「男子バレー」「リオ五輪」 「男子ラグビー」「シンクロ」「男子ハンド」 11月に配信再開します。
●男子バレー:ワールドリーグ、グループ2から勝ち上がったフランスが初優勝
大会史上最多となる32ヶ国が参加した2015年の男子バレー・ワールドリーグでは、グループ2から勝ち上がったフランスが、ブラジルやロシアなどの強豪を押しのけて優勝するサプライズで幕を閉じた。ワールドリーグ初優勝を飾ったフランスは、2006年の準優勝に続く快挙を成し遂げると共に、昨年ポーランドで行われた世界選手権でも4位に入るなど、そのレベルの高さをあらためて示す結果となった。
ブラジル、ロシア、ポーランド、イタリアなど世界ランキング上位8ヶ国が集まるグループ1ではなく、その下のグループ2に入ったフランスは、日本をはじめアルゼンチンやブルガリアなどを退け、全勝でグループ1の上位5ヶ国との決勝リーグへ駒を進める。2016年のリオ五輪の会場となるマラカナンジーニョ・アリーナで行われた決勝リーグでもフランスの勢いは衰えず、米国に1-3で敗れ、今大会唯一となる黒星を喫するものの、前回大会準優勝のブラジルを3-1で下すなど、同組の3ヶ国が1勝1敗で並んだ末、地元ブラジルを得失点差で上回りついにファイナル4の舞台へ登り詰める。準決勝で昨年の世界選手権優勝のポーランドをフルセットの末に下したフランスは、決勝でも同じく初優勝を狙うセルビアをストレートで倒し、悲願のタイトルを獲得した。また、決勝で16ポイントを決めたフランスのOHアーヴィン・ヌガペットが大会MVPに選出されている。
2015年ワールドリーグの上位6ヶ国は以下の通り
1位フランス、2位セルビア、3位米国、4位ポーランド、5位ブラジル/イタリア
2015年ワールドリーグのドリームチームは以下の通り
OH アーヴィン・ヌガペット (フランス)
MB マックスウェル・ホルト (米国)
L パウェル・ザトルスキ (ポーランド)
S ベンジャミン・トウニッティ (フランス)
OP アレクサンダー・アタナシエビッチ(セルビア)
<日本は13位>
グループ2でフランスと同組のプールDに入った日本は、1週目のチェコとのホーム2連戦を1勝1敗で終え、まずまずのスタートを切ると、初優勝を達成したフランスにホームとアウェーで4連敗を喫するものの、韓国には3勝1敗、チェコとは2勝2敗とし、戦績を5勝7敗としグループ2のプールDで2位となり、同じくグループ2のプールEを2位で終えたオランダと並んで総合13位で終え、前回大会の19位、前々回大会の18位から大きく順位を上げた。
<MVPに輝いたヌガペットが大会直後に傷害事件>
男子バレーのフランス代表OHアーヴィン・ヌガペットは、ワールドリーグ決勝の2日後、パリのモンパルナス駅で高速鉄道TGVの客室乗務員に暴行を加えた疑いで警察に逮捕された。
今回のワールドリーグで初優勝したフランスのエースで大会のMVPを獲得し、更にドリームチームのメンバーにも選出されたたヌガペットだが、大会直後に思わぬ失態を演じてしまったようだ。
●リオ五輪:セーリング競技会場となるグアナバラ湾の水質汚染が問題に
開催までやがて1年を切ろうとしている2016年のリオ五輪でセーリング競技の会場となっているグアナバラ湾の水質汚染が問題視されている。リオ五輪組織委員会でスポークスマンを務めるマリオ・アンドラーダ氏は9日、同湾の浄化作業が五輪開幕までに間に合わないことを認めたものの、「エコボート」と呼ばれるゴミ回収専用ボートを使用することで湾内を競技に適した状態に保てることを強調し、会場の変更の可能性をきっぱりと否定した。この苦しまぎれとも言える対策に対し、専門家からは選手の健康安全を危惧する声があがっている。
