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レバレッジ人脈術




 本田直之氏の「レバレッジ・シリーズ」の一冊である。スポーツチームの経営支援事業でチームを訪問する機会が多い。その場でよく聞かれる言葉が、「人脈を広げてスポンサー確保したい」しかし、「人脈をどのように創ったら良いか、わからない」というものだ。
 スポーツの世界にいる人は、その世界の中の人間との交流が深く、他分野の人との交流が希薄になってしまう傾向にあるような気がする。それは、仲間意識が強いという側面と、一般的に余暇の時間が競技の練習時間であったり、試合、遠征であるため、ほとんどいつも同じメンバーと行動を共にすることが多いからと思われる。だからといって、ただ異業種交流会に多く参加したら良いというものでもないらしい。

 著者は、「こちらだけが得をするような人脈作りなどは、決して人脈にはならない。」と言い、更に「人脈とは、情報を交換したり、人を紹介したり、刺激しあったりして、一緒に成長してゆけるようなマインドの高い仲間のこと」と定義づける。

 スポーツチームを経営することの一般的な企業の経営と大きく違う点は、物を売る商売ではなく、「夢・希望・感動」を商売にしていることだ。ただスポンサーを獲得するためだけの人脈は一方だけの利益に終わることが多く、長続きしない。お互いが役に立つ存在として認め合ってこそ人脈が築かれ広がってゆく。この人脈の一部が、結果的に「スポンサー」であったり、「ファンクラブ」であったりということもありえる。

 この本は、一般的なビジネス書ではあるが、スポーツ界の経営に多くのヒントを含んでいると思う。