ヨーロッパ・ニュース Vol.236
2014/02/25
● ソチ五輪アイスホッケー: カナダが男女ペアで金メダルを獲得
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ソチオリンピック最終日となった23日、男子アイスホッケーの決勝戦が行われ、カナダがスウェーデンを3-0で破り、地元開催だった前回のバンクーバー大会に続く2大会連続の金メダルを獲得した。
一方、この3日前に行われた女子の決勝戦でもカナダが3-2でアメリカに競り勝って冬季オリンピック4大会連続となる金メダルを獲得しており、カナダは2大会連続で男女ペア優勝を果たした。
<アメリカ、ロシアは敗退>
男子のグループラウンドでし壮絶な戦いを繰り広げた優勝候補のアメリカとロシアだったが、アメリカは準決勝でカナダに0-1で惜敗、地元の期待を背負ったロシアも準々決勝でフィンランドに敗れ、どもに決勝に進むことはできなかった。一方、準決勝で北欧のライバル、フィンランドを2-1で下し決勝へ進んだスウェーデンだったが決勝ではカナダに完敗を喫し、2006年トリノ大会以来の金メダルを逃した。しかし、決勝に進出したことによりスウェーデンは五輪後の世界ランキング1位に浮上した。決勝の前に行われた3位決定戦ではフィンランドがアメリカに5-0で快勝し、北欧勢が2つのメダルを手にした。
<スマイルジャパンは最下位、世界選手権の入れ替え戦出場へ>
一方、女子の決勝戦は戦前の予想通りカナダとアメリカの一騎打ちとなった。1998年の長野大会から正式種目となった女子アイスホッケーだが、この大会でアメリカが優勝して以降、4大会連続でカナダが女王の座に君臨している。アメリカも2002年ソルトレイク、2010バンクーバーではカナダに次ぐ銀メダルを獲得しており、長らく両者の2強時代が続いている。なお、欧州勢同士の戦いとなった3位決定戦ではスイスがスウェーデンを4-3で破り銅メダルを獲得。スイス女子チームにとってはオリンピック初のメダル獲得となった。
一方、自力で初の五輪出場を果たした日本代表はグループラウンドで全敗した後、5位決定戦でもロシアに3-6で敗れ、7位8位決定戦でドイツを対戦し2-3で惜敗。結局、悲願の1勝を挙げることはできず、全敗の最下位で初の五輪を終えることになった。また、今回の結果により、日本は来年の世界選手権のトップリーグ出場権をかけてディビジョンIの勝者との入れ替え戦を戦わなければならなくなった。
● ラグビーシックスネイションズ: アイルランド、フランスが敗れ4チームが勝率で並ぶ
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ラグビーのシックスネイションズは第3節が行われ、ここまで2連勝のアイルランドがイングランドに10-13で敗れ、同じく2連勝のフランスもウェールズに6-27で敗れ、早くも全勝チームがなくなった。この結果、アイルランド、イングランド、ウェールズ、フランスがともに2勝1敗と勝率で並び、4チームの星のつぶし合いの様相を呈してきた。イングランドは次節ウェールズと、フランスは最終節でアイルランドとの対戦を控えており、優勝争いは最終節まで持ち越される可能性が高くなった。
● ラグビー: 2015年W杯欧州予選、ルーマニアとグルジアが出場権獲得
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2015年ラグビーワールドカップ・イングランド大会出場をかけた欧州予選第5ラウンドは、2節を残しルーマニアとグルジアの本大会出場が決まった。
今大会にはグルジア、ルーマニアの他、予選を勝ち抜いたスペイン、ロシア、ポルトガルの計5か国が参加し、ホーム&アウエー形式の総当たり戦が行われているが、22日の試合でルーマニアがスペインに32-6、グルジアがロシアに36-10で勝ち、ともに対戦成績を4勝1分けとして、出場権が与えられる2位以内が確定した。これで欧州代表の2枠は決定したが、今大会で3位になったチームは5月に行われる欧州予選第6ラウンドに出場することができ、ここで勝者となれば、残る1枠をかけた世界最終予選プレーオフに出場することができる。
なお、イングランド、フランス、ウェールズ、アイルランド、スコットランド、イタリアの欧州6か国は世界ランキングによるシード枠での本大会出場が決まっており、予選には参加していない。
● ホッケー: 国際ホッケー連盟会長が欧州プロリーグ構想を表明