リオ五輪組織員会は招致活動の際にグアナバラ湾の浄化を公約のひとつとして掲げていたものの、作業は一向に進んでおらず、今年始めに計画の見直しが行われたにもかかわらず、同湾には今でも大量の生活排水が流れ込み、投げ捨てられたごみや魚の死骸が水面を覆っている。この状況を前にアンドラーダ氏は、「われわれは湾内のごみがどのように流動し、どの場所にたまるのか正確に把握している。」と述べ、エコボートを使ってセーリング競技が行われる付近を集中的に浄化する計画を打ち出している。とは言え、これに対し否定的な見解を示す専門家も多く、昨年末には同湾から抗生物質が効かない細菌が発見された報告も出ており、選手からは会場変更の要求も上がっている。
アンドラーダ氏はセーリング競技の会場変更を否定すると共に、すべての会場で五輪に向けた建設作業に遅れはなく、2週間半の短期間に約1万5000人のアスリート、約4万5000人のボランティア、約9万3000人の大会スタッフ、そして38万人を越える観客を動員する夏季五輪、さらにその後に11日間行われるパラリンピックを迎え入れるインフラ整備は順調に進んでいることを強調している。
●男子ラグビー:ラグビー・チャンピオンシップ、オーストラリアとニュージーランドが2連勝
ラグビー・チャンピオンシップは25日に第2節が行われ、それぞれオーストラリアとニュージーランドがアウェーでアルゼンチンと南アフリカに勝利し2連勝を飾った。1996年よりオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの3ヶ国間で開催されていたトゥリネイション・ラグビーに代わる新大会として、ラグビー・チャンピオンシップは同じく南半球のアルゼンチンを加えた4ヶ国間で2011年よりスタート。4回目となった今年は、9月にイングランドで行われるワールドカップを目前に控えていることを考慮し、本来のホーム&アウェーの合計6試合から総当り戦の3試合に変更されることとなった。とは言え、各チームにとってワールドカップ前の貴重な実戦の場として例年以上に重要な位置付けとなっている。
ホームで行われた第1戦でアルゼンチンに39-18で勝利していたニュージーランドは、第2戦で南アフリカとアウェーで対戦。ヨハネスブルグのエリス・パーク・スタジアムで行われたこの試合は、ホームの南アフリカが開始9分にワールドカップ後に日本のキャノンイーグルスへの入団が決まっているウィリー・ルルーが早々とトライを決めるなど序盤からペースを掴み、一時は10-3までリードを広げる。しかし48分にダン・コールズにトライを決められニュージーランドに17-17の同点に追いつかれると、その後は苦しい展開が続いていく。結局、終了間際の73分にもこの試合3度目となるトライを奪ったニュージーランドが27-20で南アフリカを下し、惜しくも1995年のワールドカップ決勝との再現とはならなかった。
2連勝を飾ったニュージーランドは次節、同じくホームでの第1戦で南アフリカに24-20、アウェーでの第2戦でアルゼンチンに34-9で圧勝したオーストラリアと対戦する。なお優勝決定戦となる第3節のオーストラリア対ニュージーランド戦は、シドニーのスタジアム・オーストラリアで8月8日に開催される。
●スペインと日本のシンクロ発展を支えた2人の指導者
今月24日にカザン(ロシア)で開幕した世界水泳選手権において4大会振りのメダルを獲得し、久々の表彰台に立ったシンクロナイズドスイミングの日本代表を率いているのが昨年2月に復帰した井村雅代コーチだ。かつて日本が国際大会でメダル常連国となる黄金時代を築き上げ、シンクロナイズドスイミングの発展に大きく寄与した井村コーチだが、2004年のアテネ五輪終了後に突然退任。同大会で銀メダル2個を獲得させ、ロシアに次ぐ好成績を残したにもかかわらず。その後、井村コーチは北京五輪とロンドン五輪でメダルを獲得した中国代表、2013年にはシンクロナイズドスイミング不毛の地であった英国代表を指導するなど海外でも抜群の実績を残してきた。独自のスパルタ方式で知られ、その厳しい指導方法がしばしば議論の的となる井村コーチだが、今回カザンで開催されている世界水泳にも同じような境遇の人物の姿がある。
