ヨーロッパニュース一覧

2013-4-2

ヨーロッパ・ニュース Vol.207

2013/04/02


2020年オリンピック開催地:イスタンブールも視察に好感触、東京のライバルか

<イスラム圏初のオリンピック開催は叶うか>
<地下鉄に試乗するIOC視察団>

 2020年オリンピック開催候補地の視察を行っていたIOC評価委員会のメンバー14名は、3月24から27日までの4日間、最終訪問地となったイスタンブールに滞在した。

 今回が通算5回目のオリンピック挑戦となるイスタンブールは、“Bridge Together”(互いにに橋を架けよう)をスローガンに掲げ、アジアとヨーロッパという 東西文化の分岐点にある利点を強調。史上初のイスラム圏でのオリンピック開催に意欲を燃やす。

 視察日程を終え会見を行ったクレイグ・リーディ視察委員長は、「素晴らしい印象を受けた」と総括したが、とりわけ、ギュル大統領、エルドアン首相をはじめとする国の要人が顔をそろえ、政府の全面サポートを約束したことや、同国招致委員会の積極的なアピールに開催への強い熱意を感じたようだ。

 視察委員は、国内最大の人気を誇るサッカークラブ、ガラタサライの本拠地トルコ・テレコム・アリーナやアタトゥルク・オリンピックスタジアムなどの施設を訪問。ガラタサライの選手で世界的サッカー選手であるディディエ・ドロクバも親善大使として姿を見せ、視察団を迎え入れた。また、開業前ではあるが、市内からオリンピックスタジアム、オリンピックパークを結ぶ地下鉄にも試乗した。

 イスタンブール開催にあたって最大の懸念と見られているのが市内の交通網の整備だ。イスタンブールは、オリンピック開催に向けたインフラ整備に192億ドル(1兆8000億円)の投資を見込んでおり、49億ドル(4616億円)の東京、19億ドル(1790億円)のマドリードと比較すると突出しているが、この大部分を地下鉄や空港整備、ヨーロッパとアジアを結ぶ鉄道の新路線などに費やす予定だ。また、トルコは2023年に共和国建立100周年を迎えることから、仮にオリンピックが開催されなくとも大幅なインフラ整備の計画はほぼ実施されるという。とはいえ、オリンピックを誘致できればこの計画を前倒しできることから、官民挙げての誘致活動につながっている。この期待感は、他2都市を上回る高い支持率(市内83%、国内76%)にも表れている。同市の人口は1100万人だが、そのうち50%が25歳以下と言う“若者の町”であることも、オリンピック熱に拍車をかけているとみられる。

 経済的、政治的にも安定し、近年はスポーツでも多くの国際大会を主催しているイスタンブールだが、イスラム圏でのオリンピック開催は治安上のリスクをはらんでおり、IOCメンバーの中には抵抗感を持つ者もいるだろう。とはいえ、大風呂敷を広げ巧みな口上で物を売るトルコ商人のイメージが強いお国柄だけに、官民挙げてロビー活動を行うとなれば、あなどれない。「東西の架け橋」を売りに積極的な誘致活動を広げるイスタンブールは、2020年の開催候争いで東京の最大のライバルになるかもしれない。



男子ホッケー: ヨーロッパホッケーリーグKO16ラウンド、ファイナル4が出揃う

<準決勝進出を決めたケルン>

 男子ホッケーのユーロホッケーリーグ(EHL)のKO16ラウンドがアムステルダムで行われ、5月に行われるファイナル4に進出するチームが出揃った。

 29日に行われた16ラウンド初戦では、HCロッテルダム(オランダ)とレディング(イングランド)の注目の一戦が行われた。互角の戦いを広げた両者だが、2-2のまま後半を終了。その後の延長でも両者無得点で決着はペナルティ・シュートアウトに持ち込まれたが、最後はロッテルダム4人目のエドワーズがはずし、レディングが4-3で接戦を制した。しかし、そのレディングは準々決勝でベルギーのKHCドラゴンズに敗れ、ファイナル4入りを逃している。また、ともに初戦を勝ち上がったウーレンホルスト・ミュルハイムとロートバイス・ケルンのドイツ勢同士が準々決勝で対戦し、延長の末ケルンが3-2で勝利し、ファイナル4への切符を手にした。ケルンは、準々決勝でビーストン(イングランド)を4-1で下したブロエメンダール(オランダ)と準決勝を戦う。 また、準々決勝のもう1試合はアムステルダムがドイツ王者のベルリナーHCを3-2で下している。

