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2008-8-26

ヨーロッパ・ニュース Vol.51

2008/08/26

=北京オリンピック特集3=

男子バレーボール: アメリカがブラジルを破り金メダル

 24日に行われた北京オリンピックの男子バレーボール決勝戦は、女子と同じアメリカとブラジルの対戦となった。アメリカは、最初のセットを25-20で奪われるが、スタンレーらの活躍で2セット目以降を取り返すと、最後は20-25、25-22、25-21、25-23のスコアでこの試合をものにした。アメリカの大黒柱スタンレーは、大会MVPのほか、ベストスコアラー、ベストサーバーにも輝き、チームの金メダル獲得に大きく貢献した。

 前日、女子がブラジルの後塵を拝したアメリカだが、男子はブラジルを3-1で破り見事にリベンジを果たした。アメリカの金メダルは1984年ロス五輪、1988年のソウル五輪に次いで3回目で20年ぶりとなる。アメリカは、女子も銀メダル、ビーチバレーでも2つの金を獲得し、北京五輪のバレーボール競技の主役となった。

 3位決定戦は、4年前のアテネ大会チャンピオン、ロシアとイタリアという、欧州勢同士の戦いとなったが、ロシアが3-0で完勝。銅メダルを獲得した。

<男子バレーボール: 最終順位>
金 アメリカ 銀 ブラジル 銅 ロシア
4位 イタリア 5位 ブルガリア、中国、ポーランド、セルビア 9位 ドイツ、ベネズエラ 10位 エジプト、日本

<決勝トーナメント結果>
準々決勝
アメリカ 3-2 セルビア   ブルガリア 1-3 ロシア
イタリア 3-2 ポーランド  中国 0-3 ブラジル

準決勝
アメリカ 3-2 ロシア     イタリア 1-3 ブラジル

決勝     アメリカ 3-1 ブラジル(20-25、25-22、25-21、25-23)
3位決定戦  ロシア 3-0 イタリア(25-22、25-19、25-23) 

<大会ベストプレーヤー>
MVP クレイトン・スタンレー(アメリカ) 
ベストスコアラー クレイトン・スタンレー(アメリカ)
ベストスパイカー セバスティアン・スィデルスキ(ポーランド) 
ベストブロッカー グスタボ・エンドレス(ブラジル)
ベストサーバー クレイトン・スタンレー(アメリカ)
ベストディガー  アレクセイ・ベルボフ(ロシア)
ベストセッター  パウエル・ザグミー(ポーランド)
ベストレシーバー ミカエル・ビニアルスキ(ポーランド)
ベストリベロ    ミルコ・コルサーノ(イタリア)



女子バレーボール: ブラジル女子、五輪初の金メダル

 男子に先駆けて行われた女子の決勝は、オリンピック初制覇を狙うブラジルと、かつての中国の大エース朗平監督が指揮を執るアメリカとの対戦となったが、ブラジルが25-21、18-25、25-13、25-21の3-1で勝ち、五輪で初の金メダルを獲得した。

 FIVB世界ランキング1位のブラジルは、決勝で今大会初めて1セットを失ったが、大会を通じて失セット1という圧倒的な強さで優勝した。過去、オリンピックで1セットも落とさずに優勝したチームは、1976年モントリオール大会の日本だけだ。
 ワールドグランプリでは7回の優勝を誇る南米の強豪ブラジルだが、オリンピック優勝はこれが初めて。世界選手権ワールドカップでもまだ優勝経験がない。

 敗れたアメリカは銀メダルに終わったが、男子はブラジルを破って優勝、ビーチバレーでも2つの金を獲得し、バレーボール強国を世界にアピールした。

 3位決定戦は中国とキューバの顔合わせとなったが、アテネ五輪チャンピオンの中国が大声援の後押しを得てキューバを3-1で破り、母国に銅メダルをプレゼントした。

<女子バレーボール最終順位>

金 ブラジル 銀 アメリカ 銅 中国 

4位 キューバ 5位 イタリア、日本、ロシア 9位 カザフスタン、ポーランド 11位 アルジェリア、ベネズエラ

<決勝トーナメント結果>

準々決勝

キューバ 3-0 セルビア  アメリカ 3-2 イタリア
中国 3-0 ロシア     日本 0-3 ブラジル

準決勝
キューバ 0-3 アメリカ   中国 0-3 ブラジル

決勝 アメリカ 1-3 ブラジル(15-25、25-21、13-25、21-25)

3位決定戦  キューバ 1-3 中国(16-25、25-21、13-25、20-25)

