ヨーロッパ・ニュース Vol.97
2009/10/06
● 2016年オリンピック: 開催地はリオデジャネイロ、マドリードの2020年立候補は白紙
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10月2日にコペンハーゲンで行われたIOC総会で、2016年のオリンピック開催地がブラジルのリオジャネイロに決定したが、下馬評では不利といわれながらも、最終投票まで残ったマドリードの招致代表団がスペインに帰国した。
2大会連続の同大陸での開催がネックと言われつつ予想外の健闘と称えられる一方で、最終投票ではリオに66-32と大きく差をつけられたことについて、専門家は厳しい味方をしている。3大会連続での立候補にもかかわらず、マドリードが今回獲得した最高得票数は、前回2005年にシンガポールで行われた2012年の開催地投票の時に獲得した32票と全く同じで、実質的に支持国の基盤が変わっておらず、2020年に向けて支持基盤を増やせるかどうかには疑問符がつく。また、IOC委員に影響力を持つサマランチ元IOC会長の威光も、2020年招致時にはすでに薄れているとの見方が大半だ。
マドリードのアルベルト・ルイス・ガジャルドン市長はコペンハーゲンから帰国後、2020年大会への立候補について、「立候補するかどうかは、今年、来年に議論することではなく、2011年になってから話し合われることになる」と結論を先延ばしする発言をしている。というのも、スペインは2018年のサッカーワールドカップ候補地にも立候補しており、今後はそちらの招致活動に注力したいとの考えによるものだ。欧州ではサッカーのW杯はオリンピック以上に盛り上がるイベントであり、マドリードは当面そちらに軸足を移していくことになる。
今回、2016年のリオ開催決定を受け、すでにインドやアフリカからも2020年立候補に向けての動きが見られる。またヨーロッパからは、ローマ、イスタンブールの立候補がほぼ確実といわれるほか、パリ、ベルリンも名乗りを挙げるのではないかと見られており、欧州間でも厳しい戦いが予想される。
<2016年オリンピック開催地決定投票の結果>
第1回投票 総数95 参加94 有効票94
1.マドリード 28 2.リオ 26 3.東京 22 4.シカゴ 18 (※シカゴが落選)
第2回投票 総数97 参加96 有効票95 棄権1
1.リオ 46 2.マドリード 29 3.東京 20 (※東京が落選)
最終投票 総数99 参加98 棄権1
1.リオ 66 2.マドリード 32 (※マドリードが落選)
● 女子バレーボール: 欧州選手権、イタリアが決勝でオランダを下しV
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ポーランドで開催されていた女子バレーボール欧州選手権は4日、イタリアとオランダの間で決勝戦が行われ、イタリアがセットカウント3-0のストレートでオランダを下し、3年ぶりの欧州女王に輝いた。また、ポーランドとドイツの間で争われた3位決定戦では、地元ポーランドが3-0で勝った。
なお、大会MVPにはオランダのマノン・フリールが選ばれた。
<欧州選手権結果>
準決勝
オランダ 3-1 ポーランド (25-11、25-15、20-25、25-20)
イタリア 3-1 ドイツ (25-10、22-25、25-12、25-22)
決勝
イタリア 3-0 オランダ (25-16、25-19、25-20)
3位決定戦
ポーランド 3-0 ドイツ (25-16、25-19、25-23)
● 男子ハンドボール: 欧州チャンピオンズリーグ開幕
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各国のリーグチャンピオンが出場し欧州クラブナンバーワンを決めるチャンピオンズリーグのグループリーグが3日に始まった。昨シーズンまでは4チームごとに6つのグループに分かれて行われていたグループリーグだが、今季は6チームごとに4つのグループへと変更された。
