ヨーロッパニュース一覧

2013-3-12

ヨーロッパ・ニュース Vol.204

2013/03/12


ラグビー: シックスネーションズ第4節、イングランドがグランドスラムに王手

<最終節にグランドスラムがかかる>

 ラグビーのシックスネーションズ(6か国対抗戦)は第4節が行われ、イングランドがイタリアを18-11で振り切って4連勝とし、グランドスラムでの全勝優勝に王手をかけた。
 前半を12-3と有利に折り返したイングランドだったが、今大会のダークホースともいえるイタリアが後半に入り反撃を開始。48分にはマクリーンのトライで15-11まで差を詰めるが、その後は守備を固めたイングランドが得点を許さず、最後は18-11で逃げ切った。
 残り1節となり、全勝で首位を走るイングランドだが、優勝の行方はまだわからない。というのも、 16日に行われる最終節で、昨年のグランドスラム覇者ウェールズとの対戦が待ち構えているからだ。3勝1敗で2位につけているウェールズは、最終戦を母国カーディフのミレ二ウムスタジアムで戦えるアドバンテージがある。この試合でイングランドに8ポイント差(トライ数によっては7ポイント差)で勝利すればウェールズの逆転優勝となるだけに、イングランドが2003年以来のグランドスラムで優勝を果たせるかどうか、すべては最終戦にかかっている。
 一方、ここまで3連敗のフランスは今節こそアイルランドと13―13でかろうじて引き分けたものの依然として最下位から抜け出せず、最終節のスコットランド戦次第では、史上初の対抗戦最下位という不名誉な記録を刻むことになる。

<シックスネーションズ第4節結果>

スコットランド 18-28 ウェールズ

アイルランド  13-13 フランス

イングランド  18-11 イタリア

<暫定順位>  ※( )は勝ち点

1.イングランド(8) 2.ウェールズ(6) 3.スコットランド(4) 4.アイルランド(3) 5.イタリア(2) 6.フランス(1)



女子バレー: 木村沙織のワクフバンクが欧州女王に

<完全優勝を果たしたワクフバンク>
<大会最優秀レシーバーに輝いた佐野=中央>

 バレーボールの女子欧州チャンピオンズリーグ(CL)ファイナル4は10日にイスタンブールで決勝戦が行われ、全日本の木村沙織が所属するトルコのワクフバンク・イスタンブールがアゼルバイジャンのラビタ・バクーを3-0(25-17、25-20、25-23)のストレートで下して通算2度目の女子CLタイトルを獲得した。前日の準決勝で佐野優子が所属するガラタサライ・イスタンブールとのダービーマッチをストレートで制したワクフバンクは、決勝戦でも14ポイントを決めてMVPに選ばれたブラコチェビッチらの活躍でラビタ・バクーを序盤から圧倒し、ファイナル4で1セットも落とすことなく優勝を決めた。この勝利でワクフバンクは今大会に入ってから無傷の12連勝とし、完全優勝を成し遂げた。なお、木村沙織は決勝戦で交代出場したが、ポイントは挙げられなかった。今季ここまであまり出場機会に恵まれていない木村だが、移籍1年目にして欧州女王という新たなキャリアが加わった。
 一方、チームは準決勝で敗れたものの、佐野優子は最優秀レシーバーに選出された。

<女子CLファイナル4結果>

準決勝(3/9)  

ガラタサライ・イスタンブール(トルコ) 0-3 ワクフバンク・イスタンブール(トルコ)

ラビタ・バクー(アゼルバイジャン)   3-2 ウネンド・ヤマミ・ブスト(イタリア)

決勝(3/10)

ワクフバンク・イスタンブール  3-0 ラビタ・バクー

3位決定戦(3/10)

ウネンド・ヤマミ・ブスト 3-2 ガラタサライ・イスタンブール

最終順位: 1.ワクフバンク 2.ラビタ・バクー 3.ブスト 4.ガラタサライ



男子ハンドボール: スペインリーグASOBAL、バルセロナが無傷の21連勝

 スペインの男子プロハンドボールリーグASOBALは第21節が行われ、バルセロナ・インテルスポルトがアランダ・アウトカーレス・バジョを31-27で下し、今季リーグ戦の連勝を21に伸ばした。また、そのバルセロナを追う2位のアトレティコ・マドリーもフェルティベリア・プエルト・サグントを33-20で一蹴し、首位との勝ち点5ポイント差を維持した。一方、後半戦全勝と好調の3位レアレ・アデマール・レオンは下位のCNGを23-20で下したが、同じく後半戦無敗を続けていたフランクリン・グラノジェールスはホームでウエスカに1点差で敗れた。



