ヨーロッパ・ニュース Vol.48
2008/08/05
● バスケットボール: 北京五輪プレビュー
<概要>
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バスケットボールは、男子が1936年から、女子が1976年からオリンピック公式種目入りした。
これまでの大会では男女共にアメリカの活躍が目立ち、男子では16大会中12個、女子は8大会5個の金メダルを獲得している。1992年のバルセロナ・オリンピックからNBAのプロ選手の出場が認められ、以来“ドリームチーム”と称されているが、近年、アメリカ以外の国も力をつけてきており、4年前の2004年アテネ五輪ではアルゼンチンが金メダルを獲得している。
<男子>
=スケジュール=
日程: 8月9日〜24日まで
会場: Wukesong体育館
参加国: 12チーム(144人)
グループA: アルゼンチン、オーストラリア、クロアチア、イラン、リトアニア、ロシア
グループB: アンゴラ、中国、ドイツ、ギリシャ、スペイン、アメリカ
=メダル候補=
コーベ・ブライアント、レブロン・ジェームス、カルメロ・アンソニー、ドゥワイト・ハワード、ジェイソン・キッドら、突出した個人技を持つNBAのスター選手が揃うアメリカ(グループB)が優勝候補ナンバーワン。五輪直前の親善試合でも、トルコ、リトアニア、ロシアに完勝、好調をキープしている。
これに続くのが、同じグループBに入ったスペイン。2006年世界選手権優勝メンバーの多くが残り、加えて若手有望選手も加わってバランスがとれたチーム構成となっている。パウ・ガソル、カルデロンをはじめNBAの現役選手、経験者も多いが、個々の力に頼らないチームプレーが持ち味。直前の親善試合では北京五輪でメダル争いのライバルとなるアルゼンチンを撃破するなど、初の五輪制覇に向け順調な仕上がりを見せている。
また、2004年アテネ金メダルのアルゼンチン(グループA)も、レギュラーメンバーのジノビリ、スコーラ、ノシオーニ、デルフィノ、ヘルマン、オベルトがいずれもNBAチームに所属し、個々の力ではスペインにひけをとらない。2007年ヨーロッパ選手権チャンピオンのロシア、オーストラリアもメダル候補の一角に挙げられる。
<女子>
=スケジュール=
日程: 8月9日〜24日まで
会場: Wukesong体育館
参加国: 12チーム(144人)
グループA: オーストラリア、韓国、ロシア、ブラジル、ラトビア、ベラルーシ
グループB: 中国、マリ、ニュージーランド、アメリカ、チェコ、スペイン
=メダル候補=
2006年世界選手権では3位に終わったものの、アメリカの優位は変わらない。その世界選手権で優勝したオーストラリアも、同大会MVPのペネロペ・テイラー、ローレン・ジャクソンら好選手が揃いメダル候補のひとつだが、現在中国で行われているFIBAダイアモンドカップでは、アルゼンチンに敗れるなどやや仕上がりに不安が残る。マリア・ステファノーバを擁する、2006年世界選手権準優勝のロシアもメダル争いにからんでくるだろう。
● バレーボール: 北京五輪プレビュー
<概要>
1964年の東京オリンピック以来、男女共に正式種目となったバレーボールだが、過去11回の大会を振り返ると、男子で最も金メダル獲得数が多いのはロシアの3回、次いでアメリカ、ブラジルが2回ずつ、日本、ロシア、オランダ、旧ユーゴスラビアがそれぞれ1回となっている。
女子では、ロシアが最多の4回、次いでキューバが3回、中国と日本が2回ずつとなっている。
4年前のアテネオリンピックでは、男子ではブラジル、女子では中国が金メダルを獲得している。
<男子>
=スケジュール=
日程: 8月9日〜24日まで
会場: 市民中央体育館
参加国: 12チーム(144人)
プールA: 中国、アメリカ、ブルガリア、イタリア、日本、ベネズエラ
プールB: ブラジル、ロシア、ポーランド、セルビア、エジプト、ドイツ
=メダル候補=
アテネ五輪、2006年世界選手権、2007年ワールドカップ金メダルのブラジルが3度目の優勝を狙うが、直前のワールドリーグ2008ファイナルでは、プレッシャーのせいか地元開催にもかかわらず表彰台を逃す大誤算。本番までに立て直すことができるか。
直前になって絶好調なのが、通算3回目の五輪金メダルを狙うアメリカだ。ワールドリーグファイナルでも優勝し、波に乗る。同大会で2位のセルビア、3位のロシアら欧州勢も十分にメダルを狙える位置にいる。
いずれにしても、ドイツ、ベネズエラ、日本、エジプトを除く各国の実力は拮抗しており、いずれもメダル獲得のチャンスはある。地元の利を生かした中国はダークホース的存在となるかもしれない。
<女子>
=スケジュール=
日程: 8月9日〜24日まで
会場: 北京首都体育館
参加国: 12チーム(144人)
プールA: 中国、キューバ、アメリカ、日本、ポーランド、ベネズエラ
