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名波浩対談集 日本サッカーが勝つためにすべきこと。



 日本が初めて出場した1998年フランスW杯に、背番号10を背負って出場した名波浩。ボランチの位置から左足でパスを繰り出すゲームメーカー。J屈指のレフティとして活躍し、引退後はジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、サッカー解説者として活躍している。明快な解説で人気の名波が「好きな選手、一緒にプレイしたかった選手に会いに行く」この連載から、選手達の素顔が読みとれる。
 対談した15人の選手達は、いずれもJリーグや海外、または日本代表などで活躍しているプレーヤーだ。本書は南アフリカW杯前に出版されていて、ピントが南アフリカに合っているように見えるが、柏木陽介(浦和レッズ)が「ブラジル大会では自分が中心でやれるようにしていきたい」と語るように、ブラジル大会で活躍を期待される若い選手からも話を聞いている。印象的なのは、小野伸二(清水エスパルス)との対談。同じ高校出身で、小野の代表初ゴールは名波のアシスト。「あそこが世代交代の第一波だった」と、名波が語るフランスW杯での交代など、2人は縁が深い。かつてのプレイスタイルに関する2人の会話、ドイツW杯での裏話、小野伸二というプレーヤーへのメッセージ。同じピッチで戦っていた名波がインタビューするからこそ、選手達は本音を語るのかもしれない。
 対談した選手の最年長が1977年生まれの松田直樹(松本山雅FC)、1番年下が1990年生まれの山田直輝(浦和レッズ)で、幅広い年齢層の選手から話を聞いている。そこから各年代による考え方の違いなどを知り「今後、指導者を目指すうえで、とても参考になった」と語っている。まだ、Jリーグのクラブやナショナルチームで指導者としてのキャリアをスタートさせてはいないものの、名波が指導者として脚光を浴びる日は、そう遠くはないだろう。