ヨーロッパニュース一覧

2009-2-3

ヨーロッパ・ニュース Vol.71

2009/02/03

男子ハンドボール:2009年世界選手権 クロアチア大会、優勝はフランス

クロアチア、スプリト

 クロアチアで行われていた男子ハンドボールの世界選手権は2月1日に決勝戦が行われ、フランスが24-19で地元クロアチアを下し、1995年、2001年に続く3度目の同大会優勝を果たした。一方、クロアチアは、2005年の決勝に続いて再びフランスに敗れ、悲願であった開催地での優勝も逃した。
 大会を通じて圧倒的な強さを見せたフランスは、この日も地力の差を見せ付けた。フランスは、前半12-11とわずか1点リードのまま後半へ入るが、その後も互角の攻防が続き、52分までフランスが1点リードを保ったまま試合が進む。しかし、52分にフランスがはじめて2点のアドバンテージを得て20-18とリードを広げると、クロアチアは緊張の糸が切れたかのように、そこからは攻め手を欠き、フランスがみるみるリードを広げると、最後は24-19でクロアチアを振り切った。フランスは、大会最優秀GKにも選ばれたオメイヤが好セーブを連発。攻めては、ギグーが10ゴール、ナルシスが6ゴールと活躍し、チームを表彰台の頂点へ導いた。
 なお、3位決定戦は、前回大会準優勝のポーランドがデンマークを31-23で破り、銅メダルを獲得した。また、大会MVPにはクロアチアのイゴール・ボリが選ばれた。

<世界選手権クロアチア大会ファイナルラウンド>
準決勝

デンマーク 22-27 フランス
クロアチア 29-23 ポーランド


3位決定戦

デンマーク 23-31 ポーランド


決勝戦

フランス 24-19 クロアチア


<最終順位>

1. フランス 13. スペイン
2. クロアチア 14. エジプト
3. ポーランド 15. ルーマニア
4. デンマーク 16. ロシア
5. ドイツ 17. チュニジア
6. ハンガリー 18. アルゼンチン
7. スウェーデン 19. アルジェリア
8. セルビア 20. キューバ
9. ノルウェー 21. ブラジル
10. スロバキア 22. クウェート
11. マケドニア 23. サウジアラビア
12. 韓国 24. オーストラリア


<大会オールスター>

GK ティエリ・オメイヤ(フランス)
左ウイング ミシェル・ギグー(フランス)
左サイドバック ビラゼンコ・ラコビッチ(クロアチア)
センターバック ニコラ・カラバティッチ(フランス)
右サイドバック マルチン・リジェブスキ(ポーランド)
右ウイング イバン・クピッチ(クロアチア)
ピボット イゴール・ボリ(クロアチア)
大会MVP イゴール・ボリ(クロアチア)
得点王 キリ・ラザロフ(マケドニア)





男子アイスホッケー:ZSCライオンズ、チャンピオンズ・ホッケーリーグ優勝


クロアチア、スプリト

 男子アイスホッケーの欧州ナンバーワンを決める、チャンピオンズ・ホッケーリーグは、スイスのZSCライオンズとロシアのメタルルグ・マグニトゴルスクとの間でホーム&アウエーのファイナルが行われ、初戦をアウエーで2-2と引き分けたZSCライオンズが2戦目のホームでは5-0と圧勝し、2戦合計7-2で欧州アイスホッケークラブの頂点に立った。昨シーズンの欧州王者マグ二トゴルスクは、2連覇を果たすことが出来なかった。
 今季からチャンピンズ・ホッケーリーグとして新しいフォーマットで始まった同大会で初の王者となったZSCライオンズは、10月にベルンで行われるビクトリアカップでNHL(全米アイスホッケーリーグ)の覇者と世界一の称号を賭けて戦う。




男子バスケットボール:ユーロリーグトップ16始まる


 
男子バスケットボール、ユーロリーグのトップ16は、1月29日、30日に1回戦が行われ、CSKAモスクワ(ロシア)、パナシナイコス(ギリシャ)、ウニカハ(スペイン)、TAUセラミカ(スペイン)らが勝った。また、スペイン勢同士の対戦となったレアル・マドリーとリーガル・バルセロナの一戦は、レアル・マドリーが85-83の僅差で接戦を制した。





女子バスケットボール:ユーロリーグウーマン プレーオフラウンド2回戦


 FIBAヨーロッパ(国際バスケットボール連盟欧州支部)主催のユーロリーグウーマンは、予選ラウンドを勝ち抜いた16チームによるホーム&アウエーのプレーオフ2回戦を終え、ロシアのUMMCエカテリンブルグ、同じくロシアのスパルタク・モスクワ、スペインのロス・カセレス、ハンガリーのMIZOペクスの4チームが2連勝でファイナル8進出を決めた。一方、2戦を終えて1勝1敗のタイとなった残りの4チームは、次ラウンド進出を賭けて3戦目を行う。




ハンドボール:IHFの問題で、内部でも会長に反旗の動き


 国際ハンドボール協会(IHF)のペーター・ミュールマター専務理事は1月26日、世界選手権が行われているクロアチアでドイツの『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙とのインタビューに応じ、同協会のハサン・ムスタファ会長を公然と批判し、同会長の辞任を求めた。ミュールマター専務理事は、「ハンドボ-ル界にとって同会長が協会を率いることは最善の策であるとは思えない。彼は辞任すべきだ。これまで、あってはならないことが起こっている」とコメントした。2000年から同職に就くムスタファ会長の不正経理問題を糾弾しているミュールマター氏は、「同会長は2007年の9月に辞任すべきだった」とも述べている。

