち点1差のまま最終戦を迎える。12月9日に行われた直接対決ではスペインが28-26で韓国を下している。スペインの最終戦はグループ最下位で勝ちのないポーランド、韓国はグループ3位のハンガリーと対戦する。
“メインラウンド進出チームは欧州勢が独占“
今大会では、当初の予想どおりメインラウンドに進出した12チームのうち 欧州勢が10、アジア1、(韓国)、アフリカ1(アンゴラ)と欧州優勢の結果となった。
優勝候補のノルウェーは、メインラウンドに入っても負けなしの4連勝。ロシア、
ドイツも順調に勝ち星を重ねている。
メインラウンド順位表 (太字は準々決勝進出チーム)
M1 | 勝ち点 | M2 | 勝ち点 | |||
1. | ノルウェー | 8 | 1. | ドイツ | 7 | |
2. | ロシア | 6 | 2. | ルーマニア | 6 | |
3. | アンゴラ | 6 | 3. | ハンガリー | 6 | |
4. | フランス | 4 | 4. | スペイン | 3 | |
5. | クロアチア | 0 | 5. | 韓国 | 2 | |
6. | マケドニア | 0 | 6. | ポーランド | 0 |
● ホッケー男子: サムソン・チャンピオンズトロフィー、ドイツが優勝
|
||||
11月29日から12月9日までクアラルンプールで行われたホッケーの国際大会、“チャンピオンズ・トロフィー”で、最終日順位決定戦が行われ、ドイツがオーストラリアをティモ・ウェスのゴールにより1-0で破り優勝。大会得点王は、オランダのエース、タエケ・タエケマと韓国のファン・ジョンジョンだった。
最終順位
1.ドイツ 2.オーストラリア 3.オランダ 4.韓国 5.スペイン 6.グレート・ブリテン 7.パキスタン 8.マレーシア
“ドイツ、世界ランキングで首位返り咲き”
ドイツは欧州国別対抗戦で4位となったこと受け、オーストラリアに世界ランキング1位の座を譲っていたが、この大会の優勝で再びポイントでオーストラリアを上回り首位に返り咲きを果たした。 3位オランダ、4位スペインは変動なし。
男子ホッケー最新世界ランキング
1.ドイツ 2.オーストラリア 3.オランダ 4.スペイン 5.韓国 6.パキスタン 7.アルゼンチン 8.イングランド 9.インド 10.ニュージーランド 11.日本
● バレーボール: 欧州オリンピック予選組み合わせ決まる
12月5日、6日の両日、来年1月に行われる男女バレーボールの欧州オリンピック予選の組み合わせが、開催地であるトルコのイズミ-ル(男子)、ドイツのホール(女子)で行われた。
予選は、プールA、Bの2グループごとに4チームが総当り戦を行い、上位2チームが決勝トーナメントに進む。この大会の優勝チームは北京五輪の切符を手にすることができる。
男子: (1月7日〜12日: トルコ、イズミール) ( )内はFIVB最新ワールドランキング
プールA: イタリア(10)、スペイン(6)、ポーランド(5)、オランダ(29)
プールB: トルコ(42)、セルビア(6)、ドイツ(19)、フィンランド(22)
女子: (1月15日〜20日: ドイツ、ホール)
プールA: クロアチア(44)、ロシア(5)、セルビア(7)、ルーマニア(48)
プールB: ドイツ(15)、オランダ(10)、ポーランド(9)、トルコ(22)
● ラグビー: ハイネケンカップ第3節
|
||||
シックス・ネイションズに参加している地域のクラブチームによる欧州クラブ対抗リーグ、ラグビーのハイネケンカップのグループリーグ第3節が行われ、プール1ではロンドン・アイリッシュがフランスのペルペニャンを下し3連勝。プール2のグローセスターとともに無敗をキープしている。プール5のディフェンディングチャンピオン、ロンドン・ワスプスはクレルモンに敗れた。
グループリーグ第3節結果
グラスゴー | 9 | – | 6 | ビアリッツ | ||
ロンドン・アイリッシュ | 24 | – | 16 | ペルペニャン | ||
スタッド・フランス | 12 | – | 6 | カーディフ・ブルーズ | ||
トレビソ | 33 | – | 35 | ニューポート・ドゥエンドゴンズ | ||
クレルモン・オーベルン | 37 | – | 27 | ロンドン・ワスプス | ||
ハーレクイーンズ | 3 | – | 17 | ブリストル | ||
サラセンス | 71 | – | 7 | ビアダナ | ||
レイチェスター | 14 | – | 9 | トゥールーズ | ||
