ヨーロッパ・ニュース Vol.19
2008/01/15
● バレーボール男子: セルビアが欧州オリンピック予選優勝、北京へ!
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トルコのイズミールで行われていたバレーボール男子欧州オリンピック予選決勝が13日行われ、フルセットの接戦の末セルビアがスペインに勝利。念願のオリンピック出場権を手にした。
第一セット、第二セットを26-24、25-16で続けてとったスペインはこのまま勢いに乗って試合を決めるかに見えたが、ここから、大一番でのプレッシャーに弱いスペインの悪い癖が出てしまった。第三セット、セルビアは強烈なサーブで攻めスペインのレシーブを崩し19-25でこのセットをとると、第四セットは15-25と完全に試合のペースを握った。
最終セット、セルビアが先行しスペインが追いつく展開のまま、スコアは15対15のタイにもつれこむが、最後はセルビアが15-17で逃げ切った。この試合の勝敗を分けたのは、技術、戦術面よりも、追い込まれてから勝負強さを見せるバルカン半島の国民性と、優位に立つと油断してしまいがちなイベリア半島の国民性の違いかもしれない。
イタリア、ポーランドは一次リーグ敗退”
先のワールドカップでオリンピック出場を決めているロシア、ブルガリア以外にも強豪ぞろいの欧州勢だが、一次リーグでは、グループAで世界最強プロリーグを持つイタリア、2006世界選手権準優勝のポーランドという世界規模の大会で好成績を残している強豪国が予選で敗退し、代わって台頭してきたスペイン、オランダ、フィンランド、セルビアという新興国が準決勝に進出したのが印象的であった。欧州からはすでに3チームがオリンピック出場権を確保したが、5月にポルトガル、ドイツ、日本で行われる世界最終予選が出場枠を賭けた最後の戦いとなる。
<北京オリンピック欧州予選全結果>
一次リーグ順位 ※( )は勝敗
【グループA】
1.スペイン(2-1) 2.オランダ(2-1) 3.ポ-ランド(1-2) 4.イタリア(1-2)
【グループB】
1.セルビア(2-1) 2.フィンランド(2-1) 3.ドイツ(2-1) 4.トルコ(0-3)
※勝率が同じ場合はセット数により順位が決定
準決勝
スペイン 3:1 フィンランド セルビア 3:0 オランダ
● バスケット男子: ユーロリーグ一次予選第11節サマリー
1月9、10日に行われたユーロリーグ一次予選第11節で、新たに6チームがファイナル16入り を決め、ファイナル16のうち11チームが確定した。残り4節で5つの枠をめぐって激しい戦いが繰り広げられる。グループAでは、すでに前節にファイナル16入りを決めている首位CSKAモスクワが2位のオリンピアコスにアウエーで破れ、オリンピアコスは7勝4敗としてファイナル16へ。モンテパッシはタウ・セラミカに勝利し7勝4敗とし、敗れたタウ・セラミカも同じ勝率でファイナル16進出を決めた。グループCでは10勝1敗で全グループ勝率首位のオリンピアコスがアウエーでFCバルセロナと対戦、55-56の僅差でバルセロナを下しかろうじて1敗を守った。その他、グループBのマカビー・エリーテ、グループCのレアル・マドリードがそれぞれ勝利し、新たにファイナル16に名乗りを上げた。ファイナル16進出チームの国別は、スペイン4、ギリシャ2、リトアニア2、トルコ1、ロシア1、イタリア1となっている。
<第11節終了時点ファイナル16進出チーム> ( )は勝敗
グループA:CSKAモスクワ(9-2)、オリンピアコス(7―4)、タウ・セラミカ(7-4)、モンテパッシ・シエナ(7-4)、ザルギリス(7-4)
グループB:リエトゥボス・リタス(9-2)、ウ二カハ(8-3)、マカビ・エリーテ(8-3)
グループC:パナシナイコス(10-1)、レアル・マドリード(8-3)、FCバルセロナ(8-3)
● アイスホッケー男子: 2008IIHF 欧州チャンピオンズカップ、メタルルグ優勝
