ヨーロッパニュース一覧

2012-9-25

ヨーロッパ・ニュース Vol.183

2012/09/25


男子ハンドボール: MKBヴェスプレームKCの大型補強

  ハンドボール競技が盛んなハンガリー国内で、ひときわ存在感あふれるクラブがある。「MKBヴェスプレームKC」と呼ばれる名門クラブだ。このクラブは国内リーグ制覇20回、準優勝9回、またカップ戦も21回優勝するという輝かしい成績をおさめており、ハンドボールに詳しい方ならご存知だろう。

 国内では敵なしのヴェスプレームが毎年優勝を目指してチャレンジする舞台、それが欧州1を決めるVELUX EHFチャンピオンズリーグだ。ここ数年ではハンガリー国内のタイトル制覇よりも、このチャンピオンズリーグでの成績の方がクラブにとっては重要課題となっている。過去の同大会での戦績を振り返ると、ヴェスプレームはことごとく決勝ラウンドの大事な一戦でスペインの強豪クラブの前に敗れ去っている。


<2012年には国内リーグ20回目の優勝を果たしたヴェスプレーム。2013年シリーズはチャンピオンズリーグで宿敵バルセロナを倒すべく“スペイン勢攻略”に乗り出した>


 そして2013年シリーズを前に、ヴェスプレームは大型補強に踏み込んだ。スペインのバルセロナでは伝説的存在として知られるアントニオ・カルロス・オルテガ氏を監督として招聘すると、スペインハンドボールの強豪、バルセロナ、アトレティコ・マドリーから4選手を続けて大型補強した。そして世界が注目するアジアのスター、イマン・ジャマリ(イラン)との4年間の契約にもこぎつけた。

 北欧や東欧でも非常に人気の高いこのハンドボールだが、今シーズンの欧州4強候補には、優勝候補バルセロナ(スペイン)、国内リーグ戦での連勝記録40を達成したばかりのTHWキール(ドイツ)、北欧の名門コペンハーゲン(デンマーク)、そしてこのMKBヴェスプレームが挙げられている。ぜひ今季もVELUX EHFチャンピオンズリーグの行方に注目したい。

欧州フットサルカップ情報

 フットサルの欧州チャンピオンを決める「UEFAフットサルカップ」のエリートラウンド(計4グループによる第2次予選)の組み合わせが明らかになった。10月9日から14日まで行なわれるこのエリートラウンドでは、各グループの1位が来年4月に開催される決勝ラウンドへと駒を進めることになる。

 グループAは昨年の覇者であり優勝候補の筆頭であるバルセロナ(スペイン)、そして2010年には銅メダルに終わったアラズ・ナヒチェヴァン(アゼルバイジャン)の戦いに注目が集まる。バルセロナは戦力を昨年から落とすことなく、相変わらずのスター軍団に死角はないだろう。Aグループではサプライズが起きる可能性は低いと考えられている。

 グループBは、フットサルの新興勢力である中東と東欧勢が群雄割拠するグループとなった。グループをリードすると予想されるのが過去に4度ベスト4まで勝ち上がったアルマトイ(カザフスタン)だ。そしてグループホストを務める新勢力クラグイェヴァツ(セルビア)もファイナル4進出を目論んでいる。

<バルセロナは主将ハビエル・ロドリゲスがクウェート・クラブへと移籍した代わりに、若きスペイン代表のアイカルドをサンティアゴ・フットサル(旧名称:ロベジェ)から獲得。充実すぎる戦力を考えるとやはり優勝候補だ>


 グループCにはエル・ポソ・ムルシア(スペイン)とディナモ・モスクワ(ロシア)という超強豪が混在する。エル・ポソはスペインリーグでもその強さを発揮している。2011-12年のレギュラーシーズンでは、バルセロナを勝ち点で上回りその実力は証明済みだ。そして昨年は「UEFAフットサルカップ」準優勝に終わったディナモ・モスクワ(ロシア)も本大会にかける意気込みは強く、エル・ポソとの2強対決に注目が集まる。

 グループDは実力の拮抗した『死のグループ』と呼べるだろう。ポルトガルの名門ベンフィカ、イタリアの古豪ルパネンセ、ハンガリーの中堅ジェール、そして台頭の著しいグルジアのイベリアスター・トビリシと、どの試合も好勝負が期待できそうだ。実力ではベンフィカとルパネンセに有利と予想されるが、グループホストのイベリアスターも、地元の声援とブラジル人選手の個人技などで、サプライズを起こす可能性が十分にある。

