ヨーロッパニュース一覧

2013-4-30

ヨーロッパ・ニュース Vol.211

2013/04/30


ラグビー: ハイネケンカップ準決勝、クレモンとトゥーロンのフランス勢が決勝へ

<大舞台でかつての輝きを取り戻したウィルキンソン>

 ラグビーのハイネケンカップは準決勝2試合が行われ、フランスのトップリーグ・トップ14で首位を走るクレモンと2位のトゥーロンのフランス勢が共に勝ち、決勝進出を決めた。
 27日に行われた準決勝1試合目のクレモン・オーヴェルニュ(フランス)対マンスター(アイルランド)の一戦は、クレモンが前半にナラガのトライなどで13-3とリードして折り返す。後半に入りマンスターも1トライを返して追撃するが、最後までリードを守ったクレモンが16-10で逃げ切り、クラブ史上初の決勝進出を決めた。
 一方、翌28日に行われた準決勝2試合目は、サラセンズ(イングランド)のオーウェン・ファレル対トゥーロン(フランス)のジョニー・ウィルキンソンという、イングランドが誇る新旧スタンドオフ(フライハーフ)対決に大きな注目が集まった。試合はその期待を裏切らない両者による白熱したキック合戦となった。50分まではウィルキンソンが5PG、ファレルが4PGを決め、両者一歩も譲らないほぼ互角の展開だったが、その後は地力に勝るトゥーロンが優位に立つと、ウィルキンソンの2PGとドロップゴールで追加点を挙げサラセンズを引き離し、24-12で勝利した。
 33歳になったベテランのウィルキンソンだが、全盛期を彷彿させる正確なキックで、一人でチームの全得点をたたき出す活躍を見せ、トゥーロンを初の決勝進出に導いた。
 ハイネケンカップの決勝戦は5月18日にダブリンのアヴィバ・スタジアムで行われる。

<ハイネケンカップ準決勝>
4/26 クレモン・オーヴェルニュ(フランス) 16-10 マンスター(アイルランド)

男子ハンド: バルセロナが大逆転で欧州CLファイナル4入り


<大逆転でファイナル4入りを決めたバルサ>

 男子ハンドボールの欧州チャンピオンズリーグ(欧州CL)プレーオフラウンド第2戦4試合が行われ、アトレティコ・マドリー(スペイン)との初戦を20-25で落としたバルセロナ(スペイン)が32-24で勝利を収め、2試合の合計スコアで52-49とアトレティコを逆転し、2年ぶりのファイナル4入りを決めた。5点のビハインドを背負い追い詰められたバルセロナだったが、ホームのパラウ・ブラウグラナに駆けつけた6500人の観衆の声援を背に序盤から攻勢をかけ、前半終了時に早くも15-9と6点差をつけ、この時点で総合スコアでも逆転する。バルセロナは後半に入っても攻撃の手を緩めず、守ってはGKサリッチが再三の好セーブでアトレティコの攻撃を防ぎ、最後は32-24と8ゴール差をつけて勝ち、劇的な逆転でファイナル4入りを果たした。一方、昨シーズンの覇者THWキール(ドイツ)は第1戦に続き第2戦でもベスプレム(ハンガリー)に1点差で競り勝ち、2連覇をかけケルンでの最終ラウンドにのぞむ。また、ドイツ勢同士の対戦となったフレンスブルク・ハンデヴィット対ハンブルクは1勝1敗のタイとなったが、第1戦の貯金がものをいい、ハンブルクがファイナル4に進んだ。残る1枠はポーランドのターギ・ケルツェが2連勝でマケドニアのHCメタルグを退け、初のファイナル4入りを決めた。


男子バスケ: ユーロリーグ、バルセロナとオリンピアコスがファイナル4へ

<バルセロナが勝ち越しでファイナル4へ>

 ユーロリーグのプレーオフラウンドは先週、最終戦となる第5戦が行われ、バルセロナ・リーガル(スペイン)とオリンピアコス(ギリシャ)が勝利し、ともに3勝2敗で勝ち越し、ファイナル4進出を決めた。
 パナシナイコス(ギリシャ)相手にホームで2連勝した後アウエーで2連敗を喫しタイに持ち込まれたバルセロナだったが、再びホームに戻って行われた第5戦を64-53できっちり勝ち越し、2年連続のファイナル4進出をたぐり寄せた。
なお、バルセロナはファイナル4準決勝で同じスペインのライバル、レアル・マドリーと対戦することになった。
 一方、昨シーズンの王者オリンピアコス(ギリシャ)もトルコのアナドル・エフェス相手に2連勝しながらその後は2連敗を喫し追いつかれたが、ホームでの最終戦を82-72で勝利し、大会2連覇への夢をつないだ。

<ユーロリーグ・ロンドンファイナル4ラウンド準決勝組み合わせ>
5/10 CSKAモスクワ(ロシア) 対 オリンピアコス(ギリシャ)
5/10 バルセロナ(スペイン) 対 レアル・マドリー(スペイン)

