ヨーロッパニュース一覧

2008-4-1

ヨーロッパ・ニュース Vol.30

2008/04/01

バレーボール男子: Inddesit欧州チャンピオンズ リーグ、男子はディナモ・カザンが優勝

ポーランド、ロッズ
ポーランド、ロッズ

 2007-2008シーズン欧州チャンピオンズリ-グ最終ステージとなるファイナル4がポーランドのロッズで29、30日の2日間行われ、ロシアのディナモ・タトゥランスガス・カザンが優勝した。
 29日からはじまったファイナル4準決勝では、ディナモ・カザンとイタリアのコプラ・ピアツェンサが勝ち抜いて決勝進出を決めたが、30日に行われた決勝戦でディナモ・カザンが19-25、26-24、18-25、25-17、15-10のフルセットの末コプラを破り優勝した。優勝したディナモ・カザンは8年前に新クラブに変わって以来初の欧州制覇となった。



“フルセットの末の栄冠”

 ミエジュスキ・アレーナの超満員9200人もの観衆の中で行われた 決勝戦はファイナルにふさわしい手に汗握る接戦となった。
 第一セットディナモは、ファイナル4ステージMVPに輝いたエースの クレイトン・スタンレーを中心に攻撃を仕掛けるが、コプラも高いブロックで応酬。また左サイドからフリスト・ズラタノフのクロスも効果的   に決まり、コプラがリードしたままそのまま19-25の6ポイント差で このセットをとる。2セット目に入るとカザンもエンジンがかかりはじめ序盤からリードする。終盤になるとコプラが20-18と逆転に成功し、一時は24-23のセットポイントを握るも、ここでフランツ・グランボルカのスパイクがアンドレイ・エゴルチェフにシャットアウトされカザンは24-24に追いつく。最後はスタンリーが決めこのセットはカザンが26-24でとりイーブンに戻した。第3セットは両チーム一進一退が続いたが、勝負どころでジョアン・パウロ・ブラボのブロックが決まるなどコプラが20-17でカザンを突き放しそのままこのセットはコプラがとって 2-1と王手をかける。第4セットに入ると、スタンレーとテトゥキンのクレバーなスパイクを中心にカザンが立て直しをはかりスコアを重ねる。結局25-17でカザンがこのセットをとるとセットカウント2-2でいよいよ最終セット、タイブレークへ。最終セットは前のセットからの勢いに乗るカザンが序盤からリードを広げると、もはやピアツェンサに反撃する力は残っていなかった最後は15-10でカザンが勝利をおさめ、半年にわたり戦いを繰り広げてきたチャンピオンズリーグの頂点に立った。

<ファイナル4全結果>

準決勝 (3/29)
ディナモ・カザン(ロシア) 3-2 PGEスカラ・ベルチャトフ(ポーランド)                                     

コプラ・ピアツェンサ(イタリア) 3-1 シスレー・トレビソ(イタリア)

決勝 (3/30)

ディナモ・カザン(ロシア) 3-2 コプラ・ピアツェンサ(イタリア)

3位決定戦 (3/30)

PGEスカラ・ベルチャトフ(ポーランド) 3-2 シスレー・トレビソ(イタリア)

<ファイナル4大会各賞受賞者>

MVP: クレイトン・スタンレー(ディナモ・カザン)

ベストスコアラー: フリスト・ズラタノフ(コプラ・ピアツェンサ)

ベストスパイカー: マリウツ・ヴァスリ-(PGEベルチャトフ)

ベストレシーバー: アレサンドロ・ファリーナ(シスレー・トレビソ)

ベストサ-バー : ジョアン・パウロ・ブラボ(コプラ・ピアツェンサ)

ベストブロッカー : アレクサンダー・ボゴモロフ (ディナモ・カザン) 

ベストセッター  : マルコ・メオーニ(コプラ・ピアツェンサ)

ベストリベロ   : セルジオ・ドゥトゥラ・ドス・サントス(コプラ・ピアツェンサ)



ハンドボール女子: 北京オリンピック世界最終予選結果

 3月26日から28日までドイツのライプチヒ、ルーマニアのブカレスト、フランスのニームの3箇所に別れて北京オリンピック世界最終予選が開催された。
それぞれ4チームに分かれて総当り戦を行い上位2チームがオリンピック出場権を獲得するが、3月20日に出されたCAS(スポーツ仲裁裁判所)の裁定により昨年8月に行われたAHF(アジアハンドボール連盟)主催のアジア予選が有効と認められたことで、本大会に韓国が出場。代わってスペインが出場できなくなるなど一部に影響が出た。
最終予選の結果、ドイツ、スウェーデン、ルーマニア、ハンガリー、フランスのヨーロッパ勢5カ国と韓国の合計6チームが最後の北京オリンピック出場権を獲得した。