<独裁政権>
 ステファン・ホルムクイスト氏とアレクサンダー・コズロフ氏がIHFの理事会から去った後、IHFの理事会に残ったのは、実質的にはムスタファ氏と彼の秘書を務めるロカ氏、前述のミュールマター氏の3人だけという。しかし、ミュールマター氏は理事会の“象徴的な存在”として席をおいているに過ぎず、協会内の決定プロセスにおける権限は持っていないため、ムスタファ会長の独裁政権と言われる。
 ウエッブサイト『チーム・ハンドボールニュース』によると、ムスタファ会長とロカ氏は、2007年度の会計報告の中で、50万ユーロの資金の支出について明確な説明を行えない状況にいるという。同年は北京オリンピックの前年で、アジア予選をめぐっては、審判の疑惑の判定によりCAS(スポーツ仲裁裁判所)からやり直し予選を命じられている。さらに、IHFが、アジア、アフリカ地区の国々のドーピング検査の費用として使用すべき資金が、ムスタファ会長の指示により各国協会に提供されなかった疑いももたれている。

<1999年エジプト世界選手権、不明資金問題>
 また、これとは別に、1月27日に発売されたドイツの週刊誌『デル・シュピーゲル』誌の記事によると、IHFは現在、1999年のエジプト世界選手権にまつわる協会資金の公金横領疑惑で、スイス検察庁による調査の対象となっているようだ。バーゼルの裁判所は、この大会の当時、IHFから流れた160万スイスフラン(約100万ユーロ)の行方を調べている。同誌によると、この資金の一部は、2003年に行方がわからなくなるまでフランスの銀行口座にストックされていたという。
 現IHF会長のムスタファ氏はエジプト人で、1999年当時、エジプト・ハンドボール協会のトップを務めていた。

<クロアチア大会での判定疑惑>
 閉幕したばかりのクロアチア世界選手権だが、ここでもムスタファ会長への批判が巻き起こっている。とりわけ、強国相手に健闘を見せながらもファイナルに残れなかった小国のマケドニアのメディアは、審判による試合の不正操作が行われたとして、「IHFマフィアの陰謀」と称し、同協会およびムスタファ会長を激しく糾弾している。
 同国メディアによると、メインラウンドでノルウェーとの対戦したマケドニアは29-27で敗れたが、試合中、自国が明らかに不利になるような不可解なジャッジが数多くあり、その結果敗戦を喫したという。マケドニアは予選ラウンドで、銅メダルに輝いたポーランドを30-29で破ったが、その試合で笛を吹いたポルトガル人審判が、ノルウェー戦で再び起用されたという。しかも、試合がはじまるわずか数分前に何の通知もなく主審の交代が告げられるという明らかな不正行為があり、「ポーランド戦で(本来負けさせなければならない)マケドニアが勝ってしまったことから、同じ審判に、“今度こそ相手を勝たせるよう”IHF側が2度目のチャンスを与えた」との説を唱えている。同国メディアは、昨年の北京オリンピックでも同じように試合直前に審判が代わるケースがあり、IHFによる介入があったことは明らかだと主張している。FIBAヨーロッパ(国際バスケットボール連盟欧州支部)主催のユーロリーグウーマンは、予選ラウンドを勝ち抜いた16チームによるホーム&アウエーのプレーオフ2回戦を終え、ロシアのUMMCエカテリンブルグ、同じくロシアのスパルタク・モスクワ、スペインのロス・カセレス、ハンガリーのMIZOペクスの4チームが2連勝でファイナル8進出を決めた。一方、2戦を終えて1勝1敗のタイとなった残りの4チームは、次ラウンド進出を賭けて3戦目を行う。




サッカー:FIFA会長、オリンピックの男子サッカーで23歳以上の選手の出場禁止を明言


 ブラジルを訪れているFIFA(国際サッカー連盟)のジョゼフ・ブラッター会長は、地元の『オ・グロ-ボ』紙とのインタビューで、次の2012年ロンドンオリンピックから、23歳以上の選手の出場を全面的に禁止する考えであることを明らかにした。
 オリンピックの男子サッカーでは原則23歳未満の選手が出場対象となっているが、各国に23歳以上の選手を3人まで出場させることができる“オーバーエイジ枠”(通称OA枠)が設けられている。ところが、オリンピックはFIFAの直轄大会ではないため、代表への選手供与を義務付けることができない。そのため、このOA枠への選手の供与をめぐり、各国協会は、傘下の選手を出場させたくない所属クラブとの間で問題を抱えることになる。
 ブラッター会長は、「本来は、昨年の北京オリンピックからOA枠を廃止し、23歳以上の選手の出場を認めないルールを適用したかったが、IOC(国際オリンピック委員会)のジャケ・ロゲ会長の依頼によってこれを見送った経緯がある」ことを明かしている。
 この新規約がFIFAで採決されるためには、3月の理事会、5月の総会で承認を得る必要があるが、協会トップであるブラッター会長自ら強い意志を示したことで、採決されるのはほぼ確実と見られている。