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2008-7-1

ヨーロッパ・ニュース Vol.43

2008/07/01

サッカー: ユーロ(欧州選手権)2008、優勝はスペイン

ユーロ決勝戦パブリックビューイング
ユーロ決勝戦パブリックビューイング

 4年に一度行われるヨーロッパ最大のスポーツイベント、 サッカーの欧州選手権(ユーロ2008)は、オーストリア、スイスの共催で6月7日から29日までに計31試合が行われてきたが、29日に決勝戦が行われ、熱戦に幕を閉じた。

 29日、スペインからサパテロ首相、フアン・カルロス国王夫妻、ドイツからメルケル首相ら両国の要人が参戦し国の威信をかけて行われた、スペイン対ドイツの決勝戦は、スペインが1-0でドイツを下して44年ぶり2度目の欧州制覇を達成した。

 スペインは、予選リーグ、トーナメントを通じて6戦無敗(5勝1分=PK勝ち)での完全優勝を果たしたが、無敗での優勝は24年前のユーロ・フランス大会でのフランス以来となる。
 優勝を決めた30日には、首都とマドリードで優勝報告が行われる他、スペイン国内各地で優勝を祝うイベントが行われる。翌日のテレビ、ラジオ、新聞各紙など各メディアは朝からこぞってこの話題をとりあげ、人々の熱狂はとどまるところを知らない。

 スペインは近年、バスケットボール男子世界選手権優勝、バレーボール男子欧州選手権優勝など、団体競技で目覚しい成績を残しているが、最も国民的人気が高いサッカーだけは毎回期待されながらも長い間メジャータイトルから遠ざかっていた。

 サッカーが国民的スポーツといってもよいスペインだが、日本と違い、サッカーの代表チームの人気は驚くほど低い。人々は、レアル・マドリードやバルセロナといったクラブチームを有する世界的なプロリーグ『リーガ・エスパニョール』や、欧州チャンピオンズリーグで活躍する「自分の贔屓クラブ」は積極的に応援するが、代表チームにはあまり思い入れがない。地域性が強いお国柄だけに、寄せ集めである「代表」には興味がないというのも一理あるが、なにより、世界的にスター選手を集め、クラブレベルでは何度も欧州、世界の頂点に立っているクラブチームに比べ、長年タイトルに縁がない代表チームに国民が愛想を尽かしてしまっている部分も多分にあるようだ。

 今回のユーロでも、大会が始まる前の盛り上がりはさほどではなかった。しかし大会が始まりスペインが勝ち進むに連れ、国民の間に優勝への期待が高まり、現地へ応援に行くサポーターの数もうなぎのぼりに増えた。地方自治を掲げるバスク地方やカタルーニャ地方では、“アンチ・スペイン”を公言する市民や政治家も少なくなく、地域住民のスペイン代表へ関心はとりわけ低いが、今大会、スペイン代表で活躍する地元出身選手の活躍を目にするにつけ、最後は地域に関わらずスペイン全体が代表を応援し、優勝を祝うという雰囲気が高まった。その意味で、スペイン代表の活躍が国民の間に一体感を生んだといえるだろう。

 今回優勝したスペイン代表のメンバーの多くは、ジュニア、ユース時代に欧州、世界で頂点を極めた経験を持っており、彼ら若い世代の活躍は、世界の舞台で「精神的に弱い」、「本番に弱い」ために勝てない、と批判されてきたスペイン人のメンタリティの弱さが克服されつつあることを印象付けた。



ホッケー男子:チャンピオンズトロフィー、オーストラリアが優勝

 オランダのロッテルダムで行われていた男子ホッケーのチャンピオンズトロフィーは29日に順位決定戦が行われ、優勝決定戦でオーストラリアがスペインを4-1で下し同大会9回目の優勝を飾った。

 前半こそ1-1で折り返したスペインだったが、後半地力に勝るオーストラリアのパワープレーに圧倒され、次々に失点。終わってみればオーストラリアが4-1と大差で勝ち、優勝を決めた。
 3位決定戦は、アルゼンチンがホスト国のオランダを延長の末5-3で破った。

<チャンピオンズトロフィー最終順位>

1. オーストラリア 2.スペイン 3.アルゼンチン 4.オランダ 5.ドイツ 6.韓国



バレーボール男子: ワールドリーグ第三週

 男子バレーボール、ワールドリーグのインターナショナルラウンドは第三週が行われ、ブラジル、ロシア、アメリカがグループ首位を守った他、中国が初のグループ首位に躍り出た。

プールA: この大会6年連続でチャンピオンの座にとどまるブラジルは、カラカスで行われたベネズエラ戦の2戦にいずれも3-1のスコアで勝ち連勝した。フランス対セルビアは、フランスが初戦を3-1で勝利するも2戦目はセルビアが3-0で取り返し、このシリーズ1勝1敗とした。この結果フランスは4勝2敗、セルビアは2勝4敗となった。

プールB: ワールドリーグ8回の優勝経験を誇りながら、2000年を最後に優勝から遠ざかっているイタリアは、2002年同大会チャンピオンのロシアとの初戦をフィレンツェで戦い、予選ここまで無敗のロシアを3-1で破った。しかし続くローマでの2戦目はロシアが逆に3-1で奪い返し、このシリーズ1勝1敗のタイとし、ロシアのグループ首位は変わらず。イタリアは4勝2敗となった。
もうひとつの試合、キューバ対韓国はキューバが3-1、3-0で2連勝。3勝3敗のイーブンに戻した。韓国は未だ勝ち星なしの6連敗。

