ヨーロッパニュース一覧

2013-2-26

ヨーロッパ・ニュース Vol.202

2013/02/26


ラグビー: シックスネーションズ第3節、イングランドが3連勝、フランスは3連敗

<イングランドはフランスを圧倒>

 ラグビーのシックスネーションズ(6か国対抗戦)は第3節が行われ、トゥイッケナムにフランスを迎えたイングランドが23―13で勝利し、開幕3連勝を飾った。一方、戦前は優勝候補筆頭と言われていたフランスは3連敗となり最下位から脱出できず、これで優勝の可能性は完全に消滅した。
 その他、ウェールズは26-9でイタリアを下し、2勝1敗の2位でイングランドを追   っている。また、スコットランドもアイルランドに12-8で競り勝ち、2勝1敗の3位に浮上した。宿敵フランスを破りグランドスラムに一歩近づいたイングランドの次の相手はイタリア。これに勝てば全勝優勝に王手がかかるが、最終戦でウェールズとの一戦が残っており、この試合が優勝決定戦になる可能性もある。



ラグビー: 女子シックスネーションズ、常勝イングランドが大苦戦

<常勝イングランドが苦戦>

 男子と並行して女子のシックスネーションズが行われているのをご存じだろうか。男子と同じイングランド、ウェールズ、アイルランド、スコットランド、フランス、イタリアの6か国が総当たり戦で行うようになってから今年で12回目を迎える同大会だが、過去11回の大会ではイングランドが8度の優勝(うちグランドスラム7回)、3度の準優勝を果たしており、圧倒的な強さを誇る。だが、今年はそのイングランドが苦戦している。初戦こそスコットランドを76-0で下し貫録を見せたものの、第2節ではアイルランドに0-25で完封負け。第3節もフランスに20-30で敗れ、予想外の2連敗で4位に沈んでいる。代わって首位に立つのは3連勝のアイルランド。これに1敗のフランスが続いている。残り2節となりイングランドの優勝は難しくなったが、アイルランドが優勝すれば大会初タイトルとなり、欧州の女子ラグビーの歴史に新たなページが刻まれることになる。



男子ハンドボール: 欧州CL最終節、モンペリエが初のグループラウンド敗退

 男子ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグ(CL)はグループラウンド最終節が行われ、トップ16に進出する全チームが出そろった。前節で主要な強豪チームのほとんどがトップ16入りを決めた中、当確ギリギリのグループA4位につけていたフランス王者モンペリエがHSVハンブルク(ドイツ)に33-35で敗退し、最終戦でパルチザン(セルビア)を28-23で下したアデマール・レオン(スペイン)に逆転されて5位に転落、CLに参戦して以来初となるグループリーグ敗退が決まった。
 トップ16に残ったチームを国別に分類すると、ドイツが最多4チーム、続いてスペインが3チーム、ハンガリーが2チーム、スロベニアが2チーム、ベラルーシ、デンマーク、マケドニア、ポーランド、ロシアが.それぞれ1チームとなっている。ドイツ、スペイン勢の躍進は予想通りだが、先の欧州選手権で4位に入ったスロベニアから2チームが残り、反対にフランス勢が全て姿を消したのは予想外の結果と言えるだろう。



欧州を席巻する複合スポーツクラブ、FCバルセロナ

 日本でFCバルセロナというと、メッシやシャビ、イニエスタといった世界的なプレーヤーを揃え、華麗なパスワークと圧倒的な強さで、ここ数年、欧州はもとより世界の頂点に君臨しているサッカーチームを思い浮かべる人がほとんどだろう。だが、FCバルセロナは男子サッカー以外にも多くのスポーツ部門を擁する巨大複合スポーツクラブである。FCバルセロナには、男子サッカー、男子ハンドボール、男子バスケットボール、男子フットサル、男子インドアホッケーという5つのプロスポーツ部門があるが、現在、全てのプロスポーツ部門が、スペインはもとより欧州のトップクラスにあり、大きな成功を収めている。


<バルサのアイスホッケーチーム>

 さらにFCバルセロナには、アマチュア部門として、女子サッカー、女子バスケット、陸上(男女)、 アイスホッケー、ホッケー(男女)、フィギュアスケート、バレーボール(男女)、ラグビー、ビーチサッカー、車椅子バスケットのチームもあり、多種多様なスポーツ活動が行われている。現在は廃止されたものの、以前はアメリカンフットボールや野球のチームもあった。いずれのスポーツもトップチームだけでなく、強化のための年代別育成部門(カンテラ)を備えおり、トップチームにカンテラ出身の選手たちが多いのも特徴のひとつだ。