国際ホッケー連盟(FIH)のレアンドロ・ネグレ会長は22日、インドホッケーリーグ(HIL)をモデルにした新たなプロリーグを欧州で発足させる構想があることを明らかにした。同会長は、「選手も我々役員もHILの運営に大いに刺激を受けている。欧州でも多くの選手たちがHILを高く評価しており、賞金額が低くなる一方の欧州でも同じような大会が行われることを望んでいる」と述べ、HILを引合いにだして欧州リーグ見直しの必要性を説いた。欧州では現在、6か月をかけて欧州各国の強豪クラブが対戦しナンバーワンを決めるユーロホッケーリーグのような大陸トーナメントが行われているが、大会の収益は高いとは言えず、各クラブは財政面で苦戦している。一方、HILは創設2年ながら興行面で成功を収め、高い収益を上げている。HILでプレーしているTeun de Nooijer選手は、オランダ代表選手としてオリンピックで合計4つのメダルを獲得するなどホッケー界のレジェンドと呼ばれている存在だが、同リーグの選手で最高の87400ドル(約900万円)の高額報酬を得ているという。一方、欧州のクラブでプレーしてもこのレベルの報酬を手にすることはできない。ネグレ会長はまた、新リーグ発足に向けFIHが2015年よりスタースポーツ社と8年契約を結び、同連盟主催大会での国際放映権およびマーケッティングライツを委託したことを発表し、「近々、FIHから新リーグ発足の時期について発表があるだろう」と締めくくった。
● バレー: イラン代表躍進の立役者ベラスコ監督がアルゼンチン代表監督に就任
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2011年からバレーボールのイラン男子代表監督を率い、同チームをアジアチャンピオンに導いたあるフリオ・ベラスコ監督がイラン代表監督を辞任して、母国アルゼンチンの男子代表監督に就任することになった。
同監督はこれまで、イタリアのセリエAやスペイン代表監督などを務め、多くのタイトルを手にしてきた。
しかし、アルゼンチンのキルチネル大統領から直々に代表監督就任の要請があり、31年ぶりに母国で指揮をとることになった。
ベラスコ監督が代表監督に就任して以来、イランはポーランド、セルビア、アルゼンチン、キューバ、イタリア、アメリカといった強豪国から勝利を挙げるまでに成長し、日本や中国を抜いてアジア王者となった。北京オリンピック後に男子バレーの日本代表監督の公募が行われた際、同監督は名乗りを上げていたが採用されず、結果的に日本は強化で遅れをとりイランに大きく水をあけられることになった。イランバレーボール協会はベラスコ監督の辞意を受け入れ、同氏のこれまでの貢献に深い謝意を示す一方で、べラスコ監督の後任としてイタリア人監督のロレンソ・ベルナルディ氏と交渉中という。
● バスケット: NBAの元スター、オドムがスペインのプロチームに入団
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NBAのクリッパーズ、レイカーズなどで活躍し、2度のNBA優勝を経験している元スター選手ラマー・オドムが、スペインのプロチーム、バスコニアと2か月間の短期契約を結んだ。
オドムは2012年にクリッパーズに復帰したが、昨シーズン終了後にFA(フリーエージェント)となり、所属チームがない状態だった。
NBAでの実績とは別に、薬物依存や飲酒運転、芸能人の妻クロエ・カーダシアンとの離婚問題などオフコートでも話題を提供することが多かったオドムだが、34歳という年齢や2013年4月を最後に実戦から遠ざかっていることから、スペインのライバルチームの中にはその実力を疑問視する向きもある。
今回オドムと契約したバスコニアは、スペイン北部バスク地方のビトリア市を本拠地とするプロチームで、過去にスペイントップリーグで3回の優勝経験ある。スペインリーグでは現在7位につけており、上位8チームによるプレーオフ出場圏内につけている。また、今季のユーロリーグにも参戦しており、ベスト16ラウンドではここまで1勝6敗のグループ最下位に低迷していることから、オドムの加入を機に巻き返しをはかりたいところだ。
● ハンドボール: 欧州王者ハンブルクが深刻な財政難で存続の危機に
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昨シーズンの男子ハンドボール欧州チャンピオンリーグを制したドイツのHSVハンブルクが深刻な財政難に直面していることが明らかになった。ハンブルクのアンドレアス・ルドルフ会長によると、同クラブは現在100万ユーロ(約1億4千万円)の負債をかかえており、クラブ存続の危機に直面しているという。ハンブルクは、この財政難の原因を作ったとしてスポーツディレクターのクリストフ・ベント氏の更迭を発表したが、この経営危機を乗り越えるためにドラスティックな手段を講じることもいとわないとの決意を示し、このままでは来季のブンデスリーガ(ドイツトップリーグ)参戦を辞退する可能性もありうることを示唆した。ドイツと並ぶ欧州2大リーグのひとつスペインのトップリーグASOBALでは、財政難からサンアントニオ、アトレティコ・マドリード(旧シウダー・レアル)といった名門クラブが相次いで消滅しているが、比較的経済危機の影響が少なく健全経営と見られてきたドイツでブンデスリーガのトップクラブが経営難に陥っているというニュースは、関係者に大きな衝撃を与えている。