<最終結果> ( )内の数字は勝 ― 敗 ― 分
トーナメント1  (ドイツ、ライプチヒ)
1.ドイツ(3-0)、2.スウェーデン(2-1)、3.クロアチア(1-2)、4.キューバ(0-3)

トーナメント2 (ルーマニア、ブカレスト)
1.ルーマニア(3-0)、2.ハンガリー(2-1)、3.日本(1-2)、4.ポーランド(0-3)

トーナメント3 (フランス、ニーム)
1.フランス (2-0-1)、2.韓国(2-0-1)、3.コンゴ(1-2)、4.コートジボアール(0-3)



ハンドボール女子: 2008ウーマンズチャンレンジトロフィー結果

 EHF(欧州ハンドボール協会)主催の第5回ウーマンズチャンレンジトロフィーが 3月26日から30日までキプロスのラルナカで行われた。
 この大会はヨーロッパ圏のナショナルチーム発展途上国の強化を目的として 1999年から毎年行われているもので、ボスニア・ヘレツゴビナ、キプロス、エストニア、フェロー諸島、フィンランド、イングランド(GB)、マルタ、イスラエルの8カ国が参加して行われた。
 第一ラウンドは2グループに分かれて総当りのリーグ戦を行い、各グループの上位2チームが準決勝へ、残りのチームは順位決定戦にまわる。
 準決勝にはボスニア・ヘレツゴビナ、フェロー諸島、イングランド、フィンランドが残り、フェロー諸島対フィンランドの顔合わせとなった決勝では25-17でフィンランドが勝ち優勝した。

最終順位は以下のとおり

1.フィンランド、2.フェロー諸島、3.ボスニア・ヘレツゴビナ、4.イングランド(GB)、5.キプロス、    6.エストニア、7.イスラエル、8.マルタ



ホッケー男子: ユーロホッケーリーグファイナル4決定

 24日、ユーロホッケーリーグノックアウトラウンドは、24日準々決勝の残り2試合が行われ、ホームクラブのクルブ・エガラ(スペイン)がサンジェルマン(フランス)を0-4で、オランダのHCロッテルダムがイングランドのレディングHCを3-2で破り、オランダのHGC、ドイツのユーレンホルスターHCとともにファイナル4ステージへ駒を進めた。


バスケット: 来シーズンのNBAヨーロッパツアー日程発表

 NBA(全米バスケットボール協会)は27日、来シーズンヨーロッパの各都市で4試合のプレシーズンゲームを行うことを正式に発表した。“NBAヨーロッパ・ライブ2008”と名づけられたこのツアーの開催予定は次のとおり。NBAのヨーロッパツアーは3年連続となるが、NBAの欧州興行に協力するユーロリーグは、こうした興行がNBAの欧州進出の動きにつながることに危惧を感じていないと明言する。
むしろ、ユーロリーグ加盟クラブとの提携やヨーロッパの観衆が本場のバスケットボールを見る機会を持つことはバスケットボール全体の人気につながることを強調。NBAとともにバスケットボールの“グローバルスポーツ化”を推進していきたいと考えているようだ。

<2008NBAヨーロッパツアー日程>
10/9  パリ     ニュージャージー・ネッツ vs マイアミ・ヒート
10/12 ロンドン   ニュージャージー・ネッツ vs マイアミ・ヒート
10/14 ベルリン   ワシントン・ウイザーズ vs ニューオリンズ・ホーネッツ
10/17 ベルリン   ワシントン・ウイザーズ vs ニューオリンズ・ホーネッツ


野球: ヨーロッパベースボールコングレス2007開催

 3月27から30日まで、マルタでCEB(ヨーロッパベースボール連盟)の2007年次総会が開催され、2009年に欧州で開催されるベースボール・ワールドカップなどのテーマについて話し合いが持たれた。また期間中はMLB(アメリカベースボールメジャーリーグ)主催の野球クリニックや地元マルタ野球協会(MAB)公認コーチによる球技“ティー・ボール”のセッションなども同時に開催された。

