ヨーロッパニュース一覧

2015-1-21

「フランスで起きた連続テロ事件にスポーツ界も一致団結」 「男子ハンドポール」「女子サッカー」 「男子バスケット」「男子ローラーホッケー」

フランスで起きた連続テロ事件にスポーツ界も一致団結

 今月7日にフランスの風刺新聞『シャルリー・エブド』本社を襲ったイスラム過激派による襲撃テロ事件は人々に大きな衝撃を与えたが、その影響は時をおかずして各国のスポーツ界にも波及した。

<電光掲示板に映し出されたJe suis Charlie(わたしはシャルリー)のスローガン> まずフランス国内では、その週に行われたサッカー、ラグビー、ハンドボールの試合などで今回のテロで命を落とした17人の犠牲者を悼む1分間の黙とうが捧げられた。特に、サッカーのリーグ・アン、リール対エビアン、そしてラグビーのTOP14、スタッド・フランセ対カストルの試合では、キックオフ前に行われた黙とうが終わるとスタジアムは拍手に包まれ、やがてフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』の大合唱が沸き起こるなど犠牲者を思う姿が深く印象に残る一場面があった。その他スペイン、イタリア、英国でも同様に試合前に黙とうが捧げられた。

<Nous sommes tous Charlie(わたしたちはみなシャルリー)のスローガン入りシャツを着て黙とうを捧げるカストルの選手たち> また数多くのスポーツ選手やクラブ関係者はシャツやプラカードに『Je suis Charlie(わたしはシャルリー)』のスローガンを書き込み、犠牲者への連帯を示すと共に、世界中に広がりつつある過激派のテロ行為に反対する声と同調する姿勢を見せている。そしてそのスローガンは、12日にスイスのチューリッヒで開催された国際サッカー連盟の祭典、FIFAバロンドール(世界年間最優秀選手賞)でも度々スクリーンに映し出され、国際問題としての注目度の高さをうかがわせた。

 そんな中、この流れと一定の距離を置くことを望んだ選手たちもいた。フランス出身ながらルーツを持つモロッコ代表を選択し、イスラム教を信仰するモンペリエのDFエル・カウタリは、「政治とスポーツを混同するのは好きじゃない」との理由で、マルセイユ戦前に『Je suis Charlie』の文字の入ったシャツを着てウォームアップをすることをチームでただ一人拒否していた。

男子ハンドポール:世界選手権が開幕、地元のカタールが3連勝で好スタート

<今回の世界選手権で旋風を巻き起こす予感をさせる地元カタール> 男子ハンドボールの世界選手権が15日にドーハで開幕し、優勝候補に挙げられているスペイン、フランス、クロアチア、スウェーデン、ドイツなどの欧州勢はいずれも初戦を白星で飾っている。

 前回大会で優勝し、2連覇を目指すスペインが一歩抜きに出た存在だと見られていたグループAだが、世界と対等に戦えるまでに急速に力を付けてきた地元カタールもブラジルとチリに連勝、そして第3節では前回大会で4位に入った強豪スロベニアを31-29で下し、3戦全勝でスペインと共に首位に立つなどその存在感を存分に示している。21日に行われるカタール対スペインの全勝対決は多くの注目を集めることになるだろう。

 またグループBではクロアチアとマケドニア、グループCではスウェーデンとフランスがここまで全勝で首位に立っている。一方、グループDでは前回の世界選手権と昨年の欧州選手権でいずれも準優勝だったデンマークが初戦でいきなりアルゼンチンに24―24で引き分け、ドイツに単独首位の座を譲る形となっている。

 その他カタール以外のアジア勢では、昨年のアジア大会で3位に入ったイラン、今大会の参加を辞退したアラブ首長国連邦に代わって出場しているサウジアラビアのいずれもいまだに勝ち点を奪えずグループ最下位に低迷している。

<カタール、世界選手権開催の準備に投じた費用は約300億円>

 昨年の男子ハンドボールアジア大会の開催を初め、2022年のサッカーワールドカップなど、さまざなまスポーツで国際大会の招致に成功しているカタールだが、今回の男子ハンドボールの世界選手権にかける意気込みも並大抵のものではないようだ。

 先ず、大会開催の準備に2億2000万ユーロ(約300億円)という膨大な費用が投じられたと言われており、これは2年前に行われたスペイン大会の20倍に相当する。その驚くほど潤沢な資金を使って今回唯一の開催都市となるドーハに近代的な3つのパビリオン(ドゥハイル・ホール、ルサイル多目的アリーナ、アリビン・ハマッド・アリーナ)が建設された。

 一方で地元開催で大旋風を巻き起こすべく代表の強化にも力を注いでいる。過去の世界選手権では目立った結果を残せずにいたカタールだが、2013年にスペイン人の バレロ・リベラ氏を代表監督として迎え入れ、さらに海外の選手を積極的に獲得することで国内クラブのレベルアップを図り始めた。すると2014年1月のゴールデンリーグでヨーロッパの強豪ノルウェーに勝利し、デンマークに引き分け、その直後に行われたアジア大会では初優勝を達成するなど、地道に続けてきた強化プランが確実に実を結んできている。事実、今回の世界選手権に挑むカタールには、スペイン出身のボルハ、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のサリッチ、フランス出身のロイネ、モンテネグロ出身のスタヤノビッチ、キューバ出身のカポーテなど、登録メンバー16人の内7人を帰化選手が占めており、その実力の高さはすでにライバルから一目置かれる存在となっている。