野球WBC: 大健闘の欧州勢、頼りは外国人選手

 3月2日から始まった野球のWBCはグループラウンド終了し現在2次ラウンドが行われているが、ここまで欧州勢の健闘が光っている。オランダ領キュラソー島出身選手を中心にメジャーリーガー、日本プロ野球リーグ経験者でチームを構成する欧州最強のオランダは、プロリーグを持つアジアの強豪、韓国、台湾と同じグループBに入った。しかしオランダは、グループラウンドの初戦で韓国に5-0で完勝すると、続く台湾には敗れたものの、オーストラリアに勝ち2勝1敗で第2ラウンド進出を決めると、第2ラウンドではいきなり初戦で優勝候補のキューバを6-2で破る金星を挙げる。続く日本戦では大敗を喫したものの、再びあたったキューバとの試合では接戦の末、9回サヨナラ勝ちを収め、アメリカで行われる準決勝進出を決めた。また、欧州2位のイタリアも健闘している。北中米勢がひしめくグループDでメキシコ、カナダを下し、アメリカには敗れたものの2勝1敗で2次ラウンドへ。2次ラウンドの初戦ではドミニカ共和国と対戦する。一方、予選ラウンドを勝ち抜き本大会への切符を手にしたスペインだが、グループCでプエルトリコ、ドミニカ共和国、ベネズエラと対戦。善戦したものの3連敗でグループラウンド敗退が決まった。
 スペインは、欧州の中ではオランダ、イタリアに次ぐ野球強国であり、国内にはアマチュアリーグもある。しかし、国内で圧倒的人気を誇るのはサッカーやバスケットといったプロスポーツで、野球は完全にその陰に隠れている。一般のスペイン人にいたっては野球をやったことも見たこともない人がほとんどという状況で、国内での認知度はきわめて低い。ゆえに、今回のWBCについてもほとんど国内メディアでは報道されることはない。そもそも、代表選手のほとんどがキューバ、ベネズエラ、プエルトリコから移民してきた帰化選手で、純粋なスペイン人選手は28人中3人しかいないことから、“中南米選抜チーム”と揶揄されており、国の代表として感情移入が難しい面もある。これは何もスペインに限ったことではなく、快進撃を続けるオランダも主力選手の多くが中米の外国人帰化選手、イタリアの場合はイタリア系アメリカ人選手で占められている。欧州ではマイナースポーツの野球ゆえ、二重国籍を持つ外国人帰化選手によってナショナルチームを強化し、WBCのような国際大会で好成績を収めることで国民の注目を集めるのもひとつの手段ではある。だが、このことが本当に野球の普及につながると言えるかどうかは疑問だ。とはいえ、この傾向は何も野球だけに見られることではない。スポーツ界はそろそろ、ナショナルチームの意味を考え直す時期に来ているのではないだろうか。

スペイン3部リーグに月収5万円の“格安監督”が誕生

<スペイン3部の格安監督は結果を残せるか>

 サッカー世界最高峰のリーグのひとつであるリーガ・エスパニョーラを持つスペインだが、国内のクラブが直面する財政危機は深刻のようだ。
 現在セグンダB(3部)に所属するUDサラマンカは、かつてはリーガ1部に在籍していたこともあり、元ポルトガル代表のパウレタも在籍していたことがあるスペインの中堅クラブだ。
 このUDサラマンカに1週間前、月収400ユーロ(約50000円)という“格安”監督が誕生した。成績不振を理由に解雇されたゴルカ・エチェベリア前監督の後任として、クラブは下部チームの監督だったホセ・マリア・エルナンデス氏を新監督に任命したが、トップチームの監督に昇格しても下部チーム監督時代の給与400ユ-ロは据え置きだという。クラブは、チームがセグンダA昇格のためのプレーオフに進出した場合、5000ユーロ(約62万5千円)のボーナスを約束。昇格を決めた場合はさらに10000ユーロ(約125万円)のボーナスを上乗せし、来シーズンの監督として契約を継続するという条件で合意したという。とはいえ、この条件提示にはサラマンカのサポーターも驚きを隠せない。というのもこの給与はセグンダBの監督として最低額であるのは言うに及ばず、同クラブのトップチームの選手平均給与(2000ユーロ)をも大きく下回るだけでなく、最も給与が低い選手(800ユーロ)の半分にも満たないからだ。ちなみに前任者のエチェベリア氏は、2人のテクニカルスタッフの分もあわせて年棒50000ユーロ(約625万円)の条件で契約しており、本人分だけでも月収は3000ユーロ(約37万5千円)程度だったという。もっとも、エルナンデス監督はこうした条件を全て事前に受け入れたうえで監督を引き受けており、会見でも「契約交渉はすべて代理人に任せている。チームがもしプレーオフに進出し、昇格すればボーナスが手に入るし、クラブとしても元が取れるはずだ」と述べ、新たなチャレンジに意欲を見せている。