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マキアヴェッリ語録



 すべての指導者・チームのリーダーに贈る。
 もし、あなたがチームのサポートスタッフや、一選手である場合には、コーチやキャプテンの苦悩や葛藤を少しでも感じてもらえたらいい。
「君主たらんとする者は、種々の良き性質をすべて持ち合わせる必要はない。しかし…」
「君主にとっての敵は、内と外の双方にある。これらの敵から身を守るのは、準備怠りのない防衛力と友好関係である。そして常に、良き力をもつ者は、良き友にも恵まれるものである。」
「君主たる者、ケチだという評判を怖れてはならない。なぜなら…」
「個人でも共同体でも同じことだが、勝利を得た後や、単に勝利の幻影を見たにすぎない折でも、人はしばしば尊大で横柄な言動に出るようになり、おかげで元も子もなくしてしまうことが多い。」
以上は、本の中に出てくる文章の抜粋である。

 第一部の「君主篇」は、指導者やリーダーであるあなた自身に。第二部の「国家篇」は、チームの視点に。第三部の「人間篇」はコーチ生活、選手生活、さらに、人生に置き換えて読むことができる。
 マキャヴェッリは、イタリア、ルネサンス期の政治思想家、フィレンツェ共和国の外交官。目的のためには手段を選ばない、権力的な統治様式という意味の言葉、マキャヴェリズムの語源になっている。そんな政治思想家の言葉がなぜ、何百年という歴史を超えて今なお読み続けられているのか。それは、読者になるあなた自身に考えていただきたい。
 この本は著者のこだわりによって、マキャヴェッリの語録を抜粋した、箇条書きで構成されている。そのため、非常に読みやすい。おそらく、本書中の印象的な文章は読者それぞれ違うだろう。それは、本書に限ったことではないかもしれないが、読者自身の心境、置かれた立場・状況の表れであると考えられる。そこで、この本を定期的に読み直すことをお勧めする。読む度に響く言葉が変わり、一方で、不動の言葉も出てくるのではないだろうか。うまく行くとき行かないとき、いつも通りのときふと立ち止まって、マキャヴェッリの言葉を読み返してみてはいかがだろうか。