ジャネリ・スカーレッツ | 16 | – | 29 | マンスター | ||
レインスター | 28 | – | 14 | エジンバラ | ||
オスプレイズ | 48 | – | 17 | ウルスター | ||
ブルゴアン | 7 | – | 31 | グローセスター |
● 男子バスケット: ユーロリーグ第7節
12月5日と6日、ユーロリーグ男子第7節が行われ、グループCのパナシナイコスはレアル・マドリードを92-85で下し、全勝をキープ。グループAの首位CSKAモスクワもビルトゥス・ボロニアに79-53勝って1敗を守った。また、グループBはリエトゥボス・リタス、ウ二カハ・マラガ、マカビ・エリートの3チームが5勝2敗と勝ち点で並び、4勝3敗の2チームが続く混戦となっている。
● 女子バスケット: ユーロリーグ第5節
12月5日と6日、ユーロリーグ女子第5節が行われ、グループAのCSKAモスクワ(ロシア)、グループBのUMMCエカテリンブルグ(ロシア)、グループDのロス・カセレス・バレンシア(スペイン)がそれぞれ5連勝で首位をキープ。グループCのチェコのガンブリヌス・ブルノも4勝1敗で首位にたっている。
● アイスホッケー: NHLドラフト制度に反発する欧州主要リーグの動き
スウェーデン代表選手でもあるストラルマン選手は、将来有望なディフェンスとしてスウェーデンエリートリーグのティムラ・レッド・イーグルスでプレーしていたが、2005年にNHLドラフト7順目で名門トロント・メイプルリーフスに指名された。22歳になる彼は、今季メイプルリーフスでのロースター入りを逃し、AHL(アメリカのアイスホッケー独立リーグ)のトロント・マーレーズでプレーすることになったが、スウェ-デンアイスホッケー連盟のクリスター・イングランド氏は、こうしたNHL勢によるヨーロッパ選手の青田刈りの動きに懸念を表明しており、スウェーデンがロシアに続いてNHLとの国際移籍協約より脱退することを決めた理由のひとつに挙げている。
イングランド氏は言う、「我々は非常にレベルの高いリーグを持っているにもかかわらず、ストラルマンはわずかスウェーデンエリートリーグでわずか1年しかプレーすることがなかった。彼にとっては 2、3年エリートリーグでプレーして、NHLに向けての準備をした方がよかったはず」
IIHF(国際アイスホッケー連盟)と、チェコ、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、スロバキアの6ヶ国は、この6カ国に所属する選手について、“ローカルリーグとの間の契約期間が残っていてもNHLにドラフト指名する権利を与える代わりに、指名選手1名につきNHLが所属リーグに20万USドルの補償を行う”、という内容の選手移籍条約に調印したが、この条約に加盟していない国の選手については、NHLはローカルリーグとの契約のある選手の指名は認められておらず、チームとの契約が切れた選手しか指名できない仕組みになっている。
今年8月に、加盟国のひとつであったロシアが条約から脱退。その結果、ロシアからは今季のドラフトではわずか9名の選手しか指名されない事態となった。これは1988年以来の最低の数で、さらに指名された選手のうち2順目にまでに入ったのはわずか2名だけである。
イングランド氏は言う、「昨シーズン、ヨーロッパから57名の選手がドラフト指名されたが、NHLに残った選手はわずか7名だけだった。彼ら、NHLロースターから漏れた若手選手は、アメリカの独立リーグでプレーするよりも、レベルの高い欧州のリーグでプレーするべきだと思うし、またNHLのチームももっと選手に対する補償を考えるべきだ」
先週、スウェーデン・アイスホッケー連盟は役員投票によりIIHFとの条約からの脱退を決めたが、隣国フィンランドのアイスホッケー協会も自国の若手選手のAHLなど独立リーグへの流出を懸念しており、近々条約からの脱退について協議、賛否の是非を問う投票を行うことを決めている。
こうした動きはNHLにとっても危惧するべき問題である。なぜなら、ロシアのようなフリーエージェント制のリーグでは、チームは若手選手に対して複数年契約を結ぶことを強要することが増え、 結果NHLやAHLがドラフトで選手を獲得できるチャンスが減ることになるからだ。
こうした条約からの脱退の動きについては、若手流出問題とともにNHLからの補償額アップを要求する狙いもあると見られている。実際にフィンランド協会では、脆弱化するUSドルではなく、ユーロでの支払いを要求する、という意見も出ている。