ヨーロッパニュース一覧

2008-7-8

ヨーロッパ・ニュース Vol.44

2008/07/08

バレーボール男子:ワールドリーグ第4週目、4チームがファイナルラウンド 進出へ

ノビ・サド SPCボジボディナアリーナ
ノビ・サド SPCボジボディナアリーナ

 男子バレーボールのワールドリーグは第4週が行われ、残り2週の時点で、フランス、ロシア、アメリカ、ポーランドの4チームが、ブラジル、リオ・デ・ジャネイロで行われるファイナルラウンドへの進出を決めた。

 プールBのロシア、プールCのアメリカはここまでともに7勝1敗と圧倒的な強さを見せ、文句なしのファイナル進出。プールAでは、開催地として出場決定済のブラジルが6勝2敗で首位に立ったため、同じく6勝2敗で2位のフランスが出場権を獲得した。混戦のプールDでは、5勝3敗のポーランドが首位に立ち勝ち抜けを決めた。

プールA: セルビアのベオグラードとノビ・サドで行われたブラジル戦は、2試合ともフルセットの接戦となった。ベオグラードの初戦ではブラジルが3-2で勝ったが、ノビ・サドでの2戦目はセルビアが意地を見せ3-2でリベンジ。ファイナルラウンド進出にのぞみをつないだ。なお、この試合は第4週のベストマッチにも選ばれている。一方、フランス、トゥールーズで行われた対ベネズエラ戦は、2戦ともフランスが3-1で勝ち、ファイナル開催国ブラジルに次ぐ2位のフランスがファイナルラウンド進出を決めた。

プールB: 2002年のチャンピオン、ロシアは、カザンで行われたキューバとの2戦をともに3-1でとり、ファイナルラウンドへ首位通過を決めた。過去8回の優勝経験を持ちながら、2000年以来優勝から遠ざかっているイタリアはトゥリエステで韓国と対戦。2戦とも3-1のスコアでグループ2位をキープ。ファイナルラウンド進出へはずみをつけた。

プールC: マドリードで行われたスペイン対アメリカは、2時間25分の接戦の末アメリカがスペインを破ると、力尽きたスペインは2戦目も3-0であえなく敗れた。アメリカに追随するブルガリアはフィンランドで2戦を戦ったが、初戦を3-0でとったものの2戦目はフルセットの末3-2で破れ1勝1敗とした。フィンランドは今季ワールドシリーズ初勝利。

プールD: ファイナルラウンド進出を決めたいポーランドはホームで中国を迎えたが、初戦を3-2、2戦目を3-0で勝ち、通算成績を5勝3敗として、このグループで最初のファイナルラウンド進出を決めた。敗れた中国は4勝4敗。小牧で行われた日本対エジプトは、初戦をフルセットで競り勝った日本が2戦目も3-1で勝ち2連勝で4勝4敗とした。敗れたエジプトは3勝5敗となり、残り2戦で3チームにファイナルラウンド進出のチャンスが残る。

ここまでのところで目立つのは、アジアのエースの活躍だ。中国のYuan Zhiは174ポイントを挙げ個人得点ラインキングトップ。韓国のMoon Sung-Minが172ポイントで2位につけている。



バレーボール女子: ワールドグランプリ、ファイナルラウンド進出チーム決定

 女子バレーボールのワールドグランプリは、マカオ、バンコク、台北の3箇所で予選ラウンド最終節が行われ、開催国日本に加え、ブラジル、中国、イタリア、アメリカ、キューバがファイナルラウンド進出を決めた。大会初出場でアメリカを破るなどサプライズを起こしたトルコは、4勝5敗で惜しくも6位に終わりファイナルラウンド進出を逃したが、世界の強豪相手に健闘を見せた。

 予選ラウンドを終えての最終成績は上位3チームが8勝1敗で並び、グランプリ6回優勝のブラジルが1位、2003年、2007年の覇者中国が2位、2007年3位のイタリアが3位となった。次いで7勝2敗のアメリカ、6勝3敗のキューバがファイナルラウンドへの切符を手にした。

マカオラウンド: ブラジルは、このラウンド初戦のドミニカ共和国戦で序盤の2セットを先制され、あわやというところまで追い込まれた。その後ブラジルは地力を見せ3-2でこの試合に逆転勝利を収めるとそのままの勢いで日本に3-0、中国にも3-0と圧勝。3連勝を飾り、通算成績トップに立った。中国はブラジルには敗れたものの、日本、ドミニカ共和国には3-0のスコアで勝った。日本はドミニカ共和国にも3-0で破れ3連敗。予選ラウンドを2勝7敗の成績で終えた。

バンコクラウンド: キューバがドイツ、カザフスタンをいずれも3-1、3-1で下すが、地元タイとの最終戦は接戦となり、2セットを連取される苦しい展開となった。しかしここから一気に3セットを連取して勝利を収め3連勝とし、ファイナルラウンドへ駒を進めた。

台北ラウンド: アメリカがポーランド、トルコに2連勝。アメリカは神戸でのオープニングラウンドで敗れたトルコにリベンジを果たした。イタリアはトルコ、ポーランドに連勝したあと、同じく2連勝のアメリカと対戦。この試合はイタリアが3-0のストレートでアメリカを下し、1敗を守った。