注目は、昨年の王者シウダー・レアル、バルセロナのスペイン勢と、THWキール、HSVハンブルク、レーン=ネッカー・ローヴェンのドイツ勢だが、昨シーズンまでTHWキールのエ-スとして活躍し、現在世界ナンバーワンプレーヤーとの呼び声が高い二コラ・カラバティッチが所属するフランスのモンペリエも優勝争いに絡んでくると見られる。
そのモンペリエはグループAの初戦でギリシャのPAOK相手にアウエーながら46-20とダブルスコアの勝利を収め、前評判どおりの実力を発揮した。またグループBでは、レーンネッカーがハンガリーの強豪ベスプレムを32-29で振り切ったほか、グループCでは、ハンブルク、シウダー・レアルが危なげない戦いで初戦を白星で飾った。次戦では早くもこの2チームの対戦が実現する。グループDでは、バルセロナが順当に勝利を収めたものの、THWキールはスペインの伏兵アデマール・レオンに苦戦、35-32で辛くも勝利したが、バルセロナとの次戦にやや不安を残す内容となった。
● 男子ハンドボール: アルコベンダスがホームで痛いドロー、宮崎は無得点に終わる
スペインの男子プロハンドボールリーグASOBALは第5節が行われ、宮崎大輔選手が所属するアルコベンダスは4日にホームでアラテと対戦し、29-29で引き分けた。アルコベンダスは後半に入ってから終始リードを保ち終盤を迎えたが、粘るアラテに最後の最後に追いつかれ、手中に収めていた勝利を目前で逃してしまった。宮崎はこの試合ほとんど出場機会がなく、2本のシュートを放つも無得点に終わった。
● ラグビー: ハイネケンカップ2009、9日に開幕
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ヨーロッパの強豪チームが集うハイネケンカップのグループリーグが9日に開幕する。2008-09大会のタイトルホルダーであるアイルランドのレンスター、準優勝に終わったイングランドのレスター・タイガーズをはじめ、24のクラブチームが欧州の頂点を目指す。
<ハイネケンカップ、グループリーグ組み合わせ>
プール1: トレビソ(イタリア)、マンスター(アイルランド)、ノーサンプトン(イングランド)、ペルニャン(フランス)
プール2: ビアリッツ(フランス)、グラスゴー(スコットランド)、グロスター(イングランド)、ニューポート(ウェールズ)
プール3: クレモン(フランス)、レスター(イングランド)、オスプリーズ(ウェールズ)、ビアダナ(イタリア)
プール4: バース(イングランド)、エジンバラ(スコットランド)、スタッド・フランセ(フランス)、アルスター(アイルランド)
プール5: カーディフ(ウェールズ)、ハリクインズ(イングランド)、セール・シャークス(イングランド)、トゥールーズ(フランス)
プール6: ブリーブ(フランス)、レンスター(アイルランド)、ロンドン・アイリッシュ(イングランド)、スカーレッツ(ウェールズ)
● アイスホッケー: ビクトリアカップ、チューリッヒ・ライオンズがブラックホークスを破る
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欧州のチャンピオンズ・ホッケー・リーグ(CHL)の王者とNHL(全米プロホッケーリーグ)の招待チームが対戦するビクトリアカップが9月30日にスイスのチューリッヒ行われ、2008-09欧州王者の地元のチューリッヒ・ライオンズが、2-1でNHLのシカゴ・ブラックホークスを下した。
<IIHF、来年のビクトリアカップを欧州4大リーグの都市で開催する可能性を示唆>
過去2回のビクトリアカップは、いずれもスイスで開催されてきたが、IIHF(国際アイスホッケー連盟)のレネ・ファセル会長はこの度、ヨーロッパのアイスホッケーマーケットをより拡大するため、来年以降の開催場所を欧州4大リーグの都市から選ぶとの意向を表明した。同会長はスイス人だが、「スイスリーグの関係者と協議した上のことになるが、欧州4大リーグであるロシア、スウェーデン、チェコ、フィンランドのうちのひとつのチームに出場してもいらいたい」と述べ、スイス以外での大会開催を示唆した。