女子ラグビー: 2014年女子W杯欧州予選、スペインとサモアが本大会出場

<地元で本大会を決め喜ぶスペイン女子代表>

 2014年にフランスで行われる女子ラグビーワールドカップ出場権をかけた欧州最終予選が4月20から27日にかけてスペインのマドリードで行われ、スペインと特別枠で参加のサモアが本大会への出場権を獲得した。
 欧州最終予選は6チームが2つのプールに分かれ、それぞれが別のプールのチームと3試合を行い、全体の上位2チームに本大会出場権が与えられるが、スペインは、スウェーデンに55-0、オランダに78-0と圧勝した後、大会前は最大のライバルになると見られたイタリアにも38-7と快勝して3連勝し、総合1位で堂々の本大会出場を決めた。
一方、サモアは初戦でイタリアに22-65で敗れたものの、続く2試合ではスウェーデン、オランダにそれぞれ29-0、33-14で連勝して2勝1敗でスコットランド、イタリアと並び、最後はトライ数でこの2チームを上回り、本大会への出場を決めた。
 これで、2014年女子W杯に出場するヨーロッパ、北米、オセアニアの代表は全て出揃い、残るはアジアとアフリカのみとなった。アフリカは、ケニア、南アフリカ、ウガンダの中から勝ち上がった1チームが、アジアは、日本、中国、カザフスタン、香港の中から勝ち上がった1チームがそれぞれ本大会への出場権を獲得する。<2014年女子ラグビーフランスワールドカップ出場国>
欧州代表: イングランド、フランス、アイルランド、スペイン
北米代表: カナダ、アメリカ
オセアニア代表: オーストラリア、ニュージーランド、サモア
アフリカ代表(未定): 南アフリカ対エルゴンカップ勝者の間でプレーオフ
アジア代表(未定): 2013年アジアンフォーネーションズ大会の勝者※開催国フランス、2010年大会優勝のオーストラリア、準優勝のイングランド、3位のニュージーランドは予選免除で出場。

アイスホッケー: ヨーロピアントロフィー2013は8月に開幕

 

 アイスホッケーの欧州クラブナンバーワンを決めるヨーロピアントロフィー2013の概要が発表された。
 2012年大会から出場枠がそれまでの26チームから32チームに増えたが、2013年大会も今年と同じ7か国(スウェーデン、スイス、ドイツ、チェコ、フィンランド、スロバキア、オーストリア)のトップリーグに所属する 32チームが参加する。この32チームは東西南北の地域別に4グル―プに分かれてホーム&アウエーでリーグ戦を行い、各グループの上位チーム8チームが12月に行われる決勝トーナメントに進出する。
 なお、2014年にはソチ冬季オリンピックが行われるため、今季のリーグ戦は前年よりも早い8月6日に開幕し、9月の初旬には全128試合が終了する予定だ。

アメフト: NFLにも国際化の波、外国出身選手3人がドラフトで1位指名


<ガーナ出身で1位指名のアンサー>

 年々、海外出身選手の割合が高まっているアメリカのプロスポーツだが、その中で唯一の例外といえるのがアメリカンフットボールのプロリーグNFL(ナショナルフットボールリーグ)だ。NFLでは未だアメリカ生まれの選手の割合が極めて高く、国際化が遅れていると言われてきた。ところが、4月25日から27日までニューヨークで行われた今年のNFLドラフト会議は今までとは様子が異なるものとなった。
 初日に行われた各チームの1巡指名でアメリカ生まれ以外の選手が3人も選ばれたのだ。これはNFLドラフトではきわめて異例なことだ。
 この中で最も注目を集めたのがデトロイト・ライオンズが1位指名したガーナ出身のエゼキエル・アンサーだ。アンサーは全体の5巡目で指名されが、わずか3年前にアメフトを始めたばかりという変わり種だ。2008年にガーナから奨学生としてアメリカにやってきたアンサーだが、アメリカに来てから初めてアメフトの試合を見たという。1メートル96センチという長身のアンサーは当初、ブリガム・ヤング大学のバスケットボールチームに入ることを希望していたが、選考試験で落選しアメフトを始めることを決めたというから驚きだ。
 また、カロリーナ・パンサーズも、1位にトンガ出身のスター・ロトゥレレイを選び、全体の14巡目で指名している。ロトゥレイは9歳の時にモルモン教の牧師だった父親と一緒にトンガから渡米し、その後ユタ大学でアメフト選手として頭角を現した。
 一方、強豪のインディアナポリス・コルツは全体の24巡目で最初の指名選手にドイツ出身のビョルン・ワーナーを指名した。母国ドイツで小さい頃サッカーをやっていたワーナーだが、成長してからは地元のアメフトチームに入った。その後、奨学生としてフロリダ大学に入学したワーナーは、本場アメリカでアメフト選手としてのキャリアをスタートした。
 今年のNFLドラフトでは、下位にも多くの海外出身選手が指名されている。イギリス出身の4人を筆頭に、オーストラリア、ジャマイカ、エストニアなど出身地域も様々だ。国際化が進みすでに多くの海外出身選手がプレーしている野球、バスケット、アイスホッケーといったメジャースポーツに続き、国内選手中心だったアメフトもようやく国際化の道を進み始めたようだ。