<大会ベストプレーヤー>

MVP パウラ・ペケーノ(ブラジル) 

ベストスコアラー ローガン・トム(アメリカ)

ベストスパイカー ロシール・カルデロン(キューバ) 

ベストブロッカー 荒木絵里香(日本)

ベストサーバー ヤネリス・サントス(キューバ)

ベストディガー  ナ・ザン(中国)

ベストセッター  エリア・ソウザ(ブラジル)

ベストレシーバー スホン・ゾウ(中国)

ベストリベロ    ファビアーア・ンオリネイラ(ブラジル)



男子ホッケー: ドイツが1-0でスペインを破り金メダル

 男子ホッケー決勝は、優勝候補のドイツ伏兵スペインの争いとなった。予選ラウンドでもドイツと対戦し、1-0で敗れているスペインだが、この日の決勝でもドイツの高い壁を崩すことができず、16分にゼラーが決めた1点を守りきったドイツが1-0の僅差で金メダルを獲得した。

 スペインは、準決勝でオーストラリアに2-0とリードされてからの逆転勝利を収めるなど、今大会最も勢いがあるチームだったが、あと一歩及ばず悔しい銀メダルとなった。

 3位決定戦では、オーストアリアがオランダを6-2で破り銅メダルを獲得した。

<男子ホッケー最終順位>
金 ドイツ 銀 スペイン 銅 オーストラリア
4位 オランダ 5位 イギリス 6位 韓国 7位 ニュージーランド 8位 パキスタン 9位 ベルギー 10位 カナダ 11位 中国 12位 南アフリカ 

<決勝トーナメント結果>
準決勝
オランダ 1-1 ドイツ (延長3-4)    スペイン 3-2 オーストラリア

決勝      ドイツ 1-0 スペイン
3位決定戦  オランダ 2-6 オーストラリア

女子ホッケー: オランダ優勝、中国が銀メダルの大健闘

 世界王者で今大会も優勝候補ナンバーワンのオランダに対し、中国は準決勝でやはり優勝候補のドイツを下して決勝に勝ち進み勢いに乗る。

 中国は、ここまで予選リーグを通じて6戦全勝という絶対王者を相手に果敢に挑み健闘するが、最後は2-0で敗れた。しかし、敗れはしたものの中国がオリンピックのホッケーでメダルを獲得したのは史上初であり、欧州勢、オーストラリアを上回り銀メダルを獲得したことは快挙といえる。

 一方、3位決定戦では、アテネ五輪チャンピオンのドイツがアルゼンチンに1―3で破れ、メダル無しで終わるという結果となった。この結果、アジアと南米の強豪の躍進で、ヨーロッパ勢優位といわれた大会前の予想は覆された。

<女子ホッケー最終順位>

金 オランダ 銀 中国 銅 アルゼンチン 

4位 ドイツ  5位 オーストラリア 6位 イギリス 7位 スペイン 8位 アメリカ 9位 韓国  10位 日本 11位 南アフリカ 12位 ニュージーランド

<決勝トーナメント結果>

準決勝

ドイツ 2-3 中国  オランダ 5-2 アルゼンチン

決勝     中国 0-2 オランダ

3位決定戦  ドイツ 1-3 アルゼンチン



男子バスケットボール: アメリカ・ドリームチームが完全優勝、銀はスペイン

 注目の決勝戦は、大会前の予想通り、全勝優勝を狙うアメリカ対2006年の世界チャンピオンスペインの対戦となった。両チームは予選リーグでも対戦しているが、このときは119-82でアメリカが圧勝している。

 決勝はアメリカが常に先行しスペインにリードを許さなかったものの、スペインもガソル兄弟やフェルナンデスらの身体を張ったプレーで必死に喰らいつき、第2Qを終えて69-61と 接戦に持ち込む。その後もスペインは何度か10点以内まで詰め寄るが、そこから差を縮めることができず、最後は118-107でアメリカが勝利を収めた。
 アメリカは今大会、金メダル獲得のため個人技に頼らずチームプレーに徹し、28本中13本という高い確率で3ポイントを決めるなど総合力で戦う作戦が功を奏し、念願の金メダルを獲得した。大会のベストスコアラーは、1試合平均19.6ポイントを挙げたスペインのパウ・ガソルだった。

