「ハンドボール」「女子サッカー」「バレーボール」「バスケット」「ラグビー」「アイスホッケー」
●ハンドボール:EFHチャンピオズリーグ・ファイナル4、ポーランドのケルツェが初優勝
男子ハンドボールのEHF欧州チャンピオンズリーグ・ファイナル4は29日にドイツのケルンで決勝戦が行われ、ポーランドのケルツェがハンガリーのベスプレムに7mスローオフコンテンストの末に競り勝ち、初の欧州王者に輝いた。
前日の準決勝ではフランスとドイツの新旧ビッグクラブが相次いで敗れる波乱があり、全ての試合が最後までもつれる僅差の戦いとなった。28日の準決勝初戦、フランス代表のカラバティッチ兄弟、ルーク・アヴァロ、ナルシス、オメイヤー、デンマーク代表ミケル・ハンセン、クロアチア代表ヴォリら超豪華メンバーを揃え初のファイナル4に臨んだスター軍団のPSGだったが、ケルツェの激しい守備の前に自慢の攻撃陣が抑え込まれ、26-28で敗れた。続いて行われた準決勝第2試合では、プレーオフで昨季王者のバルセロナを下したドイツ・ブンデスリーガの名門THWキールがハンガリーのベスプレムと互角の戦い演じ、ともに譲らないまま延長戦に突入したが、最後はベスプレムが28-26で競り勝って決勝へ進んだ。
<ケルツェが怒涛の大逆転劇>
迎えた決勝戦、どちらが勝っても初優勝となるこの一戦は、ベスプレムのサバテ監督、ケルツェのドゥイシェバエフ監督というスペイン人監督同士の対決としても注目を集めた。序盤はベスプレムが試合の主導権を握り、17-13と4点差をつけて折り返す。後半に入るとベスプレムはパルマーソン、二ルソンらのゴールなどで追加点を重ねさらにリードを広げると、一時は28-19と9点もの大差をつける。もはや試合は決まったかと思われたが、ここからケルツェが怒涛の反撃に転じ、連続9ゴールを奪うと、残り4分でついに追いつき、試合を振り出しに戻す。ベスプレムはようやくここで追加点を挙げて突き放すと、29-28と1点差で残り時間が10秒を切る。ここで、ケルツェのドイシェバエフ監督はタイムアウトを取る。ケルツェボールで試合が再開すると、最後のワンプレーからリジェフスキーが同点ゴールを叩き込み、試合終了4秒前にケルツェが執念で追いつき、延長戦へ突入する。延長に入ってからはともに一歩も譲らない緊迫した展開となるが、後半残り時間わずかで今度はケルツェが35-34とリードし、優勝に王手をかける。しかし、残り13秒でケルツェのチュラコフスキが2分間の退場となり数的優位に立ったベスプレムは最後の攻撃を仕掛け、ナジーからのパスを受けたウガルデが渾身の同点ゴールを決め、その直後にタイムアップとなる。決勝にふさわしい好ゲームは70分で決着がつかず、7mスローオフコンテストに持ち込まれる。7mスローオフは、後攻のケルツェが1人目、先行のベスプレムは2人目と4人目がはずし、ケルツェ最後の5投目を任されたアギナガルデがこれを決め、長い激闘の末、ケルツェが劇的な勝利を収めた。
なお、3位決定戦ではPSGが29-27でTHWキールを下している。また、2016-2017シーズンの男子ファイナル4も、今年と同じケルンで開催されることになっている。
●女子サッカー:欧州女子チャンピオンズリーグ、リヨンが3度目の欧州王者に
UEFA女子チャンピオンズリーグは26日にイタリアのレッジョ・エミリアでオリンピック・リヨン対ヴォルフスブルクの決勝戦が行われたが、延長120分を戦って1-1のまま決着がつかず、勝負はPK戦に持ち込まれたが、リヨンの5人目のキッカー熊谷紗希のゴールが最後に決まり、リヨンの2011、2012年に続く3回目のCL優勝を飾った。
リヨンは、2021-2013シーズンの決勝ではヴォルフスブルクに0-1で敗れており、4シーズンぶりにリベンジを果たした。リヨンはこれにより、今季はリーグ戦(10連覇)、フレンチカップ(5連覇)を加えた3冠を達成した。
リヨンは12分、アダ・へゲルブルクの今季の女子CLランキング首位に立つ9点目となるゴールで先制。試合は1-0のまま進むが、ヴォルフスブルクは敗戦濃厚となった88分にケルショフスキーのクロスをアレックス・ポップが頭で決めて同点に追いつき、試合を振り出しに戻す。延長戦でも勝負がつかず勝負はPK戦に持ち込まれたが、リヨンが4-3でこれを制した。
<最優秀選手に熊谷紗希、UEFAのシーズンCLベストプレーヤー18人にも選出>
リヨンの守備的ミッドフィルダーとしてチームを支え、この試合でも最後のPKを決め勝利に貢献した熊谷紗希が、この試合の最優秀選手に選ばれた。熊谷は試合後に発表されたUEFAの技術委員会が選ぶ今季のCLベストプレーヤー18人にも選出されるなど、リヨンとともに飛躍の1年となった。