プールB: ブラジル、イタリア、ロシア、セルビア、カザフスタン、アルジェリア
=メダル候補=
金メダル争いは、ブラジル、イタリア、キューバ、アメリカ、ロシア、中国の5カ国に絞られそうだ。悲願の五輪金メダルを狙うブラジルは直前に行われたワールドグランプリで優勝し、勢いに乗るが、予選のプールBではライバルのイタリア、ロシアと対戦する。地元開催が有利なバレーボールでは、熱狂的な声援を受ける中国も優勝候補に挙げられる。いずれにしても、最も金メダル予想が難しい団体競技のひとつであることは間違いなく、最後まで目が離せない戦いが続きそうだ。
● 北京五輪: 女子サッカープレビュー
<概要>
女子サッカーは、1996年のアトランタ五輪から正式種目になり、五輪での歴史はまだ浅い。
ワールドカップという世界最高峰の独自トーナメントを持つ男子は、五輪でのU-23以上の選手の枠は3人までと決められているが、女子については、W杯と並んで世界最高峰の大会と位置づけられており、各国とも年齢制限なしのフル代表が参加する。
=スケジュール=
8月6日〜23日まで
会場: Shanghai, Shenyang, Tianjin y Qinhuangdaoの各都市
(決勝戦は中国ナショナルスタジアム)
参加国: 12チーム(216人)
グループE: 中国、スウェーデン、アルゼンチン、カナダ
グループF: 韓国、ナイジェリア、ドイツ、ブラジル
グループG: ノルウェー、アメリカ、日本、ニュージーランド
=メダル候補=
FIFAランキング1位のドイツが金メダル獲得の筆頭だ。オリンピックではまだ金メダルを獲得していないものの、1995、1997、2001、2005年と女子世界選手権を4回制覇。2007年に中国で行われた女子W杯でも圧倒的な強さで連破を果たした。悲願の初の金メダル獲得は間近といえそうだ。
このドイツのライバルとなるのが、2006、2007年と2連連続でFIFAワールドプレーヤーに輝いたマルタを擁するブラジルだ。2007年の女子W杯でもゴールデン・シュー(大会得点王)を獲得したマルタを中心に、同大会とほぼ同じメンバーでのぞむブラジルは男子同様サッカー王国のプライドを賭けて五輪へのぞむ。
ドイツ、ブラジルに比べ、五輪でのメダル獲得で上を行くアメリカも優勝候補だ。前回2004年のアテネ五輪で金メダル、2000年のシドニー五輪でも銀メダルを獲得するなど、五輪ではコンスタントに成績を残している。唯一の不安材料は、エースストライカーのアビー・ウォンバッハが直前の親善試合で足を骨折し、北京に間に合わないことだが、選手層は厚いだけにさほど影響はないかもしれない。
女子サッカーの強豪として常に名前をつらねるノルウェーも忘れるわけにはいかない。シドニー五輪、1995年のW杯で金メダルを獲得しているノルウェーは、今大会に備えて、国際経験豊富なベテランプレーヤーに加え、若手のフレッシュな顔ぶれを揃え、中国では金メダル獲得を狙う。
これら4強に加え、アメリカ、欧州以外で躍進が期待されるチームとしては、アフリカチャンピオンのナイジェリア、中国、韓国、日本といったアジア勢が挙げられる。
● 北京五輪: ホッケープレビュー
<概要>
ホッケーは、1908年に男子がオリンピック正式種目に認定されたのに対し、女子は1980年のモスクワ五輪からスタートしている。男子では長らくインド、パキスタンがメダルを独占していたが、近年はドイツ、オランダ、オーストラリアが力をつけてきている。
<男子>
=スケジュール=
8月13日〜23日まで
会場: 北京オリンピックフィールドホッケーグランド
参加国: 12チーム(192人)
プールA: ドイツ、スペイン、韓国、ベルギー、中国、ニュージーランド
プールB: オーストラリア、オランダ、パキスタン、イングランド、南アフリカ、カナダ
=メダル候補=
現時点での世界3強による金メダル争いが予想される。オリンピックのディフェンディングチャンピオンであるオーストラリアは、2007年のFIH最優秀選手に選ばれたジェイミー・ドゥーエルを擁し、2連覇に向けて意欲を燃やす。これに対抗するのはヨーロッパの雄、ドイツとオランダだ。ドイツは現世界チャンピオンで、かつヨーロッパチャンピオンでもある。アテネ五輪銀メダルのオランダも国際大会で常に上位に入る実力を持っている。
<女子>
=スケジュール=
8月13日〜23日まで
会場: 北京オリンピックフィールドホッケーグランド
参加国: 12チーム(192人)
プールA: 中国、スペイン、オーストラリア、韓国、オランダ、南アフリカ
プールB: 日本、ニュージーランド、アルゼンチン、アメリカ、ドイツ、イングランド
=金メダル候補=
ナスターシャ・ケラーを擁するディフェンディングチャンピオンのドイツ、2006年の世界選手権、2007年のチャンピオンズ・トロフィーを制したオランダの2強が金メダルに最も近い。