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浅田真央、17才




 名実ともに冬のスポーツの〝華〟としての地位を確立したフィギュアスケート。世界で勝てる選手を次々に輩出する日本の層の厚さがその要因であることは間違いないが、その中でも「真央ちゃん」こと浅田真央の貢献は群を抜いて高い。本書は浅田の2007年から2008年にかけての軌跡を丹念に綴っている。
 驚くべきは、浅田と著者の距離感である。試合直後の17歳らしい率直な思いはもちろん、一般には公表されなかった2008年3月の世界選手権直前の足首のけがのエピソードや、浅田が17歳にして「もう若くないから」とおどける場面など、2人の距離の近さが伺えるが、本書は「浅田真央、15歳」「浅田真央、16歳」に続くシリーズ3作目だと聞けば、その親密さにも納得がいく。
 
本書では、無邪気に、そして純粋にフィギュアスケートを楽しむ「真央ちゃん」から、プレッシャーや新ルールに苦悩し、体も心も少女から大人の女性へと近づいていく浅田の姿をよく捉えている。
 「試合は、今シーズンだけじゃないから。今、取り組んでいることは全部、バンクーバー・オリンピックに向けてやっていること」と言い切る浅田の言葉を聞けば、来シーズンへの期待も高まる。2009年もフィギュアスケートの世界大会は続く。本書で本当の「浅田真央」を知れば、今までとは違った気持ちで応援できるだろう。