1997年にシンクロナイズドスイミングのスペイン代表コーチに就任したアナ・タレスは、欧州水泳、五輪、世界水泳などわずか5年間で合計52個ものメダルをもたらし、同国代表をシンクロナイズドスイミング強豪国のひとつにまで成長させた。2012年のロンドン五輪でもメダル2個(銀1銅1)を獲得させ、スペイン代表を中国に次ぐ総合3位に導くなど好成績を残したものの、厳し過ぎる指導に代表選手から不満や苦情が続出したことで大会直後の9月に解雇されてしまう。その後アナ・タレスは、2013年にフランス代表のテクニカル・アドバイザーに就任。今回の世界水泳でもシンクロナイズドスイミングの同国代表を裏で支える欠かせない存在として参加している。その一方、アナ・タレスを失った後のスペインは、2013年に行われた前回の世界水泳で合計7個のメダルを獲得したものの、ここ数年伸び悩み今大会でもメダルの獲得は難しいと言われるなど、井村コーチが去った後の日本代表と通じるものがある。
井村コーチとアナ・タレス。その少しの妥協も許さないシビアで厳しい指導方も、シンクロナイズドスイミングに飽くなき情熱を注ぎ、世界大会で表彰台にあがることの難しさを誰よりも心得ている2人だからこそなのではないだろうか。
●男子ハンド:U21世界選手権 アジアからはカタールと韓国が決勝T進出
ブラジルで行われている男子ハンドボールのU21世界選手権は26日にグループステージの全試合が終了し、前回大会の覇者スウェーデンを始め、スペイン、フランス、ドイツ、デンマークなどの強豪に続きアジアからはカタールと韓国の2カ国が決勝トーナメントに進出を果たした。
グループBに入ったカタールは、初戦で強豪スペインと対戦。前半を11-16と5点のビハインドで折り返すものの、後半に入って驚異的な追い上げを見せ、26-27と前回大会準優勝国に逆転勝ちをおさめるサプライズを巻き起こした。第2戦でルーマニアに1点差で敗れたものの、4試合終わって3勝1敗とセルビアとの最終戦を待たずしてグループ3位を確定させ、決勝リーグ進出を決めた。
またグループCの韓国は、優勝候補のフランスとデンマークに敗れはしたものの、それ以外のアルゼンチン、アルジェリア、チリを相手に確実に勝ち点を重ね、3勝2敗の3位でグループリーグ通過勝ち取った。
決勝トーナメント1回戦の組み合わせは以下の通り。
スペイン (グループB1位)対 ロシア (グループA4位)
ブラジル (グループD3位)対 デンマーク (グループC2位)
カタール (グループB3位)対 ベラルーシ (グループA2位)
ドイツ (グループD1位)対 アルゼンチン(グループC4位)
スウェーデン(グループA1位)対 ポルトガル (グループB4位)
韓国 (グループC3位)対 エジプト (グループD2位)
チュニジア (グループA3位)対 ルーマニア (グループB2位)
フランス (グループC1位)対 ノルウェー (グループD4位)
<日本は5位でグループリーグ敗退>
初戦でホスト国のブラジルに1点差で惜敗したグループDの日本は、その後エジプトに27-27で引き分け、優勝候補のドイツに24-43、ノルウェーに26-35で連敗を喫するなど、白星をあげられぬまま最終戦を迎える。ウルグアイに32-19で何とか1勝をあげるものの、最終成績を1勝3敗1分けとしグループ5位で終了。決勝トーナメント進出はかなわなかった。