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●バスケット:男子ユーロリーグ、レアル・マドリードが王者の意地を見せ3位に浮上
レギュラーシーズンもいよいよ残り2試合となった男子バスケのユーロリーグでは今週第9節が行われ、現王者レアル・マドリード(スペイン)がバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)をアウェーで67-86の大差で下し、グループAでついにTOP16進出圏内となる3位に浮上した。
絶好調だった昨シーズンから一転、今シーズンのユーロリーグではキムヒ(ロシア)との第1節を落とし黒星スタートを切ったレアル・マドリードは、その後も思うように調子が上がらず第5節のストラスブール(フランス)、第6節のキムヒ、第7節のツルヴェナ・ズヴェズダ(セルビア)に予想外の3連敗を喫し、グループリーグ最下位まで転落する悪夢に襲われる。どん底まで落ちたレアル・マドリードだが、第8節ではグループリーグ首位を走るフェネルバフチェ(トルコ)を80-73で下し本来の勝負強さを見せると、第9節のバイエルン・ミュンヘン戦でもグスタボが22ポイント、リュルが18ポイントを決める大活躍でホームのバイエルン・ミュンヘンに19ポイント差をつける圧勝劇で、王者の片りんを見せつけた。グループリーグ敗退の危機から一気に3位まで順位を上げ、ひとまずはTOP16進出に可能性を残したレアル・マドリードだが、依然としてディフェンスは大きな不安要素を抱えており、特に試合序盤に苦戦をしいられる悪癖には早急な改善処置が必要とされている。
一方、グループBとグループCでは第9節を終わった時点ですでに上位4チームの通過が確定。グループBではオリンピアコス(ギリシャ)、エフェス・ピルゼン(トルコ)、バスコニア(スペイン)、ツェデヴィタ(クロアチア)、そしてグループCではロコモティフ・クバン(ロシア)、バルセロナ(スペイン)、パナシナイコス(ギリシャ)、ザルギリス(リトアニア)の8チームがレギュラーシーズン最終節を待たずにTOP16への進出を獲得した。そしてグループDでは、2シーズン前にユーロリーグを制したイスラエルの強豪マッカビ・テルアビブが5位に沈んでいる。第9節でブローゼ・バスケット(ドイツ)に競り勝ち、何とかTOP16進出の可能性を残しているものの、最終節で4位につけるダルサファカ・イスタンブール(トルコ)との直接対決に勝利することが絶対条件となる。なお、EA7とディナモ・サッサリのイタリア勢はいずれもレギュラーシーズンでの敗退が決定している。
●バスケット:ヨーロッパでの新リーグ立ち上げに本腰を入れ始めたFIBA、一転してユーロリーグとの差別化を図る
このほどIMG(国際スポーツエージェント)と10年契約を結ぶことを決定し、今後大幅な収入アップを見込んでいるユーロリーグは、2016-17シーズンから新フォーマットを導入するが、その新たな出場枠の振り分け方法に賛否両論の声があがっている。新フォーマットでは、現行の24から16チームに出場枠が激減するばかりか、その16チームのうち11チームはAライセンス所有クラブで固定され、残りのわずか5枠は国内リーグ優勝の3チーム、ユーロカップ優勝の1チーム、予選ラウンドを勝ち抜いた1チームのみ与えられるなど、来シーズン以降ユーロリーグ出場は今まで以上に狭き門となる。当然、Aライセンスを所有していない主要リーグの強豪クラブは、この変更によりユーロリーグへの出場が極めて困難になるとして激しく抗議している。そして一方、新たな欧州リーグ設立に向けて動いているFIBA(国際バスケットボール連盟)は、ユーロリーグが取り入れようとしている新フォーマットに指摘されている閉鎖性を利用することに活路を見出したようだ。
先月、欧州のクラブ王者を決める新大会『チャンピオンズリーグ』への参加をユーロリーグにきっぱりと拒否されたことで、独自の大会開催を進める姿勢を強めているFIBAは、ユーロリーグの形式に近づけようとしていたこれまでの方針を一転、出場枠を24~32とし、出場権は純粋に結果だけを考慮することを示唆。フェアなスポーツ面を強調することで、特定のクラブに特権を与えるなど公平性に欠ける新フォーマットの導入を進めるユーロリーグとの差別化を図った形だ。とは言え、実力名声ともにトップクラスのAライセンス保有11クラブ(エフェス・ピルゼン、フェネルバフチェ/トルコ、CSKAモスクワ/ロシア、EA7/イタリア、バルセロナ、レアル・マドリード、バスコニア/スペイン、マッカビ・テルアビブ/イスラエル、オリンピアコス、パナシナイコス/ギリシャ、ザルギリス/リトアニア)を説得するのは容易なことではないだろう。
またFIBAのオラシオ会長は今月始め、母国アルゼンチンのTVに対し、米国NBAのクラブを含むワールドリーグを立ち上げる構想を抱いていることを明らかにした。
●ラグビー:ヨーロッパ・チャンピオンズカップ、イングランドのサラセンズとレスター・タイガースが3連勝
ラグビーのヨーロッパ・チャンピオンズカップは第3節が行われ、サラセンズとレスター・タイガースのイングランド・プレミアシップ勢が3連勝を飾り、プール1とプール4で首位を維持している。
