ヨーロッパニュース一覧

2009-6-23

ヨーロッパ・ニュース Vol.90

2009/06/23

女子バスケットボール: 欧州選手権はフランスが優勝

モンテネグロ、ポドゥゴリカ

 ラトビアで行われていた女子バスケットボールの欧州選手権(ユーロバスケット・ウーマン)は20日に決勝戦が行われ、フランスが57-53でディフェンディングチャンピオンのロシアを破り優勝した。前回大会で8位に終わったフランスは、今大会では準々決勝でギリシャに51-49で競り勝つと、準決勝ではベラルーシを64-56で退け、決勝へ駒を進めた。一方、両者は予選ラウンドでも顔を合わせているが、その時はロシアが72-66でフランスに勝利している。ロシアは準決勝でスペインを77-61で破り、2連覇に向けてもはや敵なしかと思われたが、最後に伏兵に足元をすくわれた。
 一方、3位決定戦ではスペインがベラルーシを63-56で破り、2001、2003、2005年大会に続く、銅メダルに輝いた。
 なお、今大会で上位5チームに入ったフランス、ロシア、スペイン、ベラルーシ、ギリシャは、来年チェコで行われる世界選手権の出場圏を獲得した。


<女子欧州選手権結果>

準決勝

6/19 ロシア 77-61 スペイン

6/19 フランス 64-56 ベラルーシ

決勝

6/20 フランス 57-53 ロシア

3位決定戦

6/20 スペイン 63-56 ベラルーシ



野球: 欧州チャンピオンズカップファイナル4はイタリアのネットゥーノが優勝



 21日にスペインのバルセロナで行われた欧州チャンピオンズカップファイナル4は、イタリア勢同士の決勝戦となり、ダネッシ・ネットゥーノが白熱した投手戦を制し、1-0でフォルティトゥード・ボロニアを下して優勝した。一方、準決勝でいずれもイタリア勢に敗れたオランダの2チームにいる3位決定戦では、コレンドン・キンヘイムがL&Dアムステルダムを3-1で下し、3位に輝いた。

<欧州チャンピオンズカップファイナル4結果>
準決勝
6/20 フォルティトゥード・ボロニア(イタリア) 6-0 L&Dアムステルダム(オランダ)
6/20 ダネッシ・ネットゥーノ(イタリア) 6-4 コレンドン・キンヘイム(オランダ)

決勝戦
6/21 ダネッシ・ネットゥーノ 1-0 フォルティトゥード・ボロニア
3位決定戦
6/21 コレンドン・キンヘイム 3-1 L&Dアムステルダム



男子水球: ワールドリーグ・スーパーファイナル、優勝はモンテネグロ



 FINA(国際水泳連盟)主催の男子の水球ワールドリーグ・スーパーファイナルは、21日にモンテネグロのポドゥゴリカで決勝戦が行われ、地元モンテネグロがクロアチアを21-16で破り優勝した。昨年は準優勝に終わったモンテネグロは、2年連続の決勝戦で屈辱を晴らした。また、昨年の王者セルビアは3決定戦でアメリカを9-7で退け、面目を保った。一方、アジア代表の日本は予選ラウンドでは1勝も挙げられなかったが、順位決定戦で南アフリカに11-9で競り勝ち、最下位は免れた。

<水球ワールドリーグ・スーパーファイナル順位戦>
決勝戦  モンテネグロ 21-16 クロアチア
3位決定戦 セルビア 9-7 アメリカ
5位決定戦 イタリア 11-10 オーストラリア
7位決定戦 日本 11-9 南アフリカ



ハンドボール: 宮崎選手が入団のアルコベンダス、深刻な財政危機で来季トップリーグ参加が危ぶまれる


 スペインプロハンドボールリーグ(ASOBAL)のアルコベンダスは、深刻な財政危機のため、来季のトップリーグ参加が危ぶまれている。
 クラブの幹部は17日、来季のASOBALへの参加が実現できるよう、解決策を求めマドリード自治州のスポーツ省を訪問した。アルコベンダスのルイス・カルロス・トレスクーサ会長は、「昨年、我々がトップリーグに昇格した際、自治省は250000ユーロ(約3400万円)のサポートをしてくれるという約束をしたが、まだ実現されていない」と述べている。 今般の世界的な経済危機で他の競技でも同じような事態が発生しているが、オリンピックの正式競技であるハンドボールにおいてはマドリード自治州内唯一のトップリーグ所属チームであるアルコベンダスに対し、「自治州はもっとサポートするべき」と、同州スポーツ省の対応を批判している。
 自治州のスポーツ省トップとの会談で思わしい成果を得られなかった同クラブは、2009-10シーズンに向けて“SOSアルコベンダス”と銘打ったキャンペーンを実施することを決定。選手、監督、クラブ関係者はもちろん、マドリード近隣のスポーツクラブ、すべてのハンドボールサポーターに向けて、約3000人の有料会員を増加させるための活動を行い、資金を確保するべく動いている。来季のASOBALに参加するためには、少なくとも財源を赤字化しないための20万ユーロ(約2700万円)の資金を集める必要があるが、ASOBALへの参加申請は6月30日が期限となっており、アルコベンダスはそれまでに、来季トップリーグに参加するか、2部リーグ(ディビジョン・デ・オノールB)への降格を受け入れるかを決めなければならない。

