ケニア！彼らはなぜ速いのか

今や陸上長距離種目でのケニア勢の活躍は圧倒的である。中でも、ケニアの少数部族、カレンジンに走る才能が集中しているという。本書は、「カレンジンはなぜ速く走ることが可能なのか」という根本的な命題に挑戦している。 　この問いに対しては、既に世界中の研究者が取り組んでいる。著者はケニア、イギリス、デンマークを巡り、運動生理学の権威や研究者などに「速さの秘訣」を聞く。遺伝、食生活、体重の軽さや足長の体型など諸説が浮上し、聞けば聞くほど迷宮入りしてしまう。 　著者自身が東京に戻ってからも括弧とした結論を出せていないが、日本人にはない要素がいくつもあり、遺伝以外にも太刀打ちできない要因があることは明らかだ。 　そういえば、北京五輪の陸上短距離種目では３種目で世界新記録を樹立し金メダルを獲得したウサイン・ボルトに代表されるカリブ勢が席巻した。なぜケニア勢が長距離走でカリブ勢が短距離走なのか・・・。人体の神秘に対する興味は尽きない。