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ロシアのサンクト・ペテルスブルグで行われていた第4回ヨーロピアン・チャンピオンズ・カップ決勝が1月13日に行われ、ロシアのメタルルグ・マグニトゴルスクがチェコのスパルタ・プラハを5-2で破り優勝を飾った。これで過去4回すべての大会でロシアのチームが優勝したことになる。
メタルルグは、2003-2006にはスパルタ・プラハでプレーしてたチェコ人FWのヤン・マレックが古巣に2発のゴールを浴びせたほか、ミルノフが第二、第三ピリオドに1点ずつゴールを決めるなど終始優勢に試合を運んだ。守備でもアメリカ人GKのトラビス・スコットの好守など固い守りで相手のチャンスをつぶし突け入る隙を与えなかった。MVPにはメタルルグのディフェンスの要ビターリ・アチュショフが選ばれた。メタルルグは、今季の秋から行われることになったビクトリアカップで欧州代表としてNHLのチームと対戦する。
なお、2008-2009シーズンからは、これまでのヨーロピアン・チャンピオンズ・カップに代わり、より規模を拡大したリーグ戦形式の“チャンピオンズ・ホッケーリーグ”として新たなスタートを切る。
● アイスホッケー男子: 欧州最強を決める「チャンピオンズ・ホッケー・リーグ」今季からスタート
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ヨーロピアン・チャンピオンズ・カップ決勝の前日、2008―2009シーズンから同カップ戦に代わり新たにスタートする ビッグトーナメント、“欧州チャンピオンズ・ホッケー・リーグ(CHL)”の大会概要が、国際アイスホッケー連盟(IIHF)と大会主催エ-ジェントにより発表された。
CHLはサッカーの欧州チャンピオンズリーグに習い、欧州各国のナショナルチャンピオン、リーグチャンピオンとなったクラブチームがリーグ戦形式で戦うというもの。初年度は予選ラウンドを3チームずつ4組に分けて行い、ホーム&アウエーで計30試合を戦う。
IIHF(国際アイスホッケー連盟)は、創立100周年にあたる今季からの開催を視野に入れて大会主催エージェントであるオベーション・スポーツ社と3年契約を締結した。
ファーストシーズンとなる今年のCHLは10月8日から予選ラウンドがスタートする(開催曜日は 水曜日)。チェコ、フィンランド、ロシア、スウェーデンの各国からはナショナルチャンピオンとレギュラーシーズン優勝チームの2チームがシード権を所有する。ドイツ、スロバキア、スイスはナショナルチャンピオンのみ出場権が与えられる。残りの1枠がどこの国に与えられるかは近日中に発表される予定。CHL優勝チームには欧州ナンバーワンクラブの象徴としてシルバー・ストーン・トロフィーが贈られ、欧州代表として来年のビクトリアカップに派遣され、NHL代表と世界ナンバーワンを賭けて戦う。
特筆すべきは、総額1000万ユーロ(約16億円)にものぼる巨額な賞金が大会参加全チーム、各国のリーグ協会、アイスホッケー連盟にまで分配されるシステムであろう。
大会の全参加チームには 特別協賛金として30万ユーロ(約4800万円)が授与されるほか、 以降予選リーグで勝利を重ねるごとに5万ユーロ(約800万円)の勝利ボーナス、決勝トーナメント進出チームには20万ユーロ(約3000万円)の報奨金、優勝チーム賞金100万ユーロ(約1億5千万円)、準優勝50万ユーロ(約8000万円)と巨額の報酬が大会主催者から支給されることが約束されている。
2年後の2009-2010シーズンからはさらに規模を拡大し、参加枠を24チームに増やして予選ラウンドも2回に分けて行う予定だという。またこの大会に呼応したヨーロッパの新クラブランキングシステムも導入されるなど、同大会がヨーロッパのアイスホッケー界を大きく変えるものとなりそうだ。
このビッグプロジェクトには、欧州のアイスホッケーが持つ潜在的なポテンシャルに目をつけたロシアのガスプロムグループをはじめとする複数の投資グループから資金面でのバックアップがある。国からの財政面での援助は一切ないという。IIHFは、この大会が欧州アイスホッケーのさらなるレベルアップとビジネスとしての発展につながるものとして大きな期待をかけている。