 3位決定戦は、アテネ五輪金メダリストのアルゼンチンがリトアニアを87-75で下し、銅メダルを獲得した。

<男子バスケットボール最終順位>
金 アメリカ 銀 スペイン 銅 アルゼンチン
4位 リトアニア 5位 ギリシャ 6位 クロアチア 7位 オーストラリア 8位 中国 9位 ロシア 10位 ドイツ 11位 イラン 12位 アンゴラ

<決勝トーナメント結果>
準々決勝
スペイン 72-59 クロアチア  リトアニア 94-68 中国
アメリカ 116-85 オーストラリア  アルゼンチン 80-78 ギリシャ

準決勝
スペイン 91-86 リトアニア   アルゼンチン 81-101 アメリカ

決勝  スペイン 107-118 アメリカ
リトアニア 75-87 アルゼンチン

女子バスケットボール: アメリカが全勝で4大会連続の金メダル

 女子バスケットボールの決勝は、シドニー、アテネ大会に続き、3大会連続でアメリカとオーストラリアの対戦となった。
 7戦全勝で勝ち上がってきた両チームだが、2006年の世界選手権で3位に終わった雪辱を期すアメリカが92-65の大差でオーストラリアを下し、過去の2大会同様、今大会も金メダルを獲得した。
 アメリカ女子チームは、この勝利によってオリンピック4連覇を達成。大会連勝記録を通算33勝に伸ばした。なお、今大会のアメリカ代表選手15人のうち7人はロシア、スペイン、トルコなど欧州リーグで活躍している。
 中国とロシアの争いになった3位決定戦では、81-94でロシアが勝ち銅メダルを獲得した。

<女子バスケットボール最終順位>
金 アメリカ 銀 オーストラリア 銅 ロシア
4位 中国 5位 スペイン 6位 ベラルーシ 7位 チェコ 8位 韓国 9位 ラトビア 10位ニュージーランド 11位 ブラジル 12位 マリ

<決勝トーナメント結果>
準々決勝
中国 77-62 ベラルーシ  オーストラリア 79-46 チェコ
アメリカ 104-60 韓国   ロシア 84-65 スペイン

準決勝
ロシア 52-67 アメリカ  中国 59-90 オーストラリア

決勝     オーストラリア 65-92 アメリカ
3位決定戦  中国 81-94 ロシア

男子ハンドボール: フランスが金メダル

 男子ハンドボール決勝は、フランス対アイスランドの欧州勢同士の対戦となったが、フランスがワンサイドゲームでアイスランドを28-23で下し、オリンピックで初の金メダルを獲得した。

 2006年のヨーロッパチャンピオン、フランスは、相手ボールを奪ってからのカウンターで得点を重ね、前半を 15-10で折り返す。後半、一時は最大で10点差が開くほど余裕の試合運びを見せたフランスは、今や世界ナンバーワンプレーヤーと言われる二コラ・カラバティッチ、絶対的守護神GKのティエリー・オメイヤーを中心に好守にアイスランドを上回った。

 一方、敗れたとはいえ、主力選手5人がブンデスリーガでプレーする伏兵アイスランドの健闘は大会最大のサプライズであった。準決勝でもスペインを下すなど今大会目覚しい躍進を見せ、堂々の銀メダルを獲得した。

 3位決定戦は、スペインがアテネ金メダリストのクロアチアを35-29で破り、銅メダルを獲得した。

<男子ハンドボール最終順位>
金 フランス 銀 アイスランド 銅 スペイン
4位 クロアチア 5位 ポーランド 6位 ロシア 7位 デンマーク 8位 韓国 9位 ドイツ 10位 エジプト 11位 ブラジル 12位 中国

<決勝トーナメント>
準々決勝
フランス 27-24 ロシア    アイスランド 32-20 ポーランド
クロアチア 26-24 デンマーク  韓国 24-29 スペイン

準決勝
フランス 25-23 クロアチア   アイスランド 36-30 スペイン

決勝      フランス 28-23 アイスランド
3位決定戦  クロアチア 29-35 スペイン 

<大会オースルスターチーム>
GK        ティエリー・オメイヤー(フランス) 
レフトウイング グジョン・シガードソン(アイスランド)
レフトバック   ダニエル・ナルシス(フランス)
センターバック シノーリ・グッジョンソン(アイスランド)
ライトバック   オラフール・ステファンソン(アイスランド)
ライトウイング  アルベルト・ロカス(スペイン)
ピボット     バルトラン・ギジェ (フランス)

