ヨーロッパニュース一覧

2013-12-10

ヨーロッパ・ニュース Vol.227


2013/12/10


ラグビーを通してアパルトヘイト撤廃を訴えた南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が死去

<1995年のワールドカップで南アフリカ代表のピナール主将にウェブ・エリス・カップ(優勝トロフィー)を授与するマンデラ氏>

  アパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃を実現し、1993年にノーベル平和賞を受賞した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が5日、ヨハネスバークの自宅で95年間の人生に幕を降ろした。
 1994年に黒人として初めて南アフリカの大統領に就任したマンデラ氏は、当時黒人選手が一人しかいなかったラグビーの同国代表を白人と黒人の和解と結団、新生南アフリカの象徴として、その存在を世界にアピールすることを決意する。そして、翌年に自国で開催された第3回ワールドカップで、『スプリングボクス』(ラグビー南アフリカ代表の愛称)は予想外の快進撃を見せ、決勝で強豪ニュージーランドを延長の末に下し、念願の初優勝を成し遂げた。優勝トロフィー授与の際、「母国のために戦ってくれてありがとう」というマンデラ氏の言葉に、当時南アフリカ代表の主将を務めていたフランソワ・ピナールが「大統領、わたしたちこそあなたのしてくれたことに感謝します」と答えた場面はあまりにも有名である。マンデラ氏にとって、反体制活動の罪で27年間過ごした牢獄から釈放された時よりも、初めて白人と黒人が同じ目標に向かって力を合わせた1995年のワールドカップこそが人生で最も幸せな瞬間だったとさえ言われている。
 マンデラ氏逝去の報に接しIRB(国際ラグビー評議会)のベルナルド・ラパセット氏は、同氏への賛辞の言葉を送っている。
 「マンデラ氏は本当に偉大な人物であり、歴史に残る大会となった南アフリカでのワールドカップで彼と仕事ができたことを光栄に思っている。わたしは、新生アフリカを築くマンデラ氏の努力にラグビーというスポーツが微力ながら貢献できたことを心から誇りに思う。」


男子バスケット: ユーロリーグ第8節、フェネルバフチェがCSKAモスクワに競り勝ち首位をキープ

 12月5日と6日に男子バスケットボールのユーロリーグレギュラーシーズン第8節が行われた。今節の結果次第で上位3チームの勝敗が横一線に並ぶ可能性のあるグループAでは、前節に初黒星を喫したフェネルバフチェ(トルコ)が、CSKAモスクワ(ロシア)と対戦。序盤からフェネルバフチェにリードを許す苦しい展開となったホームのCSKAモスクワは、第3ピリオドで逆転に成功するも最終的に74-78で敗れ、手痛い黒星を喫した。また、アウエーでJSFナンテール(フランス)と対戦したバルセロナは、予想以上の苦戦を強いられながらも82-78で勝利し、第2節でのリベンジを見事にに果たした。この結果、戦績を7勝1敗に伸ばしたフェネルバフチェが引き続き単独首位をキープし、その後をバルセロナが6勝2敗で追う形となっている。一方、手痛い3敗目を喫したCSKAモスクワは、上位2チームから一歩後退する形となった。


女子ホッケー: ワールドリーグ決勝ラウンド、オランダが第一回大会を制す

<決勝でオーストラリアを下し、女子ホッケーのワールドリーグ決勝ラウンドを制したオランダ代表オランダ>

 女子ホッケーの2012-14ワールドリーグ決勝ラウンドのファイナルが8日に行われ、オーストラリアを5-1で下したオランダが、第一回大会王者の栄冠に輝いた。ドイツ、イングランド、韓国と同組になったオランダは、ロンドンオリンピック金メダルの実力を存分に発揮し、3戦全勝でプールAを首位で通過すると準々決勝ではプールBを最下位で終えたニュージーランドを1-0、準決勝でもワールドランキング1位で地元のアルゼンチンをシュートアウトの末に3-2で下し、優勝に王手をかけた。決勝でプールBを首位で突破したオーストラリアと対戦したオランダは、開始6分に先制を許し前半を0-1で折り返すものの、後半立て続けに5ゴールを奪い、終わってみれば5-1の圧勝で最後の試合を締めくくった。なお、3位決定戦では、イングランドがシュートアウトの末に4-2でアルゼンチンを下している。