昨シーズンのイングランド・プレミアシップでプレーオフを制したプール1のサラセンズはオヨナ(フランス)と対戦。ここまで毎試合4トライを決めてきたサラセンズの攻撃力はこの日も健在で、ホームのオヨナを相手に6トライを奪い、10-45で格の違いを見せ付けた。そしてプール4でもレスター・タイガーがアウェーでマンスター(アイルランド)を19-31で下し、順調に勝ち点を伸ばしている。
プール2では、エクセター・チーフス(イングランド)とオスプリーズ(ウェールズ)がそれぞれ勝利し、2勝1敗同士で前節に続き首位を競っている。今節エクセター・チーフスに31-14で敗れた昨シーズン準優勝のクレルモン(フランス)は1勝1敗で3位につけているものの、先月パリ起きた同時多発テロの影響で順延となっているボルドー・ベグル(フランス)戦の結果次第ではエクセター・チーフスとオスプリーズと勝率で並び三つ巴の状態となる。またプール3では、前節まで首位に立っていたノーザンプトン(イングランド)がレーシング92(フランス)に5トライを奪われ33-3の大差で敗れたことで2位に転落。代わって消化試合が1試合少ないながら2戦連勝のレーシング92が首位に浮上した。
プール5に入っている昨シーズンの王者トゥーロン(フランス)は、レンスター(アイルランド)をホームで24-9の大差で下した。前節でロンドン・ワスプス(イングランド)に惨敗していたトゥーロンだが、ようやく今シーズンのヨーロッパ・チャンピオンズカップで初勝利を飾り戦績を1勝1敗とし、上位のロンドン・ワスプスとバース(イングランド)を虎視眈々と狙っている。
●ラグビー:国旗変更国民投票でオールブラックスのエンブレムが含まれたデザインが1位に
ニュージーランドで行われていた国旗変更に関する1回目の国民投票が11日に終了し、オールブラックスのエンブレムに使用されている黒色と同国原産のシダの葉『シルバーファーン』を使ったデザインが暫定1位に選ばれた。
今回の国民投票で最も多くの票を得たデザインに描かれている大きな白いシルバーファンは、先のワールドカップで史上初となる2連覇、3度目の王者に輝いたラグビーのニュージーランド代表、別名オールブラックスのエンブレムにも使用されており、さらに現行の国旗に使用されている青とオールブラックスの黒を基調とするなど、国民の大人気スポーツであるラグビーが新国旗のデザイン決定に少なくない影響を与えていることが垣間見れる。
今回の国旗変更の国民投票には、植民地時代の象徴であるユニオンジャックが描かれ、隣国オーストラリアと見間違うデザインを持つ現行の国旗への不満と、ニュージーランド独自の文化や社会をより反映させた新しい国旗を求める声が背景にあるとされている。2回目の国民投票は来年3月に行われ、そこで1回目の投票で決まった新デザインに変更するか現行の国旗のままにするかの最終的な決定が下されることとなる。
●ハンドボール:女子世界選手権、前回優勝のブラジルがルーマニアに敗れベスト16で敗退
デンマークで行われているハンドボールの女子世界選手権は11日にグループラウンドが終了し、グループAからグループDの上位4ヶ国、合計16チームが決勝トーナメント進出を決めた。中でも、昨年の欧州選手権で優勝と準優勝だったノルウェーとスペイン、さらにルーマニアなど強豪国が肩を並べるグループDに入ったロシアは、参加国唯一となる5戦全勝を飾り堂々の首位を決め、一気に優勝候補の一角に躍り出た。一方、グループAのセルビアは、初戦にモンテネグロと引き分けると、続くハンガリーとデンマークにも連敗するなど苦しみ、2勝2敗1分の4位で何とか決勝トーナメントへ駒を進めた。同じくグループAの日本は、チュニジアに31-21で勝利したものの、デンマーク、モンテネグロ、セルビア、ハンガリーに敗れ、1勝4敗のグループ5位で予選敗退となった。
13日からスタートした決勝トーナメントでは、1回戦からサプライズの連続となった。まずは前回大会優勝のブラジルの敗退。グループリーグを4勝1分の首位で通過するなど仕上がりの良さを見せていたブラジルだが、この日はMVPの活躍を見せたルーマニアのGKパウラ・ウングレアヌにことごとくチャンスを防がれ、前半を8-13で折り返すと、後半に入っても点差を思うように縮められず22-25で競り負けた。なお、ブラジルにはハンドボールの本場である欧州でプレーしている選手が多く、登録メンバー16人中5人がルーマニアの強豪バイア・マーレとCSMブカレスティに所属している。またルーマニアも16人中12人が同2クラブに所属しているなど、ブラジルにとっては想像以上にやりづらい相手だったのかもしれない。そして前回大会準優勝のセルビアもグループリーグでの不調から抜け出せず伏兵オランダに36-20で敗れ早々と姿を消した。
アジア勢で唯一決勝トーナメントへ進出した韓国は、グループDを全勝で首位通過したロシアに30-25で敗れベスト8進出は叶わなかったものの、グループリーグではグループCで王者ブラジル(24-24)、そしてフランス(22-22)に引き分けるなど世界の強豪と互角に戦えることを証明した。
決勝トーナメント1回戦の結果は以下の通り。
オランダ vsセルビア 36:20
スペイン vsフランス 21:22
ポーランド vsハンガリー 24:23
ロシア vs韓国 30:25
ドイツ vsノルウェー 22:28
モンテネグロvsアンゴラ 38:28
デンマーク vsスウェーデン 26:19
ブラジル vsルーマニア 22:25