女子ハンドボール: ノルウェーがロシアを破り初の金メダル獲得

 1988年、1992年大会に銀メダル、2000年に銅メダルを獲得したノルウェーがついに悲願のオリンピック金メダルを手に入れた。

 決勝は予想どおり、世界チャンピオンのロシアとヨーロッパチャンピオン、ノルウェーの対戦となったが、前半からノルウェーの一方的な試合となった。早くも13-3のスコアとなった時点でノルウェーは優勝を確信したことだろう。その後ロシアも巻き返すが、前半を18-13で終えると、後半もセーフティリードを保ち続けたノルウェーが34-27で宿敵ロシアを破った。

 一方、3位決定戦では、韓国がハンガリーを33-28で下し銅メダルを獲得した。韓国は1988年、1992年大会には金メダル、1984年、1996年には銀メダルを獲得しているが、銅メダルは初となった。準決勝では優勝したノルウェー相手に惜しくも1点差で敗れたが、世界に通用する力があることを証明した。

<女子ハンドボール最終順位>
金 ノルウェー 銀 ロシア 銅 韓国
4位 ハンガリー 5位 フランス 6位 中国 7位 ルーマニア 8位 スウェーデン 9位 ブラジル 10位 カザフスタン 11位 ドイツ 12位 アンゴラ

<決勝トーナメント結果>
準々決勝
ノルウェー 31-24 スウェーデン  ハンガリー 34-30 ルーマニア
中国 23-31 韓国           ロシア 32-31 フランス(延長)

準決勝  ノルウェー 29-28 韓国     ハンガリー 20-22 ロシア

決勝     ノルウェー 34-27 ロシア
3位決定戦  韓国 33-28 ハンガリー

<大会オースルスターチーム>
GK       カトリン・ハラルドソン(ノルウェー) 
レフトウイング  オルソーリャ・ベルテン(ハンガリー)

レフトバック   リウディミラ・パストノーバ(ロシア)
センターバック  セオン・オー(韓国)

ライトバック   イリーナ・ビスノワ(ロシア)

ライトウイング  ラモナ・マイヤー(ルーマニア)
ピボット     エルス・マース・ ソエリー・リベック(ノルウェー)


女子ソフトボール: 最後のオリンピックで日本がアメリカを破り初優勝

 今大会を最後にオリンピック正式種目からはずれることが決まっている女子ソフトボールは、アテネのディフェンディングチャンピオン、アメリカに日本が挑んだが、3-1で日本がアメリカを下し初の金メダルを獲得、アメリカの4連覇を阻んだ。

 今大会アメリカと2戦し2敗を喫していた日本だったが、エース上野が準決勝のアメリカ戦、決勝進出決定戦のオーストラリア戦に続き決勝戦もひとりで投げぬく気迫の投球を見せ、日本に初の金メダルをもたらした。

<女子ソフトボール最終順位>
金 日本 銀 アメリカ 銅 オーストラリア
4位 カナダ 5位 台湾 6位 中国 7位 ベネズエラ 8位 オランダ

<決勝トーナメント結果> 
準決勝1
アメリカ 4-1 日本
オーストラリア 5-3 カナダ

決勝進出チーム決定戦   日本 4-3 オーストラリア

決勝  日本 3-1 アメリカ


女子サッカー: アメリカがブラジルを破り優勝

 女子サッカーの決勝戦は、4年前と同じアメリカとブラジルの顔合わせとなった。1996年、2004年の金メダリストで、2000年のシドニー五輪でも銀メダルを獲得しているアメリカは、実績、実力的にも世界ナンバーワン。対するブラジルは準決勝で世界1位のドイツを4-1で撃破し波に乗る。

 決勝は両チームとも自慢の攻撃力が鳴りを潜め、90分を終えて0-0のままロスタイムに入る。しかし、96分にアメリカのミッドフィルダー、カーリー・ロイドのゴールでアメリカが待望のゴールを挙げ1-0の僅差で接戦を制した。

 3位決定戦ではドイツが日本を2-0で破り、3大会連続の銅メダルを獲得した。

<女子サッカー最終順位>
金 アメリカ 銀 ブラジル 銅 ドイツ
4位 日本 5位 中国 6位 スウェーデン 7位 ノルウェー 8位 カナダ 9位 北朝鮮 10位 ニュージーランド 11位 アルゼンチン 12位 ナイジェリア

<決勝トーナメント>
準々決勝
ブラジル 2-1 ノルウェー   スウェーデン 0-2 ドイツ
中国 0-2 日本         アメリカ 2-1 カナダ

準決勝
ブラジル 4-1 ドイツ    アメリカ 4-2 日本

決勝      アメリカ 1-0 ブラジル
3位決定戦  ドイツ  2-0 日本