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明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私




 「がん」は、人の未来を閉ざすことがある。輝かしい夢を思い描ける人間の将来ですら奪ってしまう。横山友美佳も、がんに未来を奪われた一人だ。
 横山は北京オリンピックを目指していた。小学校からバレーボールを始め、高校時代はバレーボール一色の生活。17歳にして全日本シニア(年齢制限なしの代表)にも選ばれ、将来のナショナルチームを担うはずの選手だった。
 病は突然横山を襲った。未知の可能性が自分を待っていると期待に胸をふくらませて迎えた18歳の誕生日の直後だった。
 がん治療は、体験者しか知り得ない想像を絶する苦しみだ。人は一番苦しいとき、泣けない。言葉が出ない。ただ、耐えるのみ。苦しみのどん底で、まだ死にたくない。もう少し生きたい。これが最後だと自分に言い聞かせながら、横山は耐え続けた。
 闘病生活の中で、強い精神力を発揮した横山は、大学受験を突破し、憧れの学生生活を始める。治療は予定通り約1年で終わったものの後遺症は強く、服用する薬のせいで髪の毛が抜け落ち、足の痺れが治まらず、カツラをしたまま「異常な歩き方」で学生生活を送った。
 曲がりなりにも元気に生活ができたのは、わずかに4カ月。退院後、初めての定期検査で再発が確認されてしまう。「もう治療したくない」それは、強い気持ちを持つ横山をノックアウトしてしまうほどの大きなショックだった。
 心が折れそうな横山を救ったのは、家族、友人、周りで応援してくれる人達だった。横山は周囲の支えに導かれ、再び病に立ち向かう。
 がんに侵され、選手生命を断たれた。バレーボールは失ったが、人に支えられて生きていることを知り、「普通」に生きられる幸せと命の重みを知る。最後は、治すことよりも延命の為の戦いとなった。残された少ない時間でも、生きることへの執念は消えない。横山のありのままの姿を綴った188ページからは、命を粗末にする人への叫びが聞こえる。「命を捨てるくらいなら、私に下さい!」