イチオシ!スポーツ Book Review一覧

ニッポンはどうすれば勝てるのか




 まさに多くのスポーツフリークたちが感じている永遠の課題がそのままタイトルになった。この根本的で、少々挑戦的にも思える命題に挑むのは、スポーツライターの玉木正之と金子達仁。両者とも、かねてから独自の視点と独特な〝愛情表現〟で、日本スポーツに提言を続けてきた存在だ。その2人が対談し、「岡田ジャパンで本当に勝てるのか?」「阪神タイガースはなぜ優勝を逃したのか?」「北京五輪開催前の事件は何だったのか?」などの問いに対し、ざっくばらんに語り合い、持論を展開する。
 例えば、岡田ジャパンについて金子は「この時期に一度、W杯に出られない日本を体験しておくことも大事」と言い切る。最初は「大胆な意見」と驚いていた玉木も、激論を通して「W杯に出られないのもアリ」という結論に変わっていく。一方、五輪の定義について、「オリンピックはスポーツじゃない。政治だ」と主張する玉木に、金子は「政治がスポーツを利用しようとしても、政治は文化じゃない。最終的には文化ではない政治は、スポーツにはかなわない」と加勢する。
 スポーツの表も裏も深く取材している2人の考察は斬新で、読者に新たな視点をもたらしてくれるだろう。