<カタール代表を応援するスペイン人サポーターの一団> さらにカタールは試合の盛り上げ役として、スペインの国内リーグでも騒がしくて有名な3つの後援会を“自腹”で大会に無料で招待している。カタール代表を応援するという条件付で、総勢約60人に対し往復の旅費と滞在費が支払われた他、一日に付き一人20ユーロが現地での諸経費として支給されているようだ。事実、ブラジルとの開幕戦には多数のスペイン人サポーターが太鼓やラッパを吹き鳴らし、カタールの勝利を後押しした。ただ、不運にもカタールとスペインは同じAグループに入っており、両チームが対戦する21日には面白い光景が見れそうだ。

女子サッカー:ヴォルフスブルグのケスラーが女子部門のFIFAバロンドールを受賞

 2年連続で受賞したレアル・マドリードのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドがメディアの注目を独占してしまった2014年のFIFAバロンドール(世界年間最優秀選手賞)だが、女子サッカーの部門ではヴォルフスブルグのドイツ代表MFナディネ・ケスラーが、昨年に続き最終候補に残ったマルタ(ブラジル)とアビー・ワンバック(米国)を抑え初の栄冠を手にした。

<バロンドールを手にするケスラー> チームの主将として2013-14シーズンの女子チャンピオンズリーグと女子ドイツ・ブンデスリーガ2連覇に大きく貢献したケスラーは、昨年8月にもUEFA(欧州サッカー連盟)が発表する欧州年間最優秀選手に選ばれていた。

 現在26歳のケスラーは今回の受賞にあたり、「何度となくけがを繰り返してきたことで、プロのスポーツ選手としての人生をまた違った形でとらえるようになりました。けがをする度に再びピッチに戻ってこれたことがわたしにとっては一番の賞だと思っています。」とスピーチし、ここ2年間でひざの手術を6回も受けるなど度重なるけがに悩まされたことで、プロとしてサッカーができる瞬間を最大限に楽しむ大切さを強調した。

 今シーズンの女子ブンデスリーガで、現在バイエルン・ミュンヘンに2ポイント差を付けて単独首位に立つヴォルフスブルグは、国内カップ戦で準決勝、欧州チャンピオンズリーグでもベスト8まで勝ち進んでおり、国内リーグとチャンピオンズリーグの3連覇の他、カップ戦のタイトルも含めた3冠の可能性を残している。またヴォルフスブルグは、今冬の移籍市場で日本代表FWの大儀見優季をチェルシーより獲得しており、2009年から2011年までのポツダム(ドイツ)を経て大儀見とケスラーは再び同じシャツを着て戦うこととなる。

男子バスケット:ユーロリーグ、トップ16ラウンド第3節、ガラタサライがアウエーでレッドスターに勝利

 男子バスケットのユーロリーグは、15日と16日にトップ16ラウンドの第3節が行われた。グループEでは、レアル・マドリード(スペイン)がアルバ・ベルリン(ドイツ)に79-61で快勝し3戦全勝で単独首位の座を固める一方、昨シーズンにファイナル4まで残ったバルセロナ(バルセロナ)はイスラエルの強豪マッカビ・エレクトラ(イスラエル)にアウエーで70-68で惜しくも競り負け、早くも2敗目を喫してしまった。またレギュラーシーズンでもグループDで同組となり1勝1敗と一歩も引かない戦いを見せたベオグラード・レッドスター(セルビア)とガラタサライ(トルコ)が今節のTOP16ラウンドで再び顔を合わせた。昨年11月にトルコのイスタンブールで行われた試合で、応援に訪れていた25歳のレッドスターサポーターがスタジアム付近で刺され死亡する事件が起きたこともあり、厳戒態勢の中で行われた試合は、アウエーのガラタサライが74-65で勝利し2勝目を記録する一方、レッドスターは白星なしの苦しい状態が続いている。一方グループFでは、CSKAモスクワ(ロシア)とオリンピアコス(ギリシャ)がそれぞれ3連勝し同率首位に立っている。

男子ローラーホッケー:ユーロリーグ、王者バルセロナがベンフィカを下しグループ首位に

<ベンフィカにアウェーで競り勝ったバルセロナ> 男子ローラーホッケーのユーロリーグは17日に第5節が行われ、昨シーズンの覇者バルセロナ(スペイン)がポルトガルの強豪ベンフィカをアウェーで下し、戦績を4勝1分としグループAの首位に踊り出た。また2年連続で準優勝となり今年こそ悲願のタイトルを目指すグループDのポルト(ポルトガル)は、バルダーニョ(イタリア)と5-5で引き分けたものの4勝1分で2位に6ポイント差をつけて首位をキープしている。一方、グループBでは、ビック(スペイン)とブレガンゼ(イタリア)の2チームが4勝1分、グループCではフォルテ・デイ・マルミ(イタリア)が5戦全勝でそれぞれ首位に立っている。