ヨーロッパニュース一覧

2013-10-29

ヨーロッパ・ニュース Vol.223

2013/10/29


男子バスケ: ユーロリーグ第2節、FCバルセロナが初黒星

<初参戦のFCバイエルン・ミュンヘン>

 男子バスケットのユーロリーグレギュラーシーズンは第2節が行われ、グループCで昨シーズンの覇者オリンピアコス(ギリシャ)、グループBでも準優勝のレアル・マドリード(スペイン)が順当に勝利を挙げ開幕から2連勝を果たした一方、グループAでは昨シーズンのファイナル4の一角FCバルセロナがフェネルバフチェ(トルコ)に70-75で敗れ早くも黒星を喫した。その他、初戦を落としたグループDのパナシナイコス(ギリシャ)、マッカビ・ハイファ(イスラエル)はいずれも第2戦で勝利し1勝1敗のタイに戻した。

<初参戦のバイエル・ミュンヘンは台風の目となるか>
 今季のユーロリーグで注目したいのは、同リーグ初参戦となるドイツのバイエル・ミュンヘンだ。
グループCに入ったバイエルンは初戦でジェロナ・グラ(ポーランド)に94-73で快勝し同リーグ初勝利を挙げると、第2戦ではイタリア王者モンテパッシ・シレーナに89-79で勝利し、好調なスタートを切った。
 FCバイエル・ミュンヘンといえばサッカーの名門クラブとして世界中にその名を広く知られている。サッカーでは昨シーズンのチャンピオンズリーグで優勝するなど現在、欧州最強クラブの筆頭だが、バスケットボールとなるとほとんど知られていない。だがその歴史は古く、創設は1946年にさかのぼる。1950年代、1960年代にはドイツ国内で黄金時代を築き、1966年に開設されたドイツリーグにも初代メンバーとして参加したバイエルンだが、その後はトップリーグから遠ざかり、長きにわたり下部リーグに低迷する時代が続いた。しかし、バスケットボール部門強化を掲げたクラブは2008年に念願のブンデスリーガ復帰を果たすと、2012-13シーズンのブンデスリーガ・プレーオフで3位となり、今季、待望のヨーロッパデビューを果たした。昨シーズンから同チームを率いているセルビア人のスベティスラヴ・ペシッチ監督は、かつてドイツ代表、ユーゴスラビア代表監督としてユーロバスケット(欧州選手権)制覇を果たし、2003年にはFCバルセロナで3冠を達成している名将だ。同監督の下、バイエルンが今季のユーロリーグで旋風を起こし、台風の目となるか、今後の戦いぶりが期待される。



男子ホッケー: ユーロリーグKO16ラウンド進出チームが出揃う

 男子ホッケーのユーロリーグは25日から27日にかけてフランスのリールでプレーオフラウンド1.2が行われ、4つのグループで上位2位までに入った計8チームがKO16ラウンド進出を決めた。これで、先にバルセロナで行われたプレーオフラウンド1.1で勝ち抜いた8チームとあわせたKOラウンド全16チームが出揃った。 ロッテルダム(オランダ)とレディング(イングランド)の首位争いとなったプールAでは、ロッテルダムが直接対決を制して首位での突破を決めている。プールBでは、ユーロリーグ初参戦のカンポン(オランダ)が最終戦でロートバイス・ケルン(ドイツ)を4-2のスコアで下し、2連勝でKO16に駒を進めた。またプールCではベルギー王者のワーテルローがウーレンホルスト・ミュルハイム(ドイツ)との直接対決を3-1で制し、首位でKO16へ。プールHはRCブルッセル(ベルギー)が抜け出し、サンジェルマン(フランス)とディナモ・エレクトロスタル(ロシア)が1敗1分で並んだが、得失点差でサンジェルマンがかろうじて2位となりKO16ラウンドへの切符を手にした。


バレーボール:CEVチャンピオンズリーグ開幕、木村沙織のガラタサライは初戦黒星

 