 ファイナルランドは7月9日から13日まで横浜で開催される。

<ワールドグランプリ予選ラウンド最終結果>

1.ブラジル(8勝1敗) 2.中国(8勝1敗) 3.イタリア(8勝1敗) 4.アメリカ(7勝2敗) 5.キューバ(6勝3敗) 6.トルコ(4勝5敗) 7.ドイツ(4勝5敗) 8.ドミニカ共和国(4勝5敗) 9.日本(2勝7敗) 10.ポーランド(1勝8敗) 11.タイ(1勝8敗) 12.カザフスタン(1勝8敗)



水球: ヨーロッパ選手権開幕

 スペインのマラガで、男女の水球ヨーロッパナンバーワンを決めるヨーロッパ選手権が開幕した。
 男子は12チームが参加して7月4日から13日まで、女子は8チームが参加して7月5日から12日まで行われる。

男子: 予選には以下の12チームが参加。上位各4チームが決勝進出を賭けてトーナメント戦を行う。先のワールドリーグ・スーパーファイナルで4連破を達成したセルビアは、グループB初戦でドイツに17-5で圧勝すると、2戦目のマケドニアには23-6とさらに点差を広げて2連勝。しかし、3日目のルーマニア戦では苦戦し、6-6の引き分けに終わった。同グループでは3連勝のイタリアが早くも決勝トーナメント進出を決めた。

グループA: スペイン、クロアチア、スロバキア、ギリシャ、ハンガリー、モンテネグロ

グループB: マケドニア、ロシア、セルビア、イタリア、ドイツ、ルーマニア

女子: 予選には以下の8チームが参加。各グループ3位までが決勝進出をかけてトーナメント戦を行う。大会初日には、6月に行われたワールドリーグ・スーパーファイナルで優勝したロシアが、スペインに10-9で敗れる波乱があった。

グループA: オランダ、スペイン、ロシア、ドイツ

グループB: イタリア、ギリシャ、フランス、ハンガリー




ラグビー: オーストラリア、フランスを粉砕

 オーストラリア遠征中のラグビーフランス代表は、5日にブリスベンでワラビーズと2回目のテストマッチを行い、40-10で破れた。フランスは、シドニーで行われた初戦(34-13)に次ぐ敗戦で、この遠征中2連敗となった。
 ワラビーズは序盤からフランスを圧倒。前半終了時に26-0の大差をつけると、合計4トライを決め圧勝。フランスに付け入る隙を与えなかった。



NHLのヨーロッパ選手獲得は個別交渉方式に移行

 NHL(全米プロホッケーリーグ)は、ヨーロッパからの選手の移籍に関し、今月6日に期限切れとなった「国際移籍規約」に変わり、「ヨーロッパサッカー移籍方式」と呼ばれる方式に移行することを発表した。

 PTAと呼ばれた旧国際規約では、これまでNHL所属チームが、IIHF(国際アイスホッケー連盟)と提携する6つのヨーロッパのリーグから移籍した50人〜60人の選手の補償金として、合計で1100万ドル(700万ユーロ)=約12億円程度を支払っていた。
 しかし、合意していた6つのリーグ(チェコ、フィンランド、ドイツ、スウェーデン、スロバキア、スイス)が12月に同規約の放棄を決定。7月6日、日曜日を持って同規約は正式に無効となった。

 IIHF会長のレネ・ファーゼル氏は、「今後IIHFは、選手の権利を持つチームが希望しない限りは、選手の移籍交渉には関わらない」との声明を発表している。これによって7月7日以降、全てのNHL所属チームは、「200000万ドル(130000ユーロ)=約2000万円の補償金を支払うことなく選手と直接契約を結ぶことが出来る」ようになる。(※ロシアだけは3年前にすでにIIHFの旧規約から脱退し、この方式で移籍を行っている)
 今後アイスホッケーの選手移籍は、1995年に制定されたボスマン条約以来採用されているヨーロッパサッカー選手の移籍と同じ方式となり、「選手は(共通の)移籍補償金なしで、クラブ間を自由に移籍できる」ことになる。

 同会長は、「IIHFは、ヨーロッパの各リーグと所属クラブに対し、『移籍規約こそ選手移籍に対するしかるべくチームへの補償を約束するものである』、と説得しようと試みた。200000万ドルでもゼロよりはましだ。現に今は各クラブがその恩恵を受けている」と述べ、同規約の放棄に苦言を呈した。しかし、ここ数年の米ドルの価値の下落にともない(2002年比-32%)、ヨーロッパのクラブは、選手を移籍させるにあたり、より大きな補償を求めており、同規約に対する反対意見が相次いでいた。

 一方、NHLが毎年多くのヨーロッパの有望若手選手を乱獲し、マイナーリーグへ送りこんで育成する今のやり方は、自国リーグのレベル低下を招く、として危惧されている。
 この問題の解消のため、IIHFの旧規約には、「NHLのチームは、移籍後レギュラーロースターに残れない一定の数の選手をヨーロッパリーグに戻す」などの、選手、自国リーグ保護の条件も付帯されていた。実際に2007-2008シーズンまでにNHLと契約を結んだ59人のヨーロッパ出身選手のうち、NHLでプレーしているのはわずか6人だけで、7人はヨーロッパリーグに戻り、残り46人は現在マイナーリーグでプレーしている。

 同会長はこれらの問題を踏まえ、「(規約の破棄で)すべてが水の泡になった」と述べるとともに、「IIHFとNHLの関係は非常に良好で、NHLの所属チームはヨーロッパリーグにとって重要な選手については手をつけなかった。すべてのチームが個別にヨーロッパの選手と契約できるようになったことにより、NHLとNHLの選手協会の関係にもひびがはいることになるだろう。結果、将来的にはドラフト制度も廃止されることになる」と、規約の放棄による弊害を強調している。