 とりわけ、FCバルセロナのプロスポーツ部門のここ数年の躍進は目覚ましく、国内、欧州の大会で多くのタイトルを獲得している。男子サッカーは言うまでもないが、2010年からリーグ戦2連覇中の男子ハンドボールチームの躍進も全くひけをとらない。今季もすでにスペイン・スーパーカップ、リーグ杯を制しているバルセロナのハンドボールチームだが、リーグ戦ではここまで無傷の19戦全勝と圧倒的な強さを見せ、2位に5ポイント差をつけて首位を独走している。さらに、欧州チャンピオンズリーグでもグループラウンドを首位で突破し、2年ぶりの優勝が射程に入ってきた。また、同じくリーグ3連覇を目指す男子バスケットもハイレベルだ。リーグのレギュラーシーズンでは現在3位ながら、ユーロリーグのトップ16ラウンドでは7勝1敗でグループ首位に立っており、2年ぶりの欧州制覇を目指す。ハンドボール、バスケットと比べると人気面では劣るものの、FCバルセロナのプロスポーツ史上、最も偉大な実績を誇っているのがインドアホッケーだ。国内トップリーグのチームのほとんどがカタルーニャ州に集中しているという特殊性はあるが、1973年にリーグ戦が発足して以来、優勝24回という前人未到の大記録を更新し続けているFCバルセロナは、現在もなおリーグ12連覇中と敵なしの状態で、欧州最高タイトルである欧州カップも過去19回優勝と群を抜いている。そして、近年のバルセロナで最も成長著しい新興スポーツがフットサルだ。1976年にアマチュアチームとして発足したFCバルセロナのフットサルチームだが当時はまだ公式の全国リーグはなく、主にサッカーチームのOB選手が親善試合などでプレーする場として活用される程度だった。そのためか、1983年にはクラブの理事会で廃部が決まる。しかし、その3年後にチームは復活し、1989年に発足した全国リーグに参戦することになった。しかし、ここからの道のりが長かった。クラブはフットサルチームに多くの予算を割くことなく、トップリーグでの優勝が一度もないまま2度の2部落ちを経験するなど、苦しい時代が続いた。そんなチームに転機が訪れたのは、2005-2006シーズンに2度目のトップリーグ昇格を決めてからだった。FCバルセロナは2007-2008シーズンにシーズンを6位で終えプレーオフ出場権を得ると、強豪チームを退けてトーナメントを勝ち上がり、ついに念願の初優勝を成し遂げる。これを機にジョアン・ラポルタ前会長はチームのプロ化を決め、ここから多額の補強費をつぎ込んで有望選手を獲得していくと、その後急速に力をつけ、スペイン、欧州のトップクラブの一員となる。2010年からはリーグ戦、スペイン国王杯ともに2連覇を達成し、先日のスペイン杯では3連覇を達成。昨シーズンはUEFA杯も制し、今や国内外ともに向かうところ敵なしの状態にある。

 バルセロナのプロスポーツの強さのひとつは財政面にある。男子サッカーの莫大な収益の配分を受けられるうえ、“バルサブランド”の効果とその強さゆえ、それぞれのスポーツ部門が異なるメインスポンサーを持ち、男子サッカー、インドアホッケー以外は、いずれもチーム名にスポンサー名がついている。(ハンドボール=FCバルセロナ・インテルスポルト、バスケット=FCバルセロナ・リーガル、フットサル=FCバルセロナ・アルスポルト)このような豊富な財政基盤を持つゆえ、補強面で他のクラブより恵まれた環境にあることは事実だ。だが、他のチームから選手を買い集めるだけではないところがバルセロナの本当の強さの秘訣だ。このクラブには下からの一貫した育成システムがあり、選手たちは幼少期からトップチームと同じ方針の下、指導を受ける。団体競技では、長く一緒にプレーしている気心知れた選手たちが多いこともチームワークに直結してくる。欧州にはバルセロナ以外にも複合スポーツクラブとして異なる競技で結果を出しているクラブがあるが、所有するプロチームすべてが欧州のトップクラスにあるクラブはおそらくないだろう。その意味で、FCバルセロナというクラブは、世界中の複合スポーツクラブの手本となる存在なのだ。

フットサル: FCバルセロナがスペイン杯3連覇を達成

 スペインリーグ上半期の上位8チームによるトーナメントスペイン杯は24日に決勝戦が行われ、FCバルセロナ・アルスポルトがエル・ポソ・ムルシアを4-2で下し、同大会3連覇を達成した。バルセロナは、準々決勝でウマコン・サラゴサを7-2で一蹴すると、準決勝でもサンチアゴ・フットサルに5―2で快勝。決勝でもMVPに選ばれたトーラスのハットトリックで貫録勝ちを収め、ここ3シーズンで8つ目となるタイトルを手にした。スペインでは長らくエル・ポソ・ムルシアとインテル・モビスターの2強時代が続いたが、今やバルセロナの1強時代が到来したと言える。