“ティー・ボール”
“ティー・ボール”とは野球やソフトボールの競技特性をとりいれたスポーツで、基本的なルールは野球に近いが、一番の違いはピッチャーがいないこと。バッターはホームベース上に設置されたティーの上に置かれたボールをバットで打つ。野球よりも小さなフィールドで行われるがそれ以外のルールはほぼ野球と同じ。よりボールが打ちやすくなることで男女ともに楽しめるほか、子供たちが野球の基礎を身につけるためのトレーニングにもなる。


英国、スポーツ税法の改正で国際イベント開催の危機

 英国で先ごろ改定されたスポーツ税が目下大きな論争を呼んでいる。この税法は英国内で英国通貨をべースに収入を得る海外のスポーツ選手、団体、エージェントに対して課税するというもので、この税法の是非をめぐって、新税法を導入した財務省と、異議を唱えるDCMS(文化、メディア、スポーツ省)が真っ向から対立している。この税法によって英国内でプレーする外国人スポーツマン、英国内で開催される外国籍の団体によるスポーツイベントはずべて課税されることになり、本国での課税を免除されない限り、税金を2重に支払う事態が発生する。
 実際この税法の改正後、国際的なスポーツイベントが開催地をイングランドから他の国へ移す動きが加速しており、スポーツ関係者はこのような動きより英国での国際的スポーツイベントが激減することに大きな危機感を抱いているのだ。
 この余韻で、UEFA(欧州サッカー連盟)は2010年の欧州チャンピオンズリーグの決勝戦の開催地として最有力候補であったロンドンのウエンブリースタジアムではなく、スペインのサンチアゴ・ベルナベウスタジアムが選ばれる可能性が高くなった。またUEFAは同じ2010年のUEFAカップ決勝会場も、候補となっているロンドンのエミレーツスタジアムでなく、ドイツのハンブルグになる見込みを明らかにした。UEFAのミシェル・プラティ二会長は、これらの決定が英国の「税法の改正」によることを示唆し、「英国政府が我々主催の大会で選手に課税する可能性に対して大きな懸念を持っている」と新たな税制施行への不安を表明している。
 今後チャンピンズリーグの決勝戦だけでなく、英国が立候補している2018年のサッカーワールドカップ開催国、F1の英国グランプリ、陸上ワールドグランプリやクリケットの国際トーナメントなどさざまな国際スポーツイベントの開催に影響が及ぶことが予想される。さらにイベント開催の危機だけでなく、外国人スポーツ選手が英国内でのスポーツイベントへの参加をボイコットする可能性もあると言う。
 “国際的なスポーツイベントを積極的に誘致する”という英国政府の政策に反したとも思えるこの税法改正に英国サッカー協会は「天下の愚法」と声を荒げるが、文化・スポーツ・メディア省と財務省はこの税法をめぐって真っ向から対決している。ある議会関係者は、「確かに財務省は税法のルール自体を変えたわけではないが、解釈を変えて外国人選手への課税を徹底することにしたのだが、これはかなり強引なやり方だ」と一連の騒動に感想を述べた。
 文化省の長官アンディ・バーンハムらは財務省に対して税法の再見直しを働きかけており、各スポーツ団体もこの動きを支援しておるものの、財務省サイドは一向に譲る気配を見せていない。それどころか財務省スポークスマンは昨日声明を発表し、「UEFAが何を懸念しているのか理解できない。ルールは変わっていないのだから」と開催への影響はないことを主張。さらに、「解決に向けてこの問題をUEFAと話し合いたい」と付け加えた。
 スポーツ団体関係者の間では、この問題がさらにエスカレートして英国のワールドカップ開催に影響が出る可能性が高まれば、ブラウン首相も財務省の説得に乗り出さざるを得なくなると見ている。

 UEFAはすべての所属選手に対し、選手が居住地国以外の国の大会に参加した場合はそれぞれの選手が自分の居住国に対して税金を納めると定めているが、これは大会主催国間の不公平を防ぐ目的もある。英国のような税法を適用する国は他にあまりないだろう。インドのクリケット代表選手は、海外で賞金を得た場合課税される決まりがあるが、プレーフィー(試合出場の報酬)には課税されない。2006年にドイツのシュトゥッツガルトで行われた陸上W杯でも、賞金に対する課税はあった。
 UEFAによれば、ドイツ政府はサッカーのイベントにおいては外国人選手への課税は行わないことを保証しており、もし英国政府がウエンブリーでの大会開催について税法上の特例的な措置をとることを保証すれば、2011年のチャンピオンズリーグの決勝開催地として再度候補として検討することを提案している。