「男子ハンドポール」「男子ラグビー」 「女子バレーボール」「女子サッカー」
●男子ハンドポール:世界選手権、地元カタールが8強入り
現在カタールの首都ドーハで開催されている男子ハンドボールの世界選手権は、グループラウンドの全試合が終了し決勝ラウンドに進出する16ヶ国が出揃った。
グループAは、前回大会で地元優勝を飾ったスペイン、開催国のカタール、スロベニアにブラジルの4チームに決まった。王者の貫禄で5戦全勝の首位でグループラウンドを終えたスペインに対し、多数の帰化選手を擁し、スペイン人のバレーロ・リベラ監督に率いられるカタールも第3節でスペインに惜敗したものの、前回大会で4位に入った強豪スロベニアを31-29で下すなど、試合を重ねるごとに注目を集める存在となりつつある。なお、今回の世界選手権に登録されているカタールの代表メンバー17人の内、帰化選手は半数以上の10人にのぼり、その出身はスペイン1人(ビダル)、フランス1人(ロニー)、キューバ1人(カポーテ)、エジプト1人(マブルーク)、チュニジア1人(ベナリ)、ボスニア・ヘルツェゴビナ2人(サリッチ、メミセビッチ)、モンテネグロ3人(マルコビッチ、ストヤノビッチ、ダムヤノビッチ)の内訳となっている。また、前大会で3位に入っているクロアチアが5連勝で首位通過を決めたグループBでは、マケドニアが4勝1敗、オーストリアとチュニジアが2勝2敗1分で続いている。グループCでは、昨年の欧州選手権の覇者フランス、スウェーデン、アイスランド、エジプト、そしてグループDではドイツ、デンマーク、ポーランド、アルゼンチンがそれぞれ決勝ラウンドへの進出を決めた。
25日からスタートした決勝ラウンドでは、まず地元カタールがオーストリアと対戦。カタールは前半を13-14の1点ビハインドで折り返すものの、この試合8ゴールを奪うマルコビッチの活躍などで29-27の逆転勝利を収め、グループラウンドからの快進撃を続けている。優勝候補にあがっているスペイン、フランス、デンマークなども順当に勝ち上がり、準々決勝はそれぞれ、クロアチア対ポーランド、カタール対ドイツ、スロベニア対フランス、デンマーク対スペインのカードとなった。
なお、全敗の最下位でグループラウンドを追え、21位決定戦に回ったイランとサウジアラビアは、同じくグループ最下位だったチリ(32-31)とアルジェリア(27-25)にそれぞれ勝利し初勝利を手にしている。
決勝ラウンド1回戦の結果は以下の通り。
オーストリア 対 カタール : 27-29
スロベニア 対 マケドニア : 30-28
スペイン 対 チュニジア : 28-20
クロアチア 対 ブラジル : 26-25
ドイツ 対 エジプト : 23-16
ポーランド 対 スウェーデン: 24-20
アイスランド 対 デンマーク : 25-30
フランス 対 アルゼンチン: 33-20
<カタール対スペイン、親子対決は息子に軍配>
現在カタールを指揮するバレーロ・リベラ・ロペス監督は、スペイン代表監督だった2012年当時に自身の息子であるリベラ・フォルチを同国代表メンバーとして初招集した。この人選には少なからず批判の声があったもののフランスリーグのナントでプレーするフォルチは2013年の世界選手権で父親の指揮のもとに金メダルを獲得すると、監督が入れ替わった後もコンスタントにその実力を発揮し、今回自身にとって2度目となる世界選手権の代表メンバー入りを果たした。そして21日に行われたグループA第3節のカタール対スペイン戦で、かつては母国代表の監督と選手として共に戦った親子が今度はセンターラインを隔てて対峙することとなった。
試合はスペインが王者の意地を見せ28-25で勝利。カタールを率いたリベラ・ロペス監督は試合後のインタビューで、「失点しても怒りがこみ上げてこない奇妙な感覚に襲われた。こんなことは今まで一度もなかったことだ。」と振り返り、フォルチだけでなく、同監督がスペイン代表を指揮していた当時からいる選手たちとの始めての対戦に複雑な思いがあったことを告白した。
フォルチに軍配があがった今回の親子対決だが、リベラ・ロペス監督は「スペインは勝利に値した」とカタールの完敗を認めると共に、「息子がゴールを決めるたびに内心嬉しい気持ちになった。」とも述べ、同試合でチーム最多となる7得点を決めスペインの勝利に大きく貢献した息子の雄姿に目を細めた。
●男子ラグビー:チャンピオンズカップのGSが終了、上位をフランス勢が独占
欧州ラグビーのトップを決めるハイネケンカップに代わる新大会として今年からスタートしたチャンピオンズカップのグループステージ最終節が24日と25日にかけて行われ、プール1ではクレルモン(フランス)とサラセンズ(イングランド)、プール2ではレンスター(アイルランド)とワスプス(イングランド)、プール3ではトゥーロン(フランス)、プール4ではバース(イングランド)、プール5ではラシン・メトロ(フランス)とノーサンプトン・セインツ(イングランド)の8クラブがノックアウトステージへの進出を決めた。
昨シーズンのハイネケンカップで2連覇を達成したトゥーロンを初め、ラシン・メトロ、クレルモンのフランス勢が上位を独占した今シーズンのグループステージだが、一方でマンスターとアルスターのアイルランド2クラブはそれぞれプール1とプール3でフランスとイングランドの後塵を拝して3位となり近年のハイネケンカップでは常連だったノックアウトステージへの進出を逃す結果となった。