<エリートラウンドの組み合わせは以下の通り>

グループA 

バルセロナ(スペイン)リティヤ(スロベニア)アラズ・ナヒチェヴァン(アゼルバイジャン)MNKスプリト(クロアチア)

グループB 

アルマトイ(カザフスタン)クラグイェヴァツ(セルビア)スロブ・マチッチ・ブラチスラヴァ(スロバキア)フルジム(チェコ)

グループC

エル・ポソ・ムルシア(スペイン)ディナモ・モスクワ(ロシア)エナジー・リヴィウ(ウクライナ)ニカーズ・リガ(ラトビア)

グループD

ベンフィカ(ポルトガル)ルパネンセ(イタリア)ジェール(ハンガリー)イベリアスター・トビリシ(グルジア)



男子バスケット情報: 注目クラブ「ヒムキ」情報


<大活躍を見せたスペインのUCAMムルシアからやって来た元NBAのパワーフォワード:ジェームズ・オーグスティン(米国)>

 昨年の男子バスケット・ユーロカップの覇者「ヒムキ・モスクワ・リージョン(Khimki Moscow Region)」が大型補強を行ない、今季における欧州バスケットの台風の目となるかもしれない。昨年のヒムキはロシアリーグで2位につけており、今後は新戦力による更なるブレークが期待されている。


 ヒムキは今年スペインリーグからジェームズ・オーグスティン(米国)を獲得、元NBAパワーフォワードがもたらす圧倒的なリバウンド力でチームの安定感は倍増。また同じく元NBAのポール・デイビス(米国)も同クラブに移籍、これでセンターラインも欧州トップクラスだ。さらにポイントガードにはフィンランド代表のペッテリ・コポネンを揃え、スリーポインからの正確無比な得点で相手守備を悩ませる。

男子ラグビー7人制「セブンズ」情報

<日本代表の参加辞退が決定、中国や香港代表にとってはライバル不在の大会となった>

 日本ラグビー協会は9月20日、7人制ラグビー大会「セブンズ」シリーズ第2戦「上海セブンズ」への男子日本代表の遠征を中止したことを発表した。派遣中止の理由は日中間の尖閣問題による治安懸念によるものとされている。アジアの強豪である日本、そしてカザフスタンも同様の理由から出場を辞退したが、主催のアジア・ラグビー協会は日本側の決定を尊重すると発表した。
 来年にモスクワ(ロシア)で開催されるワールドカップへの出場枠“3つ”にも影響する今大会だったが、シリーズ第3戦の「ムンバイセブンズ」、第4戦の「シンガポールセブンズ」を前に、ラグビー協会が選手らの安全を優先した結果だ。またその他のスポーツでは、自転車ロードレースの日本チームが中国主催の大会から撤退、卓球女子の石川佳純も中国で行なわれる女子ワールドカップ(W杯)への出場を断念している。


ローラーホッケー: スペインが欧州7連覇を達成


<サッカーが人気の国ではなかなかの人気を誇るローラーホッケー。アルゼンチン、ブラジル、イタリアなどでも人気だ>

 ローラーホッケーの欧州選手権の決勝が9月16日に行なわれ、スペイン代表がホスト国ポルトガルを接戦の末に5-4で下し優勝を果たした。イタリア、フランス、ドイツ、スイス、イギリスを含む7カ国が参加した同大会だが、スペインとポルトガルは圧倒的な実力で無敗のまま決勝戦へと勝ちあがった。


 白熱の決勝戦は、ポルトガルの素早いカウンターと手堅い守備に最後まで苦しめられたスペインが、試合終盤の3分で奇跡の逆転劇を演じてみせた。これでスペインは、世界選手権4連覇に続き欧州選手権7連覇の快挙を達成した。またスペイン代表にとっては、ポルトガルを敵地で破るのは実に27年ぶりという嬉しい結果となった。

 “リンクホッケー”とも呼ばれるこの競技は、フットサルやバスケットを組み合わせた内容に近く、欧州では盛んにプレーされている。サッカーが人気の国では傾向としてローラーホッケーの比較的知名度が高い。スペインではプロクラブも存在しており、機会があれば試合などをご覧になっていただきたい。

女子サッカー: UEFA 欧州選手権2013情報

 UEFA欧州選手権2013・女子大会(ユーロ2013)への出場枠残り「3つ」をかけたプレーオフの組み合わせが、21日の抽選により明らかになった。10月第2週目と第4週目に行なわれる注目のプレーオフは以下の通り。

*スコットランドvsスペイン
*ウクライナvsアイスランド
*オーストリアvsロシア