●バレーボール:リオ五輪世界予選、ポーランドがフランスを破る
東京で行われている男子バレーのリオ五輪世界予選は2日目を終了し、イラン、ポーランドが2連勝と幸先良いスタートを切った。
29日には早くも注目のポーランド対フランスの欧州ダービーが行われた。オリンピック出場権獲得に最も近いと言われる両者の戦いは、フランスが2セットを先取して王手をかけたが、ここからポーランドが一気に2セットを奪い返すと、最後はタイブレークを15-12で制し、逆転勝ちで貴重な勝ち点2を手に入れた。
<日本は早くも崖っぷち>
初日にベネズエラを下し1勝を挙げた日本だが、2日目にアジアのライバルで世界ランキング19位の中国に0-3でストレート負けを喫し、リオ五輪出場に黄信号が灯った。アジア枠1位獲得のためには絶対に負けられない試合だったが、日本は中国の高さの前に1セットも取れないまま完敗した。日本は次戦で世界ランキング2位のポーランドと、その後はアジアで最もランキング上位(8位)のイランと競合相手の戦いが続くが、この2試合を落とすと自力での出場権獲得はかなり難しくなる。
●バスケット:FIBAヨーロッパ、ユーロリーグ参加8か国への制裁を解除
FIBA(国際バスケットボール連盟)ヨーロッパは27日にダブリンで理事会を開き、加盟8か国に対して科していたリオ・オリンピックおよび2017年欧州選手権への出場停止処分を解除することを決定した。
自国のプロリーグが、FIBAヨーロッパの管轄下にない独立プロリーグであるユーロリーグと提携契約を結んだことを理由にFIBAヨーロッパから出場停止処分を言い渡されていたのは、スペイン、ロシア、セルビア、クロアチア、スロベニア、モンテネグロ、ボスニア・ヘレツェゴビナ、マケドニアの8か国だが、同じくユーロリーグ、ユーロカップに参加しているイタリア、ギリシャ、リトアニア、トルコ、ポーランド、イスラエルにも処分を科す可能性を示唆していた。処分通告後、これらの国のバスケット協会、政府が自国のプロリーグ、クラブチームがユーロリーグに参加することに批判的な態度を示したことが評価され、今回の制裁解除につながった。とはいえ、FIBAヨーロッパはこの件について「引き続き監視を続けていく」と警告することも忘れなかった。
●ラグビー:女子ワールドセブンズ、オーストラリアが初の総合優勝
ラグビーの女子ワールドセブンズは最終戦のフランス大会が行われ、決勝でカナダがオーストラリアを29-19で下して今季のワールドシリーズ初優勝を飾った。
2位に終わったオーストラリアだが、今大会で18ポイントを獲得し、総合ポイントを94に伸ばして2位のニュージーランドに14ポイントの差をつけ、総合優勝が確定した。
今季のオーストラリアは、初戦のドバイ大会から、続くブラジル大会、カナダ大会と3連続優勝で圧倒的な強さを見せ、最後まで2位以下の追随を許さなかった。なお、日本は今大会4連敗を喫して1ポイントを挙げるにとどまり、総合でも12ポイントの11位(コアチーム12チーム中)に終わった。
<女子ワールドセブンズ最終順位 (※コアチームのみ)>
1.オーストラリア(94ポイント)
2.ニュージーランド(80)
3.カナダ(74)
4.イングランド(74)
5.フランス(60)
6.アメリカ(46)
7.ロシア(42)
8.フィジー(34)
9.スペイン(28)
10.ブラジル(12)
11.日本(12)
12.アイルランド(11)
●アイスホッケー:世界選手権はカナダが連覇
5月6日から22日までロシアのモスクワとサンクトペテルブルクで開催されていたアイスホッケーの世界選手権は22日に決勝戦が行われ、カナダが2-0でフィンランドを下して優勝し、昨年に続き2連覇を達成した。カナダは準々決勝でスウェーデンに6-0で快勝した後、準決勝でアメリカに苦戦したものの4-3で辛くも勝利して決勝へコマを進めた。一方のフィンランドは準々決勝でデンマークに5-1で勝利すると、準決勝では地元ロシアを3-1で破り決勝に進んだ。決勝戦はともに守備を固めた戦いになったが、カナダは11分にコナーが先制ゴールを決めると、最後まで虎の子の1点を守り切り、終了直前のダメ押しゴールで2-0と勝利した。なお、3位決定戦ではロシアが7-2でアメリカを下している。
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