ヨーロッパニュース一覧

2013-3-26

ヨーロッパ・ニュース Vol.206

2013/03/26


2012年オリンピック開催地: IOCのマドリード視察を総括

<ユニフォームをプレゼントとされ笑顔のリーディ委員長>

 2020年オリンピック・パラリンピック開催候補地の視察に出ているIOC評価委員会は、3月18日から4日間にわたるマドリードでの視察を終えた。

 自治州政府、市、スペイン政府、王室が一体となって誘致活動を進めるマドリードは、マリアーノ・ラホイ首相、フェリペ皇太子らがIOC評価メンバーを 迎え、連続3度目の挑戦となるマドリード開催を積極的にアピールした。マドリードは、オリンピックで利用される施設の80%がすでに完成していること、選手村と競技場との距離が近いことなどを売りとしており、評価委員も、複数の競技場、施設、地下鉄などを重点的に視察した。人気サッカークラブであるレアル・マドリーのホームスタジアムでもあるサンチャゴ・ベルナベウでは、レアル・マドリード、スペイン代表で主将を務めるイケル・カシージャスが委員たちを出迎え、自らスタジアムを案内。委員たちはカシージャスとのPK対決を楽しんだり、レアル・マドリードの名前入りユニフォームをプレゼントされ、ご満悦だった。

 4日間の視察を終え最終日に会見を行ったIOCのグレイグ・リーディ委員長はマドリードでの視察について、「非常に感銘を受けた」と総括。最大の懸念材料と言われるスペインの経済危機についても、「ここ2、3年で解消されるだろう」、「経済危機はオリンピック開催の障害とはならない」との見方を示した。同委員長はまた、マドリードオリンピック誘致委員会のプレゼンについて、「非常によく準備されたプロフェッショナルなものだった」と高く評価。首相、王妃、皇太子らによる歓迎にも、「国としての熱意を感じた」と感銘を受けた様子だった。また、「ロンドンオリンピックで我々の会長(ロゲIOC会長)は、『選手が極力、移動の負担なく競技に専念できる環境が望まれる』と言っていたが、その点でマドリードにはポジティブなイメージを受けた」とコメントし、選手村から各競技場までの距離が短い利点について改めて評価した。同委員長はスペイン国民の80%近くがオリンピック開催に賛成しているとの調査結果にも触れ、「過去2度ダメだったとしても3度目の正直というのはありうる。国民がオリンピック開催を高く支持していることは重要」と、マドリードにも十分に開催のチャンスがあることを示唆した。

 深刻な経済危機、安全面でのマイナスイメージから、イスタンブール、東京の後塵を拝しているとの見方をされるマドリードだが、すでにある施設を利用することで設備投資を大幅に抑えられること、国内唯一のテロ組織であるETA(バスク祖国と自由)が2010年に完全休戦を宣言して以来、安全面での不安も払しょくされたと見ている。スペインオリンピック招致委員会や自治体らの関係者は、いずれも今回のIOC視察に手ごたえを感じたようで、現地では楽観的な見通しもある。スペインがIOCのメンバーに3名を送りこんでいるという点もアドバンテージと言える。

 とはいえ、東京、イスタンブールのオリンピック招致関係者は、マドリードが依然、3都市の中で最も不利であるとの見方を変えていない。確かに経済危機による金融機関、企業の破たん、高い失業率、政治家の汚職問題と、スペインの政治、経済は極めて不安定な状態にあり、今後の先行きは不透明だ。毎週のようにデモやストが行われ、オリンピックよりも日々の生活に資金を使うべきとの声も多い中、80%という高い支持率には疑問符がつく。

 なお、マドリード視察を終えたIOC評価委員は24日から最後の開催候補地であるイスタンブールの視察に入った。2020年のオリンピック開催地は、7月にローザンヌで行われる各都市による最終プレゼンを経て、9月7にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれるIOC総会で決定される。



女子バスケ: 女子ユーロリーグ優勝はエカテリンブルク

<地元での優勝を祝うエカテリンブルクの選手たち>

 ロシアのエカテリンブルクで行われた女子ユーロリ―グ・ファイナル8は24日に決勝戦が行われ、地元のUMMCエカテリンブルクがトルコのフェネルバフチェに82-56で快勝し、2003年以来2度目となる同大会優勝を果たした。
 2日前の準決勝でブールジュ・バスケット(フランス)を65ー57で下したエカテリンブルクは、決勝戦でも序盤からフェネルバフチェを圧倒し、大会MVPに選ばれたパーカー、グルダらの活躍で徐々に点差を広げると、最後は20点以上の大差をつけて快勝した。なお、同日に行われた3位決定戦では、ブールジュがコシツェ(ポーランド)に65-57で勝利した。