<KO16ラウンド準々決勝結果>

ウーレンホルスト・ミュルハイム(ドイツ) 2-3 ロートバイス・ケルン(ドイツ)

ビーストン(イングランド) 1-4 ブロエメンダール(オランダ)

レディング(イングランド) 1-5 KHCドラゴンズ(ベルギー)

アムステルダム(オランダ)3-2 ベルリナーHC(ドイツ) 



女子サッカー: 女子CLはベスト4が出揃う

 サッカーの女子チャンピオンズリーグは準々決勝の第2戦が行われ、第1戦を制した4チームがいずれも連勝し、準決勝に駒を進めた。大野忍、大滝麻未が所属する昨季女王のリヨンは、第1戦に続きマルメFCに3-0で完勝。2試合合計8-0で堂々の準決勝進出を決めた。リヨンは準決勝で同じフランスのジュビッシー(フランス)と対戦する。この試合で大野はベンチ入りしたものの出場機会がなく、大滝はベンチ外だった。なお、準決勝のもう1試合はアーセナル(イングランド)とヴォルフスブルク(ドイツ)の対戦となった。

<女子CL準々決勝>
アーセナル(イングランド) 3-1  1-0  トーレス(イタリア)
ヴォルフスブルク(ドイツ) 2-1  2-0  ロシヤンカ(ロシア)
リヨン(フランス)     5-0  3-0  マルメ(スウェーデン)
ヨーテボリ(スウェーデン) 0-1  1-3  ジュビッシー(フランス)

女子サッカー: ブンデスリーガ女子で安藤が今季初のハットトリック

<ハットトリックを決めた安藤>

 ブンデスリーガ女子は第17節が行われ、安藤梢、熊谷沙紀が所属するフランクフルトがシンデルフィンゲンに7-0で快勝し2位に浮上、首位に立つヴォルフスブルクを追撃している。
 安藤はこの試合で今季初となるハットトリックを決め、チームの勝利に貢献した。一方、大儀見優季が所属するポツダムはバイエルン・ミュンヘンに0-2で敗れ、2位から3位へと順位を落とした。この試合ではノーゴールに終わった大儀見だが、現在まで14ゴールを挙げ、リーグの得点ランキング1位に立っている。

ラグビー: ラグビーセブンズ東京大会、 優勝は南アフリカ

<優勝した南アフリカ>

 ラグビーセブンズ東京大会は31日に決勝戦が行われ、南アフリカが総合ランキング首位のニュージーランドを24-19で下して優勝した。
 開催国枠で出場した日本はプールラウンドの初戦でカナダに勝ったものの、その後はニュージーランド、フランスに大敗し、プール最下位で順位決定ラウンドへ進んだものの、結局16チーム中14位で大会を終えた。



男子ハンド: アトレティコのマルクセンが3500万円でカタールへ移籍

<カタールへの移籍が決まったマルクセン>

 3週間後にチャンピオンズリーグのベスト8でバルセロナと対戦するアトレティコ・マドリーだが、このタイミングで、主力選手のひとりでデンマーク代表のニコライ・マルクセン(25)が30万ユーロ(約3500万円)の移籍金と引き換えにカタールのエル・ジャリシュに移籍することが決まった。マルクセンは2メートル15センチの長身左サイドで、今季はスペインリーグ12試合に出場し、54ゴールを挙げていた。
 2015年に自国で開催される世界選手権に向けて代表チームの強化を図るカタールハンドボール協会は、2015年以前よりマルクセンに目をつけており、同選手をカタール国籍に帰化させ代表チームでプレーさせる構想を持っていた。とはいえ、IHF(国際ハンドボール連盟)の規定では、代表選手の場合、国籍を変えて3年たたなければ他国の代表でプレーできないことになっており、2013年の世界選手権でデンマーク代表として出場したマルクセンが2015年大会でカタール代表として出場することはできない。