SOSアルコベンダスキャンペーンビデオ :

http://www.marca.com/2009/06/22/balonmano/1245664632.html





BBC記者、2016年オリンピック開催地プレゼンでリオに好印象

 17日、スイスのローザンヌでIOC(オリンピック委員会)理事による公聴会が行われ、2016年オリンピック開催候補4都市によるプレゼンが行われた。
このプレゼンを取材したイギリスのBBCのベテラン記者で同社のスポーツ部門編集局長のミハイル・ボセ記者によると、プレゼンを行った4都市のうち、オバマ大統領の支持表明によって事前調査では優位とされていたシカゴとともに、リオ・デ・ジャネイロに興味を示す委員が多かったとの印象を受けたようだ。同氏は「4都市はほぼ同等」と評価しながらも、「リオが一歩抜け出ていた」との見方をしている。同記者の分析によれば、「リオ開催の唯一の障害は治安面。だが、“南米での初開催”という意義に委員が心を動かされつつあるのも事実という。同記者は、現時点での印象では「2016年オリンピック開催地争いではリオとシカゴ有利だ」と分析している。また、このボセ記者の印象を裏付けるように、第三者的立場にいる関係者からの証言をまとめたところ、評価委員会の討議の中では、わずかながらリオが優位との声が聞かれるという。
 一方、マドリードについては、「他都市とはいえ、すでに92年にバルセロナで開催された」「2012年ロンドン、2014年ソチ(冬季大会)と続く欧州での3連続開催は難しい」との見方が強いという。。同記者は東京についても、「1964年にすでに開催している」、「2008年大会がアジアの北京で行われた」ことを理由に、「やや不利」との見方を示した。
 立地で言えば、アメリカでも1996年にアトランタオリンピックが開催されているが、それ以上に、「政治的影響力」、「スポンサーやテレビ放映権などの収入が大きく、それを各国協会が享受できることによるメリット」などが大きな魅力となっており、「10月2日のコペンハーゲンの最終投票の場にバラク・オバマ大統領、ミシェル夫人が出席し、直接シカゴ開催をアピールすれば、その効果はてきめんだろう」としている。
 また、この公聴会では、2016年大会開催地のプレゼンだけでなく、2016年大会で新種目として追加採用される競技の候補となっている7つの競技団体によるプレゼンも行われた。2008年まで公式競技として行われていた野球、ソフトボールだが、2005年のIOC理事会で、2012年のロンドン大会での削減が決まった。一方、他の5競技、スクワッシュ、空手、ラグビー、ローラー・ゲーム、ゴルフは、全体の3分の2の承認が得られずロンドン大会での採用は見送られたが、その中で最も得票数を集めたスクワッシュと空手の2競技は、次期大会での採用が有力と見られている。しかし、候補を2競技に絞り込む8月2日のIOC理事会の投票では、前回とは異なり、過半数の支持を得ればよいとの条件に変わっており、前回支持率が高かったスクワッシュ、空手が有利との声が聞かれる。
 しかし、ここへきて野球の復活も現実実を帯びてきた。ロンドン大会からの削減の主原因のひとつに、米メジャーリーグ(MLB)の存在があるが、今回、そのMLBがオリンピックへの全面協力を申し出てきたのだ。MLBはこれまで、オリンピック開催期間中もリーグを継続しており、それがメジャーリーガーのオリンピック参加の最大の妨げになっていた。また野球関係者は、「この競技はアメリカ、南米、アジアの限られた地域だけで行われる」との誤った認識を払拭するための必死のロビー活動を行っている。実際に、野球が盛んでない欧州のIOC委員はこのような考えをしがちだが、野球はアメリカを頂点に、北米、中南米、アジア各国など世界の多くの地域で盛んなスポーツであり、100カ国以上に協会があるなど、世界の多くの国々で普及しつつある“世界的なスポーツ”と言えるだろう。
 とはいえ、2012年大会で競技数を28から26に減らしたIOCは、2016年大会で再び28に戻すことを表明しているが、それは「競技規模」や「コスト」を増大させないことを前提としている。その意味では、団体スポーツである野球はスクワッシュや空手よりもコストがかかることは間違いなく、また特別な専用スタジアムが必要という意味でも不利といえるかもしれない。