イチオシ!スポーツ Book Review一覧

ワールドカップがもっと楽しめるサッカー中継の舞台裏


 スポーツを現地で観戦する者がたくさんいるということは、スポーツが一つの文化として成立していることを意味している。その競技が好きな人や愛するチームを応援する人、もしくは人気のある選手を一目見ようとする人など、理由は様々である。
 しかし、国外など遠く離れた場所で行われている試合を現地で見ることはなかなか容易ではない。試合時間も、時差の関係で通常、日本で行われている時間とは異なっているからだ。ましてや、一般人は仕事や学業などで忙しい。このような状況下にあるサッカーであるが、W杯という大舞台のゴールを目指す中で競技の技術進歩を果たしたのと同様に、サッカーをテレビで見るための技術も進歩してきた。それは日本に限らず、世界各国のテレビ中継もW杯を通して革新を遂げてきた。そしていつしか、サッカーに限らずあらゆるスポーツとテレビは切っても切り離せない関係となった。
 こういったサッカーとテレビとの歴史を、当時のサッカー番組を数多く手がけた著者が当時の自らの体験を振り返りながらまとめたのが本書である。
 20年ほどの短い歴史の中で急速に進歩していった日本のサッカー文化、その歴史に関わった人々や舞台、そして放送ビジネスの実態など、なかなか知りえない情報も数多く記されている。94年の「ドーハの悲劇」の裏側、02年の「日韓W杯」の制作秘話など。本書を読めば、ブラジルW杯がより楽しみになるはずだ。
 サッカーが好きな人は当時の出来事を懐かしみながら読むことが出来るだろう。サッカーを知らない人は、スポーツ中継の難しさや苦労話に驚嘆するだろう。
 ウィンタースポーツの祭典、冬季ソチオリンピックは閉幕したが、今年は、スポーツイヤーである。まだまだスポーツを楽しませてくれる1年に感謝しながら、本書を読んでその時を茶の間で待ちたい。ブラジルに行きたいが行けそうにないので・・・。