ヨーロッパ・ニュース Vol.46
2008/07/22
● 男子バスケットボール:北京オリンピック世界最終予選、欧州勢が出場権を独占
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7月14日からギリシャのアテネで行われていた男子バスケットボールの北京オリンピック世界最終予選は、20日に準決勝と3位決定戦が行われ、準決勝で、ドイツを76-70で下したクロアチアと、プエルト・リコを88-63で破ったギリシャの2チームがまずオリンピック出場権を獲得した。
この後、準決勝で敗れたチーム同士で3位決定戦が行われ、ノビツキを擁するドイツが96-82でプエルト・リコに勝ち、最後の切符を手にし、世界最終予選で出場権を獲得したのはいずれも欧州勢となった。
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今大会は予選リーグから欧州勢がグループ首位を独占。ギリシャ、ドイツ、スロベニア、クロアチアがグループ2勝で首位に立ち、準々決勝へ。準々決勝では、グループD2位のプエルト・リコがスロベニアを破り欧州勢以外で唯一の準決勝進出チームとなったが、ギリシャ、ドイツに連敗し、ヨーロッパの厚い壁を破ることはできなかった。
個人成績では、欧州選手として初のNBA年間MVPを受賞したダラス・マーベリックスのノビツキ(ドイツ)が格の違いを見せつけ、得点アベレージ26.6を挙げ得点ランキングのトップになった。
またこの日、ドイツ対プエルト・リコ戦後に、8月10日から24日まで行われるオリンピックの男子バスケットボール予選の組み合わせ抽選が行われた。オリンピック予選ラウンドは、2つのグループに分かれ、各グループの上位4チームが決勝トーナメントに進出する。
<北京オリンピック男子バスケットボール予選組み合わせ>
グループA: アルゼンチン、オーストラリア、クロアチア、イラン、リトアニア、ロシア
グループB: アンゴラ、中国、ドイツ、ギリシャ、スペイン、アメリカ
● バレーボール男子: ワールドリーグ予選ラウンド終了、ファイナルラウンド出場国が決まる
FIVBバレーボールワールドリーグのインターナショナルラウンドは最終節が終了し、リオ・デ・ジャネイロで行われるファイナルラウンド出場国6チームが出揃った。
開催国であるブラジルはすでに出場が決まっているが、プールAで10勝2敗となり首位に立ったため、同プール2位のセルビア(7勝5敗)が出場権を獲得した。
プールBのロシアとプールCのアメリカは、最終節を前に首位が確定し、ファイナルラウンド進出が決まっている。一方、最後までもつれたプールDは、最終節でエジプトに2連勝したポーランドが9勝3敗で首位を固め、ファイナルラウンドに進出、北京オリンピック開催国の中国は同組2位となり、ファイナル進出を逃した。残る1枠はFIVBの推薦により決まるワイルドカードだが、通算成績5勝7敗でD組3位の日本が選ばれるというサプライズがあった。ワイルドカードは、本来であればイタリア、ブルガリア、中国といったプール2位になった国の中から選ばれることになっているが、先日FIVBが発表した、「テレビ視聴者数の多い国を優先する」という方針が証明された形だ。
● アイスホッケー: NHL2008-09シーズンはヨーロッパで開幕
2008-09全米プロアイスホッケーリーグ(NHL)のレギュラーシーズンは、2連連続のヨーロッパ開幕でスタートする。10月4日、プラハでタンパ・ベイ対ニューヨーク・レンジャース戦が、ストックホルムでオタワ対ピッツバーグ戦の2試合がオープニングゲームとなる。
● ラグビー: イタリアが2015または2019のワールドカップ開催国への立候補を検討
イタリアは、2015年、または2019年のラグビーワールドカップ開催国としての立候補を検討している。立候補地は、9月に国際ラグビー協会(IRB)の承認を受けなければならない。その後、2009年7月に開催地が正式決定する。
● 男子バレーボール: CEVヨーロッパリーグ、スロバキアが初優勝
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CEV(欧州バレーボール協会)主催のヨーロッパリーグ2008のファイナルラウンド決勝がトルコのブルサで行われ、スロバキアがオランダを3-1で下し、同大会初優勝を飾った。一方のオランダは、今大会ここまで 13勝無敗と圧倒的な強さを誇りながら、最後の最後に破れ、優勝を逃した。
<CEVヨーロッパリーグ2008ファイナルラウンド最終順位>
1. スロバキア 2.オランダ 3.トルコ 4.ドイツ
● 女子サッカー: UEFAU-19ヨーロッパ選手権、イタリアが優勝
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U-19の女子ヨーロッパ選手権は19日に決勝戦が行われ、イタリアがノルウェーを1-0で下し優勝した。イタリア女子はこのカテゴリー初優勝。3連覇を目指したドイツは準決勝でノルウェーにPKの末破れ、スウェーデンと共に3位に終わった。
● ロシアで野球存続の危機
ロシアの野球協会副会長であるディミトリー・キセレフ氏はロイターのインタビューに対し、「私は、ロシアで近いうちに、野球というスポーツが衰退してしまうことを恐れている」と答えている。
同氏は、「ロシアではスポーツ関係の政府の助成金のほとんどはオリンピック種目につぎこまれる。その他のスポーツへの予算は微々たるものだ。現に、ロシアの野球チームとソフトボールは今回北京オリンピックへの出場権を獲得できなかったため、予算を大幅にカットされてしまった。他の人気スポーツと違いロシアでは野球の人気は低く、企業などのスポンサーがつかないため国からの補助に頼るしかない。野球がオリンピックからはずされ、予算が大幅に削られればもう終わりだ」と語り、ロシアで野球が置かれている厳しい現状について訴えた。
IOC(国際オリンピック委員会)は2005年、北京オリンピック以降、野球とハンドボールを公式種目から除外することを決定した。一方ロシアでは、1992年のバルセロナオリンピックから野球がオリンピック公式種目となることを受け、80年代半ばから野球へのプロモーション活動が行われ始めた。
同氏は言う。「当時の“ソビエト連邦スポーツ委員会”は、1986年に野球の強化に取り組むことを正式に決定した。その3年後、日本のビジネスマンのおかげでモスクワに初の野球専用スタジアムが完成した。そして90年代半ばには、われわれは国際舞台、特に欧州でまずまずの成績を収めるまでになった。しかし北京以降、野球は再び公式種目ではなくなる。この国では、数は少ないながらも野球に興味を持つ若者がおり、将来この国のメジャースポーツになる可能性もあっただけに、こういう形でこのスポーツが消滅してしまうのは残念でならない」
現在ロシアでは600人の野球選手の登録があるが、リーグのチーム数はわずか10で、2つのディビジョンに分かれている。極東地域のチームは、日本や韓国のアマチュアチームと親善試合などを行うこともあるという。この国に自由の扉を開くことになった、共産主義とソビエト連邦の崩壊は、皮肉にも野球にとってはよい結果を生み出さなかったようだ。
「もしあと5年、共産党による統治が続いていたら、ロシアの野球レベルは今と比べ物にならないほど上がっていたことだろう。中央政府がこれから力を入れ始めよう、というタイミングでソビエト連邦が崩壊した。われわれにとってはまさに運が悪かったとしかいいようがない」
キセレフ氏はこう嘆くのだった。