4月の第1週に予定されているノックアウトステージ1回戦(準々決勝)の組み合わせは以下の通り。
ラシン・メトロ(フランス) 対 サラセンズ(イングランド)
トゥーロン(フランス) 対 ワスプス(イングランド)
クレルモン(フランス) 対 ノーサンプトン・セインツ(イングランド)
レンスター(アイルランド) 対 バース(イングランド)
●男子ラグビー:2015年ワールドカップに向け6000人のボランティア活動がスタート
ボランティアの存在は大会の規模が大きくなるほどその重要性も高くなると言われており、サッカーのワールドカップとオリンピックに次ぐビッグイベントであるラグビーのワールドカップも例外ではない。今年9月18日の開幕に向け、ホスト国となるイングランドの開催都市では“ザ・パック”と命名されたボランティア活動がいよいよ本格的にスタートする。
大会組織委員会の調べによれば、昨年6月から実施されたトライアウト(選考)に費やされた時間は約3333時間で、1万回以上の面接を経て、2万を超える応募者の中から最終的に18歳から86歳までの6000人がザ・パックのメンバーとして選ばれるに至った。ボランティア活動はそれぞれの知識に応じて多岐に渡るものの、基本的には世界各地から観戦に訪れるラグビーファンを迎える準備から始まり、大会期間中もスタジアムへの移動などがスムーズに進むよう現地での情報提供等が主な仕事内容となる。
大会組織委員会のデビー・ジェバンズCEOは、「これからザ・パックのメンバーと共に2015年のワールドカップに向けて準備を整えていきたい。2万を超える応募者が見せてくれた知識やスキル、そして何よりワールドカップへの情熱に驚いているのと同時に心から感謝している」と述べ、今回の選考が非常にむずかしかったことを強調した。また昨シーズンで現役を引退し、2015年ワールドカップの親善大使に任命された元イングランド代表のジョニー・ウィルキンソン氏も、「ザ・パックのプロジェクトに参加できることを光栄に思う。トライアウトに立ち会えたことでボランティアのワールドカップにおける重要性を再確認することができた。かれらの存在なしに大会の成功はあり得ないと思っている。かれらと共に過去最高のワールドカップを作り上げたい」と語り、ボランティアの重要性を指摘している。
●女子バレーボール:欧州CL、江畑のカンヌがパルチザンを下しプレーオフ進出が決定
女子バレーボールの欧州チャンピオンズリーグ第5節が21に行われ、日本代表の江畑幸子が所属するカンヌ(フランス)がパルチザン(セルビア)を3-2のフルセットで下した。この結果、戦績を4勝1敗としたカンヌは最終節を待たずしてプレーオフ進出を決めた。
ホームのカンヌは平均年齢19歳の若いパルチザンに立ち上がりから苦戦をしいられ第1セットを18-21で落とすものの、ブロックが決まり出しリズムが生まれると第2セット(25-13)と第3セット(25-22)を連取し逆転に成功する。しかし、粘るパルチザンを前に第4セットを奪われ、試合は最終セットまでもつれこむ。最終的に18-16で第5セットを制したカンヌが3-2で2時間の熱戦を制した。なお、江畑は各セットで途中出場を果たしている。
この勝利でプレーオフ進出が確定したカンヌは、戦績を4勝1敗とし、同率で首位に立つワクフバンク(トルコ)に次ぐ2位につけている。一方パルチザンは未勝利の5連敗で最下位に沈んでいる。
●女子サッカー:ドイツのインドアカップに大儀見、永里、岩淵らが出場
ウィンターブレーク期間中にDFB(ドイツサッカー協会)が主催する、女子ブンデスリーガの12クラブを対象としたインドアカップが今年も17日にマグデブルグで行われ、現在ドイツで活躍する大儀見優季(ヴォルフスブルグ)、岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)、永里亜紗乃(トゥルビーネ・ポツダム)の3人がそれぞれのクラブで出場を果たした。
グループAに入った大儀見優季のヴォルフスブルグは、初戦のバイエル・レバークーゼンに3-1で勝利し好スタートを切ったものの、その後エッセンに2-2で引き分けると、グループリーグ最終節のサンドに1-6と大敗を喫し、戦績1勝1敗1分の3位でかろうじて決勝トーナメント進出を決めた。
一方、岩渕真奈のバイエルン・ミュンヘンと永里亜紗乃のトゥルビーネ・ポツダムが同組となったグループBでは、バイエルン・ミュンヘンが2勝1分の首位で決勝トーナメントに進んだのに対し、ポツダムは初戦のバイエルン・ミュンヘンに1-4で敗れると、その後もイェーナとホッフェンハイムにも2-2で引き分け、白星なしの1敗2分の最下位でグループリーグ敗退となってしまった。
各グループを勝ち抜いた8チームで争われた決勝トーナメントでは、準々決勝でバイエルン・ミュンヘン、準決勝でエッセンを下したヴォルフスブルグと、同じくフライブルグとフランクフルトを下したバイエル・レバークーゼンがグループリーグに続き再び決勝で顔を合わせた。結果は、バイエル・レバークーゼンが1-0でヴォルクスブルグを下し、約4600人のファンが観戦に訪れた2015年のインドアカップはバイエル・レバークーゼンの優勝で幕を閉じた。
この後、ポツダムが地元で開催される国際トーナメントに出場する一方、ヴォルクスブルグはポルトガル、バイエルン・ミュンヘンはフロリダ(米国)でそれぞれ合宿を行い、来月15日に再開する女子ブンデスリーガの後半戦に向けた最終調整を行うこととなる。