 バレーボールのCEVチャンピオンズリーグが男女ともに開幕した。男子では、”死のグループ”となった激戦区のプールEでまずルーベバンカ・マチェラッタ(イタリア)とゼニト・カザン(ロシア)が対戦し、ホームの利を生かしたルーベバンカ・マチェラッタが3-0で勝利した。プールEには、昨シーズンのCL覇者でクラブワールドカップ準優勝のロコモティフ・ノヴォシビルスク(ロシア)もおり、この3チームが最後まで、上位2チームに与えられるプレーオフ出場権をかけ厳しい戦いを繰り広げることになりそうだ。一方、プールDに入ったイタリア王者トレンティーノ(イタリア)はベルリン・バレー(ドイツ)に1セットを奪われるも初戦を3-1で勝利している。

  一方、女子も時期を同じくして開幕した。昨シーズン、欧州CL、トルコリーグ、トルコカップの3冠を制し、公式戦47戦47勝とけた違いの強さを見せたワクフバンク・イスタンブールが初戦でヘント(ベルギー)をストレートで下し、今季も引き続き連勝記録を続けている。一方、昨シーズンの同大会で準優勝のラビタ・バクー(アゼルバイジャン)はロシアのオミチュカ相手に苦戦を強いられたが、最後はタイブレークの末に3-2で勝利した。

<今季のCLに日本人女子選手が3人出場>

<今季も欧州でプレーする木村(左)と佐野(右)>

 昨シーズン、海外初挑戦ながらワクフバンクでチームとして3冠を獲得した全日本のエース木村沙織だが、ワールドクラスのメンバー揃いの中では思うように出場機会に恵まれず、今季は同じイスタンブールを本拠地とする強豪のガラタサライ(トルコ)に移籍することになった。新チームでチャンピオンズリーグに臨むことになった木村だが、初戦ではスタメン出場は叶わず、チームもイタリアのコネリーアーノに2-3で敗れ初戦を白星で飾ることはできなかった。
 今季のチャンピオンズリーグには、木村の他にも、ボレロ・チューリヒ(スイス)に移籍した全日本のリベロ佐野優子、バクー・アゼリョル(アゼルバイジャン)に所属する元全日本のリベロ井野亜季子と日本人選手が3人出場する予定だ。井野のアゼリョル・バクーは、木村のガラタサライと同じプールEに入ったが、初戦では昨シーズンの同大会3位ブスト・アルシーツィオ(イタリア)を3-2で破る健闘を見せた。次戦ではガラタサライと対戦するため、早くも日本人対決が見られるかもしれない。一方、佐野のチューリヒはプールF初戦でロシア代表エースのガモアを擁すディナモ・カザン(ロシア)にストレートで敗れた。3人の所属するチームはいずれも欧州の強豪チームだけに、試合に出るためにはチーム内での厳しいポジション争いを勝ち抜かなければならない。

ラグビー内紛に新展開、 欧州王者トゥーロンが来季のハイネケンカップ出場を示唆

 ERC(欧州ラグビーカップ機構)が主催する現行の欧州クラブ選手権(ハイネケンカップ)に異議を唱えるイングランドとフランスのクラブが、来季からハイネケンカップ出場を辞退し、両国を中心に独自の新トーナメントを設立することを発表したことで分裂の危機を迎えている欧州ラグビー界だが、ここへきて、反乱軍のイングランド・フランスのクラブの団結が必ずしも一枚岩ではないことが露呈してきた。先日、昨シーズンのハイネケンカップ覇者で現行の欧州王者であるフランスの強豪トゥーロンのムラッド・ブドジェラル会長が、「我々は、来季の現行ヨーロッパトーナメント(ハイネケンカップ)に出場するだろう」との声明を発表したのだ。トゥーロンは、フランスリーグ(LNR)が現在導入を検討している外国人選手の数を制限する新ルールに反対しており、外国人枠がないハイネケンカップへの参加を示唆することでLNRを牽制するのが狙いとみられる。トゥーロン会長のこの発言は、イングランド・フランス同盟の足並みを乱しかねず、今もなおトーナメント分裂を防ぐために打開策を模索中のERCサイドにとっては追い風になるかもしれない。