ヨーロッパニュース一覧

2010-3-23

ヨーロッパ・ニュース Vol.112

2010/03/23


ラグビー:6カ国対抗戦、フランスがグランドスラムで完全V

 ラグビーの6カ国対抗戦(シックス・ネイションズカップ)は20日に最終戦3試合が行われ、フランスがイングランドを12-10で下し5戦全勝のグランドスラムで優勝した。
この日、わずかながら優勝の望みが残っていたアイルランドが先に敗れて2敗目を喫したことで、最終戦を戦わずしてフランスの優勝が決まった。フランスの優勝は3シーズンぶり、グランドスラムは2004年以来となる。なお、2位には昨季優勝のアイルランド、3位にイングランドと続き、以下、ウェールズ、スコットランド、イタリアの順となった。

7人制ラグビー:ワールドシリーズ、オーストラリア大会はサモアが優勝

 21日にアデレードで行われた7人制ラグビーのワールドシリーズ・オーストラリア大会決勝で、サモアが米国を38-10で破り優勝した。サモアは準々決勝で強豪ニュージーランドを下して勢いに乗ると、続く準決勝でもオーストラリアに勝って堂々の決勝進出を果たした。一方の米国も、ウェールズ、アルゼンチンを破るなど健闘したが、最後は及ばなかった。
 日本は1次リーグのプールBで3位となり、上位2チームが出場できる決勝トーナメントには進めず下位同士の順位決定戦に回ったが、スコットランドに15-21で敗れた後、ニウエには22-5で勝ち、最終戦でもトンガに22-19で競り勝った。

<オーストラリア大会準々結果>
=準々決勝=
南アフリカ 14-17 アルゼンチン、 ウェールズ 10-21 米国、 オーストラリア 26-22 フィジー、 ニュージーランド 19-24 サモア 
=準決勝=
米国 28-12 アルゼンチン、 サモア 26-12 オーストラリア
=決勝=
サモア 38-10 米国

<日本チーム成績>
=1次予選(プールB)=
1勝2敗(3位) 1.南アフリカ 2.サモア 3.日本 4.フランス
日本 5-54 サモア●、 日本 21-15 フランス○、 日本 0-40 南アフリカ●

=順位決定戦=
日本 21-15 スコットランド●、 日本 22-5 ニウエ○、 日本 22-19 トンガ○

女子サッカー:UEFAウーマンズ・チャンピオンズリーグで日本人選手2人が4強入りの快挙

<永里選手>
<安藤選手>

 本田圭佑選手の活躍によりCSKAモスクワがUEFAチャンピオンズリーグで準々決勝に進出したニュースが大きく取り上げられているが、UEFAの女子サッカーの欧州王者を決めるUEFAウーマンズ・チャンピオンズリーグでも、2人の日本人選手が4強に残る快挙を成し遂げた。準々決勝でノルウェーのレアを2戦合計10-0の大差で下したポツダムの永里優季と、イングランドの強豪アーセナル・レディースを下した同じくドイツのデュイスブルク所属の安藤梢だ。この2チームは準決勝で対戦することが決まっているため、決勝戦での日本人対決は実現しないが、どちらか1人が間違いなく決勝戦に進むことになる。
 ドイツの強豪ポツダムに所属する22歳の永里優季は東海大の4年生だが、日本では日本テレベレーザでプレーしていた。しかし、今年1月にドイツ女子1部ブンデスリーガのポツダムと2年半のプロ契約を結び、欧州でも有数のトップリーグを持つドイツで早くもFWとしてレギュラーポジションを獲得しつつある。ウーマンズ・チャンピオンリーグ準々決勝レア戦では第1戦、第2戦でそれぞれ1ゴールずつを決めるなど、勝負強さを見せている。
 一方、現在27歳の安藤梢は昨年12月、永里よりも一足先に女子ブンデスリーガの強豪デュイスブルクと契約。デュイスブルクは昨シーズン、同大会に初出場していきなり初優勝という快挙を果たしたチームで、ドイツ代表FWのグリングスら有力選手を揃える。安藤はそれまで所属していた浦和レッズレディースで主力選手としてプレー。2009年のなでしこリーグではチームのリーグ優勝に大きく貢献し、リーグ戦得点王、最優秀選手賞、ベストイレブンを受賞するなど、今や日本女子サッカー界を代表する選手である。なでしこジャパンでも中心選手として北京オリンピックで4位に入賞するなど、実績は十分。満を持しての海外挑戦でビッグタイトル獲得にチャンレンジする。