プールC: アメリカのグリーンベイ、ウイスで行われた対フィンランド戦は、2試合とも3-1でアメリカが連勝。スペイン対ブルガリアは、初戦をスペインが3-1でとったが2戦目は2時間18分の大接戦の末ブルガリアがフルセットで取り返し、1勝1敗となった。

プールD: 東京の有明スタジアムで行われた日本対ポーランドは、土曜日の初戦を3-0で落とした日本が意地を見せ、翌日曜日の2戦目は2時間24分のフルセットを制しリベンジを果たし、対戦成績を1勝1敗とした。日本はポーランドに2000年5月以来勝ち星がなく14連敗中だったが、ようやく連敗をストップした。中国は暫定首位だったエジプトを3-1、3-0で難なく下し2連勝を挙げ、プールDの首位も奪還した。エジプトはこの連敗で一気に3位に順位を落とした。




バレーボール女子: ワールドグランプリ

 女子バレーボールのワールドグランプリ、予選リーグ第二週は、香港(中国)、ビンピュー(ベトナム)、ロスコー(ポーランド)の3都市で行われ、北京オリンピックのメダルを狙う中国とワールドカップ王者イタリアのここまでの無敗同士が対戦。結果は中国がフルセットの末イタリアを破り、総合首位を守った。一方、過去6回のグランプリ優勝を誇るブラジルはベトナムに、2回優勝のアメリカはポーランドにそれぞれ勝ち、1敗で中国に続いている。

 中国、イタリア、キューバの強豪が顔をそろえた香港ラウンドでは日本が餌食となり、3連敗を喫し、総合順位を9位に落とした。ビンピューラウンドではブラジルがカザフスタン、トルコ、ドイツに対し1セットも落とさずにストレートで3連勝。今大会初参加のトルコも2勝1敗と健闘を見せた。

ロスコーラウンドでは、アメリカが3連勝したのに対し、ホスト国ポーランドが3連敗の泥沼。ポーランドは未だ勝ち星がなく、総合でも12チーム中11位と絶不調に陥っている。



ラグビー: テストマッチ 遠征中のフランスがオーストラリアに敗れる

 オーストラリア遠征中のフランス代表ラグビーチームは28日にシドニーでワラビーズとテストマッチを行い、13-34で敗れた。ロビー・ディーンズ新監督になってわずか2試合目のオーストラリアは、前半こそふがいないゲーム展開だったものの後半になってエンジンがかかりはじめ、結局4トライを決めるなどフランスを圧倒した。ディーンズ監督は、デビュー戦となった2週間前のアイルランド戦に(18-12)続きテストマッチ2連勝。フランスは今週末、ブリスベーンでオーストラリアと再び対戦する。

バスケット男子: ユーロリーグ2008-2009シーズン出場チーム出揃う

 2008-2009シーズンのバスケット男子ユーロリーグに出場する24チームが決定した。
 このうち、今季ユーロリーグデビューするのはエア・アベリーノ(イタリア)、パニオニオス(ギリシャ)、SLUCナンシー(フランス)の3チーム。ドイツのアルバ・ベルリン、スペインのDKVジュベントゥーは2シーズンぶりの返り咲きだ。

 国別では、スペインの5チームが最多(バルセロナ、レアル・マドリー、タウ・ビトリア、ウニカハ・、アラガ、DKVジュベントゥー)で、次いで4チームのイタリア(エア・アベリーノ、AJミラン、ビルトゥス・ローマ、モンテパッシ・シエナ)、3チームのギリシャ(オリンピアコス、パナシナイコス、オアニオニオス)と続いている。ディフェンディングチャンピオンのCSKAモスクワは、ロシア代表の誇りを賭けて戦う。組み合わせ抽選は、7月8日にベルリンで行われる。

バレーボール男子: ローマ・バレーがイタリアセリエA1から撤退

 イタリアバレーボールプロリーグのローマ・バレーが、財政的理由などから2008-2009シーズンのセリエA1から撤退することを発表した。同クラブのマッシモ・メッツァローマ会長は撤退に際して次のようにコメントした。
 「非常に厳しい判断であったが、これは相互の同意によるものだ。この2年間、バレーボールは大都市ではなく地方都市に本拠を置くのがふさわしいスポーツであると実感した。われわれの撤退によって、ローマを拠点とするセリエAのチームがなくなってしまうことは残念だが、結局われわれのプロジェクトと、このスポーツに理解を示してくれる人がいなかったということだ」
 この発表を受けローマの選手たちは、今後来季プレーするチームを探さなければならなくなった。

<ローマ所属選手>
セッター: コシオーネ、トフォーリ、ザイツェフ
スーパーエース:  ミリコビッチ、エルナンデス、ビソット
ウイングスパイカー: サバーニ、マ-シャル、マルティーノ、モルテニ
ミドルブロッカー: マストゥランジェロ、セメンサット、ジレット、コーイストラ
リベロ: ロメロ、エンノ