ヨーロッパ・ニュース Vol.201
2013/02/19
● 女子バレー: 木村沙織のワクフバンクが欧州CLファイナル4進出
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バレーボールの欧州チャンピオンズリーグ(CL)は男女ともにプレーオフ6ラウンドの第2戦が行われ、女子では日本代表のエース木村沙織が所属するワクフバンク(トルコ)がエジザージュバッシュ・ヴィトラとのイスタンブール・ダービーを制し、大会最後のステージとなるファイナル4進出を決めた。初戦を3-1で勝利したワクフバンクは第2戦も同じスコアで2連勝したが、木村はこの試合も途中出場にとどまった。今季の女子CLファイナル4は3月9日からイスタンブールで行われるが、トーナメント方式となるファイナル4の初戦でワクフバンクはガラタサライと戦うことになり、イスタンブール・ダービーが再び実現する。そのガラタサライには日本代表の佐野優子がおり、日本人対決が見られるかもしれない。また、その他の試合では、アゼルバイジャンのラビタ・バクーが、ロシアのエース、ガモアを擁するディナモ・カザン(ロシア)に2連勝したほか、第1戦を制したイタリアのブスト・アルジジオは、第2戦でアゼライル・バクーにストレートで敗れたものの、1勝1敗の場合に行われるゴールデンセットで勝利してファイナル4入りした。
<女子CLプレーオフ6ラウンド結果> ※(G)はゴールデンセット
ディナモ・カザン(ロシア) 1-3 1-3 ラビタ・バクー(アゼルバイジャン)
ワクフバンク(トルコ) 3-1 3-1 エジザージュバッシュ(トルコ)
アルジジオ(イタリア) 3-2 (G)0-3 アゼライル・バクー(アゼルバイジャン)
<ファイナル4準決勝>
ガラタサライ vs ワクフバンク ラビタ・バクー vs アルジジオ
● 男子バレー: トルコのイズミールは2年連続CLファイナル4入りを逃す
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男子バレーボールの欧州チャンピオンズリーグ(CL)のプレーオフ6ラウンド第2戦が行われ、トルコのイズミールはポーランドのザクサ・ケンジェジン・コジレ(ポーランド)に敗れ、2年連続となるファイナル4出場を逃した。一方、勝ったザクサは10年ぶりにファイナル4に返り咲いた。また、同国対決となったゼニト・カザン対ディナモ・モスクワ(ロシア)では、ゼニトが2試合を通じて1セットも落とさずに快勝。対照的に、同じくイタリア対決となったルーベ・バンカ・マチェラッティ対ブレ・バンカ・クエノは混戦となったが、初戦を落としたブレ・バンカ・クエノが2戦目はフルセットの末勝ち、その後のゴールデンセットも制してファイナル4への切符を手に入れた。この結果、3月16日にロシアのノヴォシビルスクで行われるファイナル4の準決勝はブレ・バンカ・クエノ対ザクサ・ケンジェジン・コジレ、ゼニト・カザン対ロコモティフ・ノヴォシビルスクに決まった。
<男子CLプレーオフ6ラウンド結果>
ゼニト・カザン(ロシア) 3-0 3-0 ディナモ・モスクワ(ロシア)
ザクサ・ケンジェジン・コジレ(ポーランド) 3-2 3-1 イズミール(トルコ)
ルーベ・バンカ・マチェラッティ(イタリア) 3-0 2-3(G) ブレ・バンカ・クエノ(イタリア)
<ファイナル4準決勝>
ブレ・バンカ・クエノ(イタリア) vs ザクサ・ケンジェジン・コジレ(ポーランド)
ゼニト・カザン(ロシア) vs ロコモティフ・ノヴォシビルスク(ロシア)
● 男子ハンドボール: 欧州CLグループリーグ、フランス王者モンペリエは4位争い
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男子ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグは第9節が終了し、最終節を残すのみとなった。
グループリーグの上位4チームが決勝トーナメントのベスト16ラウンドに勝ち進むが、1試合を残した時点で、多くのチームがベスト16ラウンド入りを確定している。