<ウーマンズ・チャンピオンズリーグ準々決勝結果>
リヨン(フランス) 3-0、0-1 トーレス(イタリア) ※合計3-1でリヨンが準決勝進出 
ウメア(ノルウェー) 0-0、2-2 モンペリエ(フランス) ※合計2-2もアウエーゴール差でウメアが準決勝進出
ポツダム(ドイツ) 5-0、0-5 レア(ノルウェー) ※合計10-0でポツダムが準々決勝進出
デュイスブル 2-1、2-0 アーセナル(イングランド) ※合計4-1でデュイスブルクが準々決勝進出 

<準決勝組み合わせ> ※第1戦 4月10日、第2戦 4月18日
リヨン対ウメア
デュイスブルク対ポツダム

ラグビー:ハイネケンカップ 準々決勝出場チーム決まる

 昨シーズン、欧州チャンピオンズリーグ、欧州スーパーカップ、スペインリーグの3冠を制したスペインの強豪シウダー・レアルだが、経済危機のあおりを受け、今季の予算は前年度比50%も削減(600万ユーロから300万ユーロへ減額)されるという厳しいスタートを切った。この予算減による一部主力選手放出などもあり連覇に向けて不安の声も聞かれたシウダー・レアルだったが、ふたを開けてみれば今季もチームは絶好調。リーグ戦ではここまで21戦全勝と驚異的な記録で勝ち続けており、2位のバルセロナ(18勝2敗1分)を大きく引き離して首位を独走。チャンピオンズリーグでも順調に勝ち上がりトップ16入りを果たし、連覇に向けて躍進を続けている。この躍進の陰には、同クラブを欧州の名門にまで育て上げたドミンゴ・ディアス・メラ会長の献身的な努力と、選手としても監督としても頂点を極めたタラント・デュシュバエフ監督のチームマネージメントがあるという。
 同監督は現役時代、2001年から同クラブの主力選手として活躍。2005年から同クラブの監督を務めると、この4年間で欧州チャンピオンズリーグ、スペインリーグをそれぞれ3度制覇するという輝かしい実績を残している。同監督の特筆すべき点は、何よりも選手のマネージメントに長けているところだという。指導者としての能力はもちろん、尊敬される人柄で選手からの信頼が厚く、選手のモチベーションを高める手腕は内外で高く評価されている。欧州のトップクラブであるバルセロナやドイツのキールは、シウダー・レアルの数倍にあたる1100〜1200万ユーロという豊富な資金に物を言わせ、シーズンオフのたびに高額な年棒を提示して同クラブの有力選手引き抜きを画策しているが、高額年棒よりもデュシュバエフ監督とともに戦いたいとの理由から、同クラブに残ることを選ぶ選手は少なくない。欧州トップレベルのリーグを持つスペインでも、近年ではスポンサー集めが容易ではない。経済危機でスポンサー離れが進む中、シウダー・レアルの年間予算の20%は州や市からの財政援助が占めている。だが、人口わずか7万4千人の小都市であるシウダー・レアル市にとって、クラブ援助の負担は決して小さくない。同クラブの入場収入を支えるソシオ(年間会員)はわずか3200人だが、来季以降は入場料収入を増加させるため、年会費の値上げもやむないとされる。サッカー部門の膨大な収入の恩恵を受けるバルセロナや、大きなテレビ放映料や入場料収入が見込めるドイツの強豪クラブと比べて厳しい環境に立たされているシウダー・レアルには、勝ち続けるしか生き残る道はないのだ。