イチオシ!スポーツ Book Review一覧

挑戦者たち~甲子園と高校野球 挑み続ける男たち~


 「お前らは誰も敗者なんかじゃない」向上高校・平田隆康監督『向上心』より

 ”夏の甲子園”と聞いたら、おそらくほとんどの国民が何を意味するのか分かるだろう。夏の風物詩になっている。”野球”という日本のスポーツの中での絶対的な存在感。その中で、高校野球もそれだけでブランドになっている。

 私たちの心を引きつけて離さない高校野球、高校球児の魅力は何か・・・
 その訳は、日常にある。
 もっと言えば日常にしかない。

 彼らがどんなふうに野球と向き合って、どんなことを大事にして野球をしているのか。そこにある物語は指導者抜きには完成しない。甲子園を本気で目指す6チーとその指導者のストーリーが、取材を積み重ねたライターたちの真剣な思いによって、形となっている。指導の背景には、指導者自身のそれまでの人生がある。決して常勝チームばかりを取り上げているわけではない。
世に出回っている指導者本は、認知度の高い名将であることが多い。その名称たちのコーチングエッセンスが、為にならない訳が無い。そこに、この高校野球ノンフィクションシリーズも混ぜて欲しい。それぞれのチームや、読者自身の状況も千差万別。多種多様なスタイルに出会うにはおすすめのシリーズになっている。

 今年も高校球児から目が離せない。