グループAでは、ハンブルク、フレンスブルクのドイツ勢2強とロシアのチェクホフスキー・メディベディの3チームの勝ち抜けがすでに確定しているが、ここまで5位とベスト16ラウンド進出圏外にいたフランス王者モンペリエが今節チェクホフキーと30-30で引き分け、4位につけていたレアル・アデマール・レオン(スペイン)がフレンスブルクに敗れたため、両者の順位が逆転した。だが、両者の勝ち点差はわずか1ポイントで、最後の1枠は最終節までもつれ込むことになった。一方、グループBは、早々と首位突破を決めているベスプレム(ハンガリー)がTHKキール(ドイツ)に敗れて今大会初黒星を喫したものの大勢に影響はなく、ベスプレム、THWキール、アトレティコ・マドリード(スペイン)の順で決勝トーナメント進出が確定した。またグループCでは、ヴィヴェ・タルジ・キルツェ(ポーランド)、HCメタルグ(マケドニア)、ゴレニエ・ベレニエ(スロベニア)、シルケボー(デンマーク)の4チームのベスト16ラウンド入りが決まり、グループDでもバルセロナ(スペイン)、フクス・ベルリン(ドイツ)、ディナモ・ミンスク(ベラルーシ)の3チームの勝ち抜けが確定している。
● 女子ハンドボール: 欧州CLグループリーグ、ハンガリー勢が3連勝
女子ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグ(CL)はグループリーグの第3節が行われ、グループ1でギョーリETO(ハンガリー)がラルビック(ノルウェー)を24-18で下し開幕3連勝を飾った一方、グループ2でも同じくハンガリーのFTCレール・カーゴ・ウングリアがRKクリム・メルカトール(スロベニア)に30-26で勝利して同じく3連勝とし、ともにハンガリーのチームが首位に立った。一方、昨シーズンの王者ブドゥクノースト(モンテネグロ)はランダーズHK(デンマーク)との接戦を24-22で制し、今大会ようやく初勝利を挙げた。
● 男子ハンドボール: ブンデスリーガの古豪クラブが揃って降格の危機
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ハンドボールの世界最高峰と言われるドイツのブンデスリーガで今季、ちょっとした異変が起きている。といっても上位陣の話ではない。
トゥッセム・エッセン(18位=最下位)、TVグロースバルシュタット(17位)、Vflグンマースバッハ(16位)という古豪が揃って2部への降格圏内に低迷しているのだ。 (16、17、18位が2部降格)最下位のエッセンについては、さほど驚きには値しないかもしれない。同クラブは今シーズン2部から昇格してきたが、2005-2006シーズンには財政難から3部に降格したこともある。クラブの年間予算も約2億円強とブンデスリーガでは2番目に少ない。同クラブは、かつてブンデスリーガのタイトルを3回、ドイツカップ2回、カップウイナーズカップ1回、EHFカップ1回獲得。1988年にはヨーロッパカップ(現チャンピオンズリーグ)で準優勝を果たしたこともある古豪だが、近年はかつての栄光は見る影もない。むしろサプライズと言えるのは、グロースバルシュタット、グンマースバッハの2チームの低迷だろう。グロースバルシュタットは現在もブンデスリーガの主要クラブのひとつで、今季の予算も4億円強と豊富な上、戦力も揃っている名門クラブだ。1989年のドイツカップ優勝を最後に主要タイトルからは遠ざかっているものの、過去にはヨーロッパカップ2回、ブンデスリーガ6回優勝の実績を持つ。とりわけ、70年、80年代にはドイツを代表するクラブとして多くの名選手が在籍し、2部降格とは無縁のチームであった。一方、1861年に創設されたグンマークバッハはドイツ最古のハンドボールチームのひとつだが、今季は4億6千万円の予算を組み、シーズン当初は来季のヨーロッパ大会への出場権獲得を目指していた。だが、チームは思うように機能せず、シーズン後半に入った現時点では目標を1部残留に変えざるを得ない状況で、サポーターを大いに失望させている。とはいえ、欧州でのグンマースバッハの知名度は極めて高く、ヨーロッパカップ5回優勝はドイツ最多であると同時に、欧州全体でもスペインのバルセロナに次ぐ2位という偉業だ。近年でこそ、THWキール、ハンブルク、フレンスブルクといった新興クラブの台頭で存在感を失っているが、1960年代から1980年代まではドイツを代表するクラブであったことは事実であり、こうした古豪の凋落を見るにつけ、古くからのブンデスリーガファンはため息をつくしかない。とはいえ、ブンデスリーガはまだ多くの試合が残されており、残留の可能性は十分にある。
<<不定期コラム>>
小堺めぐみのスペイン女子サッカー考察 (第1回)
今号より不定期で、スペインの女子3部リーグで現役選手として活躍する小堺めぐみさんのコラムを掲載します。
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皆さん初めまして。私は現在、スペイン女子3部リーグのCE.エウロパでプレーしている小堺めぐみと言います。慶応義塾大学卒業後にバルセロナに渡り、今季が2シーズン目になります。チームは昨シーズン、2部から3部へ降格してしまいましたが、現在は2部への復帰を目標に日々取り組んでおり、おかげさまで今はリーグ首位を走っています。これから、選手の視点でスペインの女子サッカーの現状について紹介させていただきたいと思います。
