ヨーロッパ・ニュース Vol.76
2009/03/10
● 野球:WBC伏兵オランダが優勝候補ドミニカを破る金星
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WBC(ワールド・ベースボールクラシック)は、各地で予選ラウンドが始まり、ヨーロッパ代表のオランダが初戦で優勝候補のドミニカを3-2で破る大波乱があった。
プエルト・リコで行われているプールDの初戦、メジャーリーグの強打者を揃えるドミニカと対戦したオランダは、1回の表に相手の相次ぐミスに助けられ一気に3点を奪うと、昨シーズン、米メジャーリーグのレンジャーズ、ヤンキースでプレーした先発ポンソンがドミニカ打線を5回まで2失点に抑え、その後シュミット、コーディマンス、ニューマン、ボイドと無失点リレーでつないで、ヒットわずか3本でドミニカを倒した。また、プールCの初戦でベネズエラと対戦したイタリアは、7-0で完敗した。
● 男子ハンドボール:チャンピオンズリーグ波乱の最終節、ファイナル8進出チーム決定
男子ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグはメインラウンドの最終節が行われ、各グループの上位2チームが確定、ファイナル8進出チームが出揃った。
グループ1は、すでにHSVハンブルグ(ドイツ)の1位突破が決まっており、チェフォブスキ・メドゥベディ(ロシア)とポートランド・サンアントニオ(スペイン)の2位争いに焦点が絞られた。最終節でチェフォブスキはハンブルグに32-31で敗れたが、ポートランドが、このラウンド未勝利の最下位FCKハンドボールド(デンマーク)にまさかの敗戦を喫し(28-27)、チェフォブスキが2位を確定してファイナル8に進出した。しかし、最終節で最大の波乱があったのはグループ2だった。前節まで首位に立っていたフランスのシャンベリ・サボイエは、最終節でドイツのレーン・ハッカー・ローエンに14-25の大差で敗れてしまう。一方、クロアチア・ザグレブはスロバキアのセルジェ・ピボバルナ・ラスコを31-18で破る。この結果、3勝1敗2分で並んだレーン・ハッカーとクロアチア・サグレブが4勝2敗のシャンベリと勝ち点で並んだものの、最終節の大敗が響いて、シャンベリは最後の最後でまさかの3位に転落し、ファイナル8進出を逃した。完全な消化試合となったグループ3は、首位のMKBベスプレム(ハンガリー)、2位のフレンスブルク・ハンドビット(ドイツ)が、ともに最終戦を落としたものの、順位に変動はなく、両チームがファイナル8へ進んだ。最激戦区のグループ4では、決勝戦の前哨戦ともいわれるスペイン王者のシウダー・レアルとドイツ王者のTHWキールの2回目の直接対決が行われた。初戦はアウエーで敗れたシウダー・レアルだったが、この日は35-33で勝利し、前回の借りを返した。圧倒的な強さを誇る2チームだけに、昨年に続いて決勝戦で再び両者の頂上対決が見られるかもしれない。
<ファイナル8進出チーム>
HSVハンブルグ | (ドイツ) |
チェフォブスキ・メドゥベディ | (ロシア) |
レーン・ハッカー・ローエン | (ドイツ) |
クロアチア・ザグレブ | (クロアチア) |
MKBベスプレム | (ハンガリー) |
フレンスブルク・ハンドビット | (ドイツ) |
シウダー・レアル | (スペイン) |
THWキール | (ドイツ) |
● 男子ハンドボール:ドイツでTHWキールに審判買収疑惑
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世界最高峰ドイツ・ブンデスリーガのチャンピオンで、今季チャンピオンズリーグでも優勝候補の筆頭に挙げられる名門クラブTHWキールに、審判買収を行ったとの疑惑がかけられていることがわかった。
HBL(ドイツハンドボール協会)が明らかにしたところでは、2000年以降に行われた国際試合のうち、2007年のチャンピオンズリーグ決勝戦、対フレンスブルク・ハンドビット(28-28、29-27)戦を含む国際試合の数試合で不可解な判定があり、これらの試合でキールの幹部が審判を買収し、試合を操作した疑いがあるとの訴えがあったという。同クラブは、2000年以降、ドイツ・ブンデスリーガ優勝6回、ドイツカップ優勝3回、ドイツスーパーカップ優勝3回、EHFカップ優勝2回、チャンピオンズリーグ優勝1回、欧州スーパーカップ優勝1回と、合計16のタイトルを獲得している。
HBLに対しこの訴えを起こしたのは、ドイツリーグの理事会のメンバーのひとりで、レーン・ハッカー・ローエンの役員でもあるディーター・マテイス氏で、国内ハンドボール界に影響力を持つ重鎮の発言にHBLも黙って見過ごすことはできなかったようだ。一方、当のキールは、この疑惑について「全く根拠のないもの」として全面否定している。
HBLは、この問題についてキール幹部を呼び公聴会を行ったが、その結果、「こちらからの質問に対しては全て明確な回答を得た。疑惑を裏付けるような事実はみあたらなかった」との見解を発表した。また、EHF(欧州ハンドボール協会)はこの問題について、「証拠不十分であり、今のところはこの問題について調査する予定はない」とコメントしている。
ドイツ勢同士の対戦となった2007年のチャンピオンズリーグ決勝戦では、THWキールが最大のライバル、フレンスブルクに接戦の末、勝利を収めたが、この試合の明暗を分けたのは、ポーランド人審判のミロスラフ・バウム氏、マレク・ゴラルジク氏の不可解な判定だった。両審判は、試合開始後わずか19分にフレンスブルクの主将ヨアキム・ボルドセンを退場処分にするという、極めて不可解なジャッジを下し、後にこの判定をめぐって多くの議論がなされた。なお、この2人のポーランド人審判は、2004年のアテネオリンピック女子決勝戦、デンマーク対韓国戦でも、「デンマークに有利な笛を吹き、試合を故意に操作した」として、IHF(国際ハンドボール協会)の元GMフランク・ブリットフェルド氏から訴えられている。
● 女子サッカー:イングランド代表スター、スミスが米WPSへ
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2008年のFIFA年間最優秀女子選手にもノミネートされたイングランド代表のケリー・スミスが、新アメリカ女子プロサッカーリーグ(WPS)のボストン・ブレーカーズからドラフト指名され、現在所属しているイングランド女子リーグの強豪アーセナルから同クラブへ4年契約で移籍することが決定した。また同じボストンから指名を受けたアーセナルのチームメート、アレックス・スコットの移籍も決定している。さらにアーセナルからは、WPSのシカゴ・レッドブルズから指名を受けたカレン・カーニーの移籍も決まっている。一方、イングランド女子リーグでプレーするチェルシーのエニオラ・アルコ、アニータ・アサンテの両選手も、それぞれサン・ルイス・アスレティカ、ニューヨ-ク・スカイブルーからドラフト指名を受けており、まだ正式に契約は発表されていないものの、ともに来季からWSPでプレーする可能性が高い。この5人はいずれも、この夏に行われるUEFA女子ユーロ(欧州選手権)にイングランド代表として選ばれる見込みだが、WSPとの契約条件には、同大会参加についてチームから許可を得られることが盛り込まれていると考えられている。また、WPSのロスアンゼルス・ソルは、スウェーデンのウメアIKから、過去FIFA年間最優秀選手を3回受賞し、世界最高の女子選手といわれるブラジル人FWマルタを獲得。これまで欧州を舞台で活躍していたトッププレーヤ―のアメリカプロリーグ流出が急速に進んでいる。