男子水球: チャンピオンズリーグ第2節、昨シーズン優勝のオシグラニェが2連敗

 男子水球の2013-2014チャンピオンズリーグ第2節が12月4日に行われ、昨シーズン4位のバルセロナ(スペイン)が前節に続き2連勝でグループAの首位に立った。その一方で、昨シーズン優勝のオシグラニェ(クロアチア)と3位のパルチザン(セルビア)は両チームとも2連敗でグループAとグループBでそれぞれ最下位に沈んでいる。

女子ハンドボール: セルビアで世界選手権が開幕、日本代表は2連敗

<セルビアとデンマークに敗れ、2連敗を喫した日本代表>

 2013年女子ハンドボール世界選手権が6日、ホスト国セルビア対日本の一戦で開幕した。この試合を28-26で落とした日本は、次のデンマーク戦も25-29で敗れ、2連敗を喫している。また、初日に前回優勝国ノルウェー対3位スペインの好カードが早くも実現したグループCでは、ノルウェーが接戦の末に22-20でスペインを下し、次のアルゼンチン戦にも勝利し2連勝とする一方で、スペインもポーランドに26-20で勝利し、戦績を1勝1敗としている。その他、グループAの前回準優勝国フランスは初出場のコンゴ民主共和国を31-13、ドミニカを27-10で下し、危なげない試合運びで2連勝を飾っている。

<日本代表、世界選手権出場国の中で平均身長の最も低いチームに>
 女子ハンドボール世界選手権の開幕にあたり、IHF(国際ハンドボール連盟)は同大会に出場する24ヶ国の代表チームに関する統計を紹介している。それによると、日本代表の平均身長は167センチで出場国の中で最も低く、平均身長の最も高い中国代表やドイツ代表とは11センチの差がある。また平均年齢については、ドミニカ代表が21、4歳で最も若く、逆に最長はポーランド代表の28歳となっている。なお日本代表の平均年齢は27、1歳で出場国の中で上から8番目に位置している。

男子ハンドボール: 2013-2014EHFカップのグループステージ組み合わせが決定

 来シーズンからERC(欧州ラグビーカップ機構)主催のハイネケンカップに代わる新大会『ラグビーチャンピオンズカップ』の設立を目指し、これまでイングランドと歩調を合わせてきたフランスのクラブチーム連合だが、28日にパリで開かれたFFR(フランスラグビー連盟)との会議において、来シーズンも引き続きハイネケンカップに参加する意向を表明した。突然の翻意に少なからず驚き示したイングランドのクラブチーム連合はその3日後、「フランスのクラブは、テレビ放映権などの契約に関して自国の連盟から強いプレッシャーを受けているに違いない」とコメントし、フランス側の予想外の方向転換の背後にFFRの存在があることを示唆。更に、2014-15シーズンの欧州クラブトーナメント(ハイネケンカップおよびアムリン・チャレンジカップ)にイングランドのチームが出場する可能性が依然として低いことを改めて強調した。フランスのクラブチーム連合は、来年2月までイングランド側の説得に尽力することを明らかにしているものの、仮に失敗した場合には、来シーズンのハイネケンカップは、イングランドを除いたフランス、アイルランド、スコットランド、ウェールズにイタリアを加えた5ヶ国のクラブで行なわれることとなる。

2010年にスタートしたUEFA女子サッカー発展プログラムが今年で3年目

<UEFAのミシェル・プラティニ会長と女子サッカー発展プログラムのメンバー>

 
2010年12月、UEFA(欧州サッカー連盟)によって6年計画でスタートした『UEFA女子サッカー発展プログラム』が、折り返し地点となった今年、同連盟に加盟する54ヶ国で徐々にその成果を見せつつある。同プログラムには、今秋の時点で815万ユーロ(約11億3300万円)が投資され、特にその恩恵を受けたのが欧州の中でも女子サッカーの人口がまだ少ない国々であった。事実、これまで主催された118のプロジェクトの約70%が女子サッカーの文化を根付かせる初期段階に関連していたことが同連盟の報告書で明らかになっており、特にカザフスタンでは2008年と比較して、女子サッカー人口がそれぞれ446%の成長を遂げている。なお同報告書によれば、2013年6月の時点で、1162314人の女子選手が欧州各国のサッカー協会に登録されている。また同プログラムは、女子レフリーの育成にも力を注いでおり、現在は昨年の4182人よりも40%も多い7505人がFIFA(国際サッカー連盟)公認の女子レフリーとして活躍している。ちなみに、その中で最も多いのがドイツ(2597人)で、その次にイタリア(1637人)、イングランド(882人)、ルーマニア(365人)、フィンランド(219人)、イスラエル(176人)と続いている。