ヨーロッパ・ニュース Vol.131
2010/12/14
● スキャンダル: スペイン陸上界の人気選手がドーピング疑惑で逮捕
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先週、スペインのスポーツ界では陸上選手のドーピングスキャンダルがメディアを賑わせた。
有名陸上選手をめぐる組織的なドーピングが行われているとの内通を受け半年以上にわたる調査を続けてきたスペインの司法当局は、14人の関係者から事情聴取を行った。その後の家宅捜索で14人中6人が逮捕されることになったが、その中には、2009年の世界選手権3000m障害では金メダルを獲得するなど世界トップレベルの実績を持つ陸上中距離界のエース、マルタ・ドミンゲス選手が含まれており、関係者に大きな衝撃を与えた。
今回のドーピングスキャンダルの首謀者のひとりと見られるエンフェミアーノ・フエンテス医師は、2006年に同国で発覚し、競技自転車界を揺るがした大規模なドーピングスキャンダルでも中心人物として逮捕されている。逮捕された関係者の自宅からは、アナボリック剤、ステロイドなどの禁止薬品の他、複数の選手のものと見られる血液のパック、証拠書類などが見つかっているが、ドミンゲス選手以外にも取調べを受けている選手がおり、さらなるスキャンダルに発展する可能性がある。
● スポーツマーケッティング: FCバルセロナ、カタール財団と巨額スポンサー契約
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2009年にクラブチームとして史上初の6冠を達成するなど、サッカークラブとして現在、名実共に世界ナンバーワンと言われているFCバルセロナだが、このたび、ユニフォームのブランドバリューでも世界一に躍り出ることになった。
バルセロナは先週、カタール財団と5年半でトータル1億6500万ユーロ(約183億円)という破格のユニフォームスポンサー契約を交わしたことを発表。同クラブは2006年から、慈善事業の一環としてユニセフとの合意に基づき、ユニフォームの胸にロゴを入れているが、スポンサー料を受け取りユニフォームにロゴを入れる純粋な商業契約としては、今回がクラブ史上初となる。バルセロナは同時に、ユニセフとの契約を2016年まで延長することも発表しており、来季から同クラブのユニフォームには、カタール財団、ユニセフの2つのロゴが並ぶことになる。ユニフォームにロゴが入るのは2011-12シーズンからとなるが、最初の6ヶ月間、バルセロナはカタール財団からユニセフやクラブの福祉財団の活動に使用する目的で1500万ユーロ(約16億6000万円)を受け取ることになる。つまり、残る1億5000万円が純粋なスポンサー料としてクラブの財源となる。
これによって、バルセロナの年間ユニフォームスポンサー料は年間3000万ユーロ(約33億円)となり、マンチェスター・ユナイテッドやレアル・マドリードというビッグクラブを抜いて、“世界一のユニフォームブランド”の称号を手に入れることになった。2022年のワールドカップ開催が決まったことを受け、カタールではサッカー界での知名度アップを図る投資機運が高まっているようだ。
ユニフォームロゴ年間スポンサー料比較(『ムンド・デポルティーボ紙』より)
1. | バルセロナ(カタール財団) 3000万ユーロ(約33億円) | |
2. | マンチェスター・ユナイテッド(AON) 2360万ユーロ(約26億円) | |
リバプール(スタンダード・チャータード) 2360万ユーロ(約26億円) | ||
3. | レアル・マドリード(BWIN) 2300万ユーロ(約26億円) | |
4. | バイエルン・ミュンヘン(ドイチェ・テレコム) 2260万ユーロ(約25億円) | |
5. | チェルシー(サムソン・モバイル) 1630万ユーロ(約18億円) |
● 女子ハンドボール: 欧州選手権、二次ラウンド進出の12チームが決定
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7日から始まった女子ハンドボールの欧州選手権デンマーク・ノルウェー大会は、予選ラウンドが終了し、各グループを勝ち抜いた12チームが出揃った。
グループAでは、3戦全勝の地元デンマークが首位通過を果たし、2位ルーマニア、3位スペインと共に二次ラウンド進出を決めたが、セルビアは3連敗で敗退した。グループBでは、ロシア、モンテネグロ、クロアチアの三つ巴となり、ともに2勝1敗で二次ラウンドへ駒を進めた。アイスランドは3連敗で敗退した。グループCでは、スウェーデンが3連勝で文句なしの勝ち抜けを決めたが、2位以下は、オランダ、ウクライナ、ドイツが1勝2敗で並ぶ僅差となった。しかし、直接対決の結果、2位がオランダ、3位がウクライナとなり、ドイツは涙を呑んだ。またグループDでは、ノルウェーが強豪ハンガリーを抑えて3連勝で、2位ハンガリー、3位フランスとともに勝ち抜けを決めた。なお、スロベニアは3連敗で敗退している。
<二次ラウンド組み合わせ>
グループI: デンマーク、ロシア、モンテネグロ、ルーマニア、クロアチア、スペイン
グループII: スウェーデン、ノルウェー、ハンガリー、オランダ、フランス、ウクライナ
● 男子ハンドボール: 欧州チャンピオンズリーグ、唯一全勝のベスプレムが敗れる
男子ハンドボールのチャンピオンズリーグ・グループリーグは先週、今年最後となる第7節が行われ、ここまで唯一全勝を守ってきたグループBのベスプレム(ハンガリー)がドイツのハンブルグに27-26で敗れ、初の黒星を喫した。ベスプレムはすでにベスト16進出を決めているが、この勝利でハンブルガーもベスト16入りを確定した他、フランスのモンペリエ、デンマークのKIFコールディングもともに勝ち抜けを決めた。一方、グループAではバルセロナ(スペイン)がホームで首位のTHWキール(ドイツ)を32-29で破り、上位2チームのドイツ勢との勝ち点差を2ポイントに縮めている。また、グループCではロシアのチェコフスキ・メデベディがスペインのバジャドリーを29-27で破り、勝ち点を11ポイントに伸ばしてベスト16入りを決めている。
● ラグビー: ハイネケンカップ、昨季優勝のトゥールーズが開幕3連勝
ラグビーのハイネケンカップは11と12日に予選ラウンドの第3節が行われ、昨シーズン優勝のトゥールーズ(フランス)がスコットランドのグラスゴー・ウォリアーズを28-16で破り、プール6で開幕3連勝を飾った。また、プール1のノーザンプトン(イングランド)もカーディフ(ウェールズ)を23-15で下し、同じく3連勝としている。
一方、プール2ではここまで2連勝のレンスター(アイルランド)がクレモン・オーベルニュ(フランス)に13-20で敗れた他、プール5でも首位のレスター・タイガース(イングランド)がペルペニャン(フランス)に19-24で敗れるなど、フランス勢の好調が目だった。この結果、プール5はレスター、スカーレッツ(ウェールズ)、ペルペニャンが2勝1敗で並ぶ混戦となっている。一方でプール4では、昨シーズン準優勝のビアリッツ(フランス)がイタリアのアイロニに26-27で敗れる番狂わせもあった。