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ソシオ制度を学ぶ 地域スポーツクラブが目指す理想のクラブマネジメント




 2010南アフリカW杯で日本代表が決勝トーナメントに進出。香川真司がブンデスリーガ前半戦のMVPに輝き、長友佑都はイタリアの強豪インテルに移籍した。海外で活躍する日本人選手が増えたことで、今まで以上に世界のサッカー情勢が注目されている。
そんな日本で、「バルサ」という名を聞いたことのない人はいないかも知れない。世界最高のクラブの1つであるFCバルセロナ。メッシ、イニエスタ、シャビなどの世界的有名選手を育成組織カンテラから育て上げたことは有名な話である。そんな世界的ビッグクラブのマネジメントを参考に、「新しい日本版のスポーツモデル」を提案する。

FCバルセロナのマネジメントの大きな特徴は、「ソシオ制度」にある。「ソシオ制度」とは、クラブの会員の会費によってクラブを支える運営方法。会員は、会費を払う事でクラブ運営に参加する権利を得る。文字通り、ソシオ(スペイン語で仲間の意味)が、オーナー(所有者)という考えで成り立っているのだ。現在、FCバルセロナのソシオ会員は全世界約16万人いると言われている。
 しかし、「ソシオ制度」を、そのまま導入したところで日本には、なかなか根付かないのが現状だろう。筆者が「批判を覚悟して言うならば、日本のプロスポーツクラブは未だに『企業のもの』」と語るように、突然企業から支配権を奪うことは難しい。一方、このまま、企業から大きなサポートを受ける体制では、景気に左右されやすく、日本のスポーツ界に明るい兆しが見えないかもしれない。
今後、「日本スポーツ界に明るい未来を築いていくための方法論のひとつ」として「ソシオ制度」を学び、FCバルセロナのような、地域に愛された「クラブ以上の存在」を考えることは、日本スポーツ界をより良くしていくためのヒントとなるはずだ。