<スペイン女子トップリーグの構成について>
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まずは、スペイン女子リーグの構成についてお話ししたいと思います。
スペイン女子トップリーグは、スペインサッカー協会(RFEF)の直轄組織であり、スペイン全土で2部の構成となっています。最高峰の1部にあたるのがスーペルリーガと呼ばれるトップリーグで、男子サッカーのリーガ・エスパニョーラでもおなじみのバルセロナやエスパニョールをはじめとする16チームで構成されています。その下には2部にあたるリーガ・ナシオナルがあります。リーガ・ナシオナルは地域別で9グループに分かれており、それぞれが14チームで構成されています。スーペルリーガでは外国人枠は2名までと定められてますが、リーガ・ナシオナルには外国人枠と言うのはありません。
さらにリーガ・ナシオナルの下には地域リーグがありますが、バルセロナのあるカタルーニャ州の場合、プリフェレンテ(3部リーグ相当=16チーム)、カタルーニャ1部リーグ(4部相当=16チーム×3グループ)、カタルーニャ2部リーグ (5部相当=14チーム×8グループ)という順になっています。日本の女子リーグもスペイン同様、日本サッカー協会の組織下にあり、1部のなでしこリーグ(10チーム)と2部のチャレンジリーグ(2013年度から16チーム)から成り立っています。さらにその下には地域リーグ、都道府県リーグと続いていて、チーム数の違いこそあれ、両国の女子サッカーリーグの構成は似ていると言えるでしょう
<1部リーグでプレーする日本人選手>
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さて、ここで現在スペインの最高峰であるスーペルリーガでプレーしている2人の日本人選手をご紹介したいと思います。ひとりは、バルセロナにあるレバンテ・ラス・プラナスに所属する櫻林亜佐子選手。もうひとりは、マドリードにあるアトレティコ・マドリードに所属する岩倉三恵選手です。
櫻林選手は2010〜2011シーズン、2011〜2012シーズンは私のいるCE.エウロパでプレーしていましたが、2部で優秀選手に選ばれる活躍をして、今シーズンからはスーペルリーガでプレーしています。また、岩倉選手は昨年、浦和レッズからアトレティコ・マドリーへ移籍しました。2人ともまだなでしこメンバーの経験はありませんが、海外での経験を生かして、近い将来はぜひなでしこ入りを実現してほしいです。
<スペインのトップリーグの実力は?>
男子サッカーでは、バルセロナやレアル・マドリーを擁するスペインのリーガ・エスパニョーラは世界トップレベルと言われますが、女子サッカーでは状況がやや異なります。欧州の大会では、ドイツ、フランス、スウェーデン、イングランドといった国のクラブチームが強く、スペイン勢は苦戦しています。実際、ここ10年の女子欧州CLの優勝チームを見てみると、ドイツ勢が5回、スウェーデン、フランス勢がともに2回、イングランド勢が1回で、スペイン勢は0です。スペインからは今季、FCバルセロナ女子が出場しましたが、イングランドのアーセナル・レディースにホーム&アウェーで0-7と完敗し、ベスト32止まりに終わりました。過去の戦績でも、ラジョ・バジェカーノが2年連続でベスト16に進んだのが最高戦績で、残念ながら欧州でトップレベルのリーグとは言えません。一方、ナショナルチームのレベルですが、現在スペイン代表チームのFIFAランキングは18位で、こちらもFIFAランキング1位の男子とは異なっています。代表メンバーの大半はスーペルリーガでプレーしていますが、欧州の壁は厚く、過去のW杯、五輪ではすべて予選敗退に終わっています。女子ユーロ(欧州選手権)でも、これまでは唯一1997年にベスト4に入った他はいずれも予選で敗退していますが、今年7月にスウェーデンで開催される女子ユーロ予選では、最後の出場枠を争うプレーオフでスコットランドに勝利し、悲願のユーロ出場権を獲得しました。本大会ではフランス、イングランド、ロシアと対決しますが、ここで結果を残せるかどうか注目したいと思っています。
スペインの女子サッカーの概要についてだいたいお分かりいただけましたでしょうか。別の機会があれば、また書かさせていただけたらと思います。スペインの女子サッカーについての質問やご要望、アドバイスは大歓迎ですので、皆さんのご意見をいただけたらと思います。