女子サッカー: 女子CL準々決勝、リヨン、アーセナルが先勝

 サッカーの女子チャンピオンズリーグ準々決勝の第1戦が行われ、昨季女王のリヨン(フランス)がホームでマルメFC(スウェーデン)を5-0で下し、準決勝進出をほぼ手中に収めた。なお、リヨンの大滝、大野は出番がなかった。また、アーセナル(イングランド)もホームでトーレス(イタリア)を3-1で下し、第2戦に向け大きなアドバンテージを得た。その他の2試合は、ボルフスブルク(ドイツ)がロシヤンスカ(ロシア)に2-1で、ジュビッシー(フランス)がヨーテボリ(スウェーデン)に1-0で勝った

女子サッカー: オリンピックを機にイングランドで女子サッカーがブームに

 イングランドで女子サッカーの人気が高まっている。きっかけになったのは昨夏のロンドンオリンピックだ。この大会で多くの国民が女子サッカーを観戦し、その魅力に気づいたのだ。こうした流れを受け、2013年に創立150周年を迎えるFA(イングランドサッカー協会)は、節目の年に女子サッカーに力を入れていく方針を打ち出した。FAの女子サッカー担当役員ケリー・シモンズ氏は同国における女子サッカー人気について次のように語っている。「今や女子サッカーはこの国最大の女子スポーツと言っていいだろう。国内の登録選手は年々増加の一途で、毎週25万人もの女子サッカー選手がプレーしているのだ。もちろん、彼女たちのお手本となっているのはイングランド女子代表チームの活躍だ。前回の女子ユーロでは準優勝し、2009年の女子ワールドカップでもベスト8入りを果たしている。今年の7月にスウェーデンで行われる女子ユーロ2013で好成績を残せれば、この人気にますます拍車がかかるだろう」

 5月23日には欧州クラブナンバーワンを決める女子チャンピオンズリーグの決勝がロンドンのスタンフォードブリッジスタジアムで行われる。シモンズ氏は、FAは今後、代表チームだけでなくリーグ、クラブレベルでの普及活動にも力を入れていくと言う。イングランドでは、2010年に女子サッカートップリーグ(WSL)が発足。男子のプレミアリーグでも知られるアーセナルやチェルシー、ニューカッスルなど当初は16チームが加入してプロリーグとしてスタートしたが、その後、経済危機の影響で8チームまで減少し、現在ではセミプロリーグという位置づけだ。それでもリーグ全体の底上げを図るため、2014年からは新たに2部リーグ(WSL-2)が創設されることが決まっている。また、WSLに加入する全てのチームは下部組織であるリザーブチームを持つことが義務付けられるなど、若手選手の育成にも力を入れている。

男子ハンド: 欧州CLトップ16ラウンド、キールとアトレティコが逆転でベスト8へ

 男子ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグはトップ16ラウンドの第2戦が行われ、第1戦を落とした昨シーズンの覇者THWキール(ドイツ)と、引き分けた昨シーズン準優勝のアトレティコ・マドリー(スペイン)が第2戦でそれぞれ勝利し、2試合合計得点で相手を上回り、逆転で準々決勝へ駒を進めた。
アウエーで行われたチェクホフスキー・メドベディ(ロシア)との初戦で35-37と敗れたキールだが、第2戦のホームゲームでは30―26と勝利し、2点のビハインドを挽回した。一方、ホームでフクセ・ベルリント引き分けたアトレティコは、第1戦同様、敵地でも息詰まるシーソーゲームを演じたが、途中出場のベテランGKオンブラードスの活躍もあり最後は27-26で逃げ切り、今季もベスト8入りを決めた。その他、今季のスペインリーグで無敗を続けるFCバルセロナ、MKBベスプレム(ハンガリー)、ドイツ勢のHSVハンブルク、フレンスブルク・ハンデビットも第1戦に続き連勝し、勝ち上がった。


<CLトップ16ラウンド結果>
ビャンブロ・シルケボー(デンマーク) 26-24 32-26 FCバルセロナ(スペイン)
アデマール・レオン(スペイン) 20-23 25-33 MKBベスプレム(ハンガリー) 
ピック・セゲド(ハンガリー) 26-25 27-32 ターギ・キエルツェ(ポーランド)
ツェリェ・ラーシュコ(スロベニア) 29-38 31-28 ハンブルク(ドイツ)
チェクホフスキー・メドベディ(ロシア) 37-35 26-30 THWキール(ドイツ)
ディナモ・ミンスク(ベラルーシ) 23-26 22-24 HCメタルルグ(マケドニア)
アトレティコ・マドリー(スペイン) 29-29 27-26 フクセ・ベルリン(ドイツ)
ゴレニエ・ベレニエ(スロベニア) 25-28 25-27 フレンスブルク(ドイツ)