ヨーロッパ・ニュース Vol.16
2007/12/18
● ハンドボール女子: 世界選手権2007 フランス大会、ロシア優勝
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ハンドボール女子の世界選手権決勝、3位決定戦が12月16日行われ、ロシアがノルウェーを29-24で下して優勝、北京五輪への切符を手に入れた。
1週間前に行われたメインラウンドでも対戦した両者だが、このときはノルウェーが22-21の僅差で勝利していた。この日は前半15分まではノルウェーが6-7でリードする展開となったが、その後エレナ・ポレノバの連続得点などでロシアが攻勢をかけ、前半は16-12とロシアリードで終了。2001年の世界選手権イタリア大会でも決勝でロシアに敗れたノルウェーは、後半ヨハンソン、カリー・メッテ、アネッテ・ホビンらを中心に反撃を試み、一時は21-20と1点差まで追い上げたが、ロシアエースのポスノバが奮起し、後半終了5分前には26-22とセーフティリードをつけて金メダルを獲得した。
3位決定戦はドイツがルーマニアを36-35で下し銅メダルを獲得し、予想通りヨーロッパ勢が金銀銅を独占した。トップスコアラーには大会通算85ゴールを挙げたドイツのジュラク・グリット選手が輝いた。
<最終順位>
1.ロシア 2.ノルウェー 3.ドイツ 4.ルーマニア 5.フランス 6.韓国 7.アンゴラ 8.ハンガリー 9.クロアチア 10.スペイン 11.ポーランド 12.マケドニア 13.ウクライナ 14.ブラジル 15.チュニジア 16.オーストリア 17.コンゴ 18.カザフスタン 19.日本 20.アルゼンチン 21.中国 22.ドミニカ共和国 23.パラグアイ 24.オーストラリア
● バレーボール: INDESIT欧州チャンピオンズリーグ
“男子予選ラウンド”
FIVBワールドカップ日本大会が終了し、先週から男子のチャンピオンズリーグも再開した。 12月12、13日には第3レグが行われ、プールAはフランスのASカンヌがイタリアのクエノを下し3連勝でグループ首位をキープ。プールBのギリシャのパナシナイコスもモンテネグロのポドゥロリカを3-1で下し同じく3連勝を飾っている。強豪が揃うプールCは2連勝同士の対戦となったが、ロシアのディナモ・カザンがホームでフルセットの末VfBフリーデシャフェンを破り3連勝で首位に立った。柴田選手が所属するアルメリアはこの日もオリンピアコスに敗れ3連敗でグループ最下位。プールDはイタリアのコプラ・ピアツェンサが、プールEでも同じくイタリアのシスレー・トレビソが3連勝を飾っている。プールFでは、3-0でベルギーのマーセイクを下したロシアのディナモ・モスクワが3連勝で順当に首位を堅持している。
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“女子予選ラウンド”
第3レグに入った女子は、スペイン、ロシアチャンピオンが揃ったプールEがオランダのアムステルベーンの予想外の健闘で混戦となっている。スペインのSparテネリフェ・マリチャルは ローガン・トムを擁するロシアのチャンピオン、ディナモ・モスクワに3-1で勝利して2位に浮上。デラ・アムステルべーンはこの日もオーストリアのポスト・シュウエツァに危なげなく勝ち、3連勝でこのグループの首位をキープしており、今後の3チームの争いが楽しみだ。プールDは、スペインのグルーポ・2002ムルシアとシリオ・ペルージャの好カードとなったが、2-2でタイの最終セット、ペルージャが14-11でマッチポイントまで追い詰めたものの、ミスを重ねムルシアに18-16で逆転負けを許し、2勝1敗同士となったが得失セット差でペルージャがかろうじて首位を守った。井野選手がプレーするRCカンヌは、プールAでポーランドのファルムティル・ピラにフルセットで敗れ2敗目を喫し3位に後退した。グループ首位は3連勝でイタリアのビニ・モンテスキアーボ・ジェシ。
● バスケット男子: ユーロリーグ予選ラウンド
12月12、13日に、男子のユーロリーグ第8節が行われ、グループAのCSKAモスクワはポーランドのプロコム・ソポットにホームで地力の差を見せ99-67で大勝。7勝1敗で依然グループ首位をキープしている。イタリアのモンテパシ・シエナが2敗を守り2位につけている。グループBは、得失点差でわずかにウ二カハがリーダーに立っているが、ウ二カハ、リエトゥボス・リタス、マカビ・エリテがいずれも勝ち、6勝2敗で並ぶ混戦が続く。グループCではこれまで7戦全勝のギリシャのパナシナイコスが、2勝5敗と下位に沈んでいるイタリアのロティマルカ・ローマに85-67でまさかの敗戦、今大会初の黒星を喫した。背後にはスペインのAXA FCバルセロナとレアル・マドリードの両雄が2敗で迫っている。
● 女子サッカー: アーセナル・レディースがSJAスポーツアワーズ受賞
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イングランドのスポーツジャーナリスが毎年選ぶ“第59回SJAスポーツ・アワーズ(アニュアル・スポーツ・ジャーナリスト・アワーズ)が13日発表され、チームスポーツカテゴリーでノミネートされていた女子サッカーのアーセナル・レディースが受賞した。アーセナル・レディースは昨シーズン、 ヨーロッピアン・カップ優勝、リーグ優勝、FAカップ優勝、リーグカップ優勝と前人未到の4冠を達成。ラグビーワールドカップフランス大会で南アフリカに敗れたものの準優勝となったラグビーイングランド代表チームを抑えての受賞となった。イングランドでもまだまだマイナーな女子サッカーではあるが、プロチームとして長年に渡って女子サッカー振興をサポートし、実績を作ってきたアーセナルの貢献がプロのスポーツジャーナリストに評価された結果である。
● ハンドボール: ロンドンオリンピックにむけてUKハンドボール協会が直面する問題
2012年のロンドンオリンピックに向けて、イングランドではすでに各競技のレベルアップに関する調査が行われているが、ドイツ、フランス、スペイン、スウェーデンをはじめとする欧州全域で人気、レベルとも高いハンドボールでは、イングランドはなぜか人気、実力とも全くぱっとしない。
先にルクセンブルグで行われた“ハンドボール・チャンレンジトロフィ-”にイングランドハンドボール協会から旅費負担の予算がついたのだが、これは何と過去3年半で初めてのことだという。イングランドハンドボールチームのヘッドコーチであるポール・マックダーモットは5年以上も前から国内でのハンドボ-ル選手の育成と競技の振興に取り組んでいるが、協会の財政難に加えて、若い選手が他の都市との交流戦などを行えるような自治リーグなどの環境がないことなど問題が多いと考えている。しかし2012年のロンドンオリンピック開催に向けて、国がスポーツ育成予算を増やす動きは、ハンドボールの振興、人気上昇を狙う絶好のチャンスである。
隣のフランスではハンドボールだけで20ものカテゴリー・リーグが存在する人気スポーツだ。イングランド協会はオリンピック予算という潤沢な資金を得るが、ひとつの競技をトップレベルに引き上げることは一朝一夕に成し遂げられることではない。協会そしてオリンピック強化委員会は、若手有望選手を中心としたナショナルチーム作りを念頭に置いた4年間の長期プランをしっかり組み立て実行していく必要がある。草の根レベル・学校レベルでのハンドボール普及、他のスポーツからの選手の転身のためのハンドボールへの適正チェック、ハンドボールのトップリーグのレベルアップなどやるべきことは多い。果たして来るべきロンドンオリンピックまでに間に合うかどうか。