「バスケット」「ハンドボール」
●男子バスケ: ユーロリーグ・ファイナル4 ロシアから初の2チームが進出
2015-16シーズンの男子ユーロリーグ・ファイナル4は13日と14日の2日間にかけてドイツの首都ベルリンで開催される。今年は前回大会の王者レアル・マドリード(スペイン)、そしてバルセロナ(スペイン)の2チームがいずれもベスト8で姿を消す代わりに、同じくスペインからラボラル・クチャが8年振り、そしてロシアのロコモティブ・クバンが初のファイナル4進出を決めた。13日の準決勝では、まずラボラル・クチャがトルコの強豪フェネルバフチェと対戦し、一方でロコモティブ・クバンはCSKAモスクワとの同国対決に挑むこととなる。
ディミトリオス・イトウディスHCに率いられるCSKAモスクワは、レギュラーシーズンをわずか一敗で終え、大会出場24チーム中トップの成績でグループDを首位通過した。続くTOP16でもラボラル・クチャ、レアル・マドリード、バルセロナ、キムヒ(ロシア)オリンピアコス(ギリシャ)らと同組の厳しいグループを10勝4敗の首位で切り抜けると、ベスト8でもツルヴェナ・ズヴェズダ(セルビア)を3-0のストレートで下し、4年連続でファイナル4への進出を果たした。2007-08シーズンを最後にユーロリーグのタイトルからは遠ざかっているものの、今シーズンは序盤から安定した強さを維持しており優勝に近い存在と見られている。
そしてCSKAモスクワと並んで優勝候補にあげられるのが56歳の名将ジェリコ・オブラドヴィッチHCが指揮するトルコのフェネルバフチェだ。CSKAモスクワ同様にレギュラーシーズンとTOP16をいずれも首位で通過し、ベスト8では2連覇を狙うレアル・マドリードを3-0のストレートで退けている。92年のパルチザンを皮切りに、ジョベントゥ・バダロナ(94年)、レアル・マドリード(95年)、パナシナイコス(00年、02年、07年、09年、11年)と、これまでに異なる4チームを率いて合計8度ものユーロリーグタイトルを獲得しているオブラドヴィッチHCは、チームの特性を最大限に生かす柔軟性が高く評価されており、過去に指揮してきたクラブでも状況に応じて巧みに戦術を変えチームを成功に導いている。また若手に機会を与えることにも定評があり、今シーズンでも序盤から主力だったヤン・ベゼリーがTOP16で負傷により離脱した後も、見事ベスト8でレアル・マドリードに完勝するなど高い戦力を維持する優れた手腕を発揮している。2シーズン目に入りチームの完成度も着実に増しており、いよいよオブラドヴィッチHCにとって9回目、そしてフェネルバフチェにとっては初となるユーロリーグのタイトルを手にすることができるか注目が集まっている。
●男子バスケ: すでに66クラブがFIBAのチャンピオンズリーグに登録
FIBA(国際バスケットボール連盟)は4日、来シーズンから欧州のクラブを対象にスタートする新大会『チャンピオンズリーグ』に現時点で少なくとも19ヶ国(ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スウェーデン、トルコ、ウクライナ)、合計66クラブが参加の意思を表明していることを明らかにした。
その一方で欧州クラブの頂点を決める大会として広く認識されている『ユーロリーグ』は、FIBAのチャンピオズリーグとの融合が非現実的であるとの見解を示しており、来シーズンもこれまで通り独自の大会を開催していく考えを崩していない。そして現段階では、スペインのレアル・マドリードやバルセロナ、ラボラル・クチャ、そしてロシアのCSKAモスクワなどの強豪クラブは引き続きユーロリーグに残ることが濃厚だと見られている。
この状況を打開すべく、国別の大会を統括する権利をもつFIBAは、スペインやロシアのバスケットボール協会に同国のクラブがチャンピオンズリーグへ参加しない場合は、同国代表の国際大会への参加資格を剥奪する可能性までほのめかすなど、これまで以上に強い圧力をかけてきている。これによりスペインは、今夏に行われるリオ五輪の出場が危ぶまれる事態に直面している。これを受けスペインバスケット協会は、国内リーグを運営するACBに対しレアル・マドリードやバルセロナなどの所属クラブがユーロリーグと決別するように働きかけるよう強く求めていると言われている。
この一連の動きについてユーロリーグのジョルディ・バルトメウ会長は、FIBAと話し合いの場を持ったものの依然として合意にいたる可能性が極めて低いことを認めると共に、クラブを対象とした大会の問題に欧州各国のバスケットボール協会、そして代表チームを巻き込むFIBAの横暴なやり方を厳しく批判し、ユーロリーグ存続を目指し最後まで争う意志を示している。
●女子ハンド: ファイナル4 CSMブカレスティが初優勝
女子ハンドボールのEHFチャンピオンズリーグは、ハンガリーのブダペストでファイナル4が行われ、決勝で地元のジェールをシュートアウトの末に下したルーマニアのCSMブカレスティが初のファイナル4進出ながら見事に初優勝を成し遂げた。
東欧勢で占められた今回のファイナル4では、まず準決勝でCSMブカレスティとバルダール(マケドニア)が対戦。当初の予想をくつがえし立ち上がりからペースを掴んだCSMブカレスティは、GKグルビシッチの好セーブなどもありバルダールから5点のリードを奪って前半を終える。思わぬ展開にリズムを崩されたバルダールはそのまま後半に入ってもリズムを取り戻せず、結局27-21で競り負け3年連続で決勝を目前に涙をのむ結果となった。一方、準決勝の第2試合では、地元の声援に後押しされたジェールが拮抗した展開の中で前半のリードを守りきり、2連覇を狙うブドゥチノスト(モンテネグロ)を21-20の僅差で退け決勝に進出した。
12000人の観客がつめかけた決勝では、CSMブカレスティのグルデンが15ゴールを決めチームをけん引すると、対するジェールもロケやエドゥアルダが奮闘し、一進一退の展開が続いていく。試合は22-22で延長戦に突入したものの、それでも決着がつかず、勝敗の行方はシュートアウトに委ねられることとなる。結局、シュートアウトで4-1で制したCSMブカレスティが29-26でジェールに競り勝った。
メインラウンドを5勝5敗の4位で辛くもベスト8に進出するなど苦しい序盤戦をすごしたものの、ベスト8ではそれまでチャンピオンズリーグで無敗を守ってきたロストフ・ドン(ロシア)を2試合連続で下すなどチームはシーズン終盤に向けて徐々に調子をあげて行った。そして臨んだファイナル4では、ブドゥチノスト、バルダール、ジェールの優勝候補の影にかくれ、初の大舞台ということもあり余計な重圧に押しつぶされることなく、リラックスしたプレーが最高の結果を生む原動力となった。その一方で、シーズン半ばにはクラブの深刻な財政難が明らかになり主力の大量流失も囁かれている。事実、決勝のシュートアウトで2回のスーパーセーブを見せチームを初優勝に貢献したブラジル代表GKペゾアは